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日々読書‐教育実践に深く測りあえるために

松下佳代「資質・能力の形成とアクティブ・ラーニング ― 資質・能力の「3・3・1」モデルの提案」日本教育方法学会編『教育方法45 アクティブ・ラーニングの教育方法学的検討』図書文化、2016年、24‐37頁。

 アクティブ・ラーニングは、資質・能力、とりわけ「学力の3要素」を育成するための方法として位置付けられた。資質・能力の形成と結びついたアクティブ・ラーニングの政策的推進は、きわめて日本的な現象である。

 資質・能力は、入れ子構造をもつ。学力の3要素は、〈知識‐能力‐資質〉という3次元構造をもち、OECD‐DeSeCoのキー・コンピテンシーやNRCの21世紀型コンピテンシーは、対象世界との関係、他者との関係、自己との関係といった学びを構成する3つの関係性といった3層構造をもつ。資質・能力の方法は、育てたい能力に包摂される人間の属性か、能力を育てる関係性のどちらかに焦点をあてるかによって、大きく二つのタイプに分けることができる。そして、どちらとも「メタ学習」「省察性」といった概念によって、自分の学びをふりかえり、必要とあれば学び方を変えるということに特別な位置を与えている。この〈3次元×3軸×省察性〉を松下さんは、「3・3・1モデル」と呼んでいる。アクティブ・ラーニングの背景理論となっていた資質・能力概念を組みかえることは、アクティブ・ラーニングをディープ・アクティブ・ラーニングへと再構築することにつながるからである。


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