#8 AI活用における考察2 推論と洞察②
前回は推論と洞察の違いについて考えてみました。今回は、ChatGPTが推論と洞察をどのように理解しているかを考察してみたいと思います。みなさんもChatGPTを活用する上で、より深い助言や考えが欲しくなるときはよくあると思います。そんなときに、推論してもらった方がよいのか、洞察してもらった方がよいのか、などChatGPTへ指示するときのヒントになれば幸いです。
ChatGPTに回答を求める際にどちらの言葉を使うべきかを理解するためには、その違いを明確にしておくことが重要であることの気づきになると思います。
1.ChatGPTの『推論(Reasoning)』という概念の理解
「ユーザーが提供する一連の条件やデータをもとに、AIが次に何が起こるかを予測したり、問題の解決策を提案したりする場合」に"推論してください”という指示をすることがポイントになりそうですね。
それでは次に、洞察について見てみましょう。
2.ChatGPTの『洞察(Insight)』という概念の理解
「既存のフレームワークを超えた新たなアプローチを提示」して欲しいときには、洞察するように指示するのがよさそうです。
3.ChatGPTの推論と洞察の理解の違い
それでは、ChatGPTが推論と洞察という言葉、概念をどのように理解しているか、まとめてみましょう。
推論は、論理的かつ体系的なアプローチで、データや情報から合理的な結論を導き出すことに有効です。情報が比較的明確である場合や、ルールが明確な状況で使うことで、ChatGPTの能力を引き出せます。
洞察は、直感的かつ創造的な側面が強く、複雑な状況や曖昧な情報の中から、表面的なデータを超えて本質的な要素を発見する能力をChatGPTから引き出すことができます。
ChatGPTの回答が推論してもらうのか、洞察してもらうのか、ということの違いが明確になってきましたね。前回の考察と同じような理解と考えてよいかと思います。
4.ChatGPTに求める言葉として適切なのはどちらか?
つまり、「推論」と「洞察」どちらでChatGPTに問いかければよいのか、については、自分がChatGPTに何を期待しているかによる、ということですね。おさらいとしてまとめてみましょう。
論理的な問題解決や、明確なルールに基づいた回答を求める場合には、ChatGPTの「推論」能力を高めるように指示するのが適切といえます。例えば、計算、論理的な関係の分析、論理に基づく意思決定などですね。
例: 「データを基にして、論理的な推論を行い結論を導いてください。」
創造的なアプローチや、未知の課題に対して新しい視点を求める場合、ChatGPTに「洞察」を促すような指示を出すとよさそうです。ビジネスアイデアの創出や、複雑な状況に対する新しい発見が求められる場面では洞察が重要になってきますね。
例: 「この問題に対して、洞察を持った新しい視点を提案してください。」
5.ChatGPTに問いかける適切な言葉
それでは、ChatGPTに推論か、洞察かで問いかける際にどのような指示をすればよいか簡単な例を挙げてみたいと思います。
以下のようなフレーズを含めると、論理的な視点から推論としての回答で考えてくれます。
「論理的なプロセスを踏んでください」
「因果関係を分析してください」
「データに基づいて結論を導き出してください」
「前提条件をもとに次に起こることを推測してください」
一方で、以下のような指示を含めると、より創造的で深い視点から洞察としての回答が得られやすくなります。
「隠れたパターンや新しい視点を見つけてください」
「この情報の背景にある本質を見抜いてください」
「既存のフレームワークを超えた視点を提案してください」
「潜在的な機会やリスクを洞察してください」
ただし、上記のようなフレーズがすぐに思いつかないときは、「推論してください」、「洞察してください」でも大きな違いはないかと思います。
6.まとめ
ChatGPTに対して推論してもらうときは、論理的な問題解決に適しており、明確な結論を導きたい場合に使用するとより有効な回答が得られるでしょう。
一方で、ChatGPTに対して洞察してもらうときは、創造的な発想や新しい視点を得たい場合に使うとよく、未知の問題や複雑な課題に取り組む際に適しています。
そのため、みなさんがChatGPTに対して何を期待するかに応じて、適切な言葉を選ぶことがとても大切ですね。