行動経済学でクレバーなフェミニストになろう!
みなさん、こんにちは!
近頃、#metoo 運動などもあり、ジェンダーの問題について実際に声を上げて活動したり、インターネットを通じて自分の意見を発信したりする人が増えてきましたね。
けれど、そのような、いわゆる「アクティビスト」「フェミニスト」になんとなく違和感がある人や、冷めた目で見ている人は結構多いのではないでしょうか?また、社会にはびこるジェンダー格差をおかしいと思ってはいるけれど、解決することと実生活での結びつきがよく分からない、という人もいるかもしれません。
実際、私の友人からも、「アクティビストって言われる人たちって、ただわめいてるだけじゃない?あれじゃ意味ないよね」とか、「社会問題、ほんとに解決できると思えないんだよね~」といった声はよく聞かれます…。
今回のブログでは、そのような人たちにこそ読んでいただきたい1冊、
「WORK DESIGN 行動経済学でジェンダー格差を克服する」(イリス・ボネット著/池村千秋訳)
を紹介します!!
「WORK DESIGN」って、どんな本?
現在の社会のジェンダー格差の要因は、私たちの無意識のバイアスにあると著者は述べます。例えば、女性が交渉をしようとすると攻撃的とみなされてしまうこと、女性と男性が同じ能力でも男性が高く評価されること、などです。このようなバイアスは、自分で排除しようと思っても、なかなかできないものです。
そのようなバイアスを研究から明らかにし、行動経済学を用いて解決します。
ここから、私がこの本を読んで印象に残った点を3点取り上げます。
1.無意識のジェンダー・バイアス
この本の前半では、人々の無意識のバイアスやその問題について取り上げています。
詳しい研究内容についてはここでは省略しますが、仕事の交渉の際、女性はしっぺ返しを恐れて自らに有利な戦略をあまり実行しない事例、女性の方が自己評価を低くしがちで、それが昇進に影響を与えてしまう事例などが挙げられています。
この背景には、人々が女性の方が能力が低い、優しくあるべきなどの思い込みをしているということがあります。
このような無意識のバイアスを取り除くために、人事や職場のデザインを変えていくことが必要です。
2. クオータ制について
“人々が女性リーダーに偏見を持っていれば、女性がリーダーの座に就くのは難しいが、女性リーダーを実際に見なければ、古い偏見を改めることは難しい”(P.255)
ここでいうクオータ制とは、議員や会社役員などの定員の一定割合を女性枠にすることを指します。
このクオータ制に疑問を感じる人は、結構多いのではないのでしょうか。私自身、クオータ制に関して反対の意見を持つ人がいるのは仕方ないと思っていました。
なぜなら、実際に選挙の時、女性が立候補したり、女性の数が少ないと言うと、「女性の能力が低いからだ!」という声があがるからです。しかし、上記の引用文の通り、クオータ制は社会にメリットをもたらすということを、この本を読めばわかっていただけると思います。
この制度により、実際に働いている女性を見て能力を判断できるので、会社としても優秀な人材を見つけることができます。また、女性からすれば、女性のロールモデルから学ぶことができます。
3. ダイバーシティの追求
“人はそうせざるを得ない状況に置かれない限り、ダイバーシティを追求しようとはしない。しかし、ダイバーシティは恩恵をもたらす”(P.275)
個人的に、この文章の「そうせざるを得ない状況に置かれない限り」という部分に切なさを感じました…。
しかし、今の社会では仕方ないのかもしれません。ダイバーシティが、ジェンダー格差を是正することが、自分や自分の企業のメリットに繋がると考えてもらえると、解決のために動いてもらえるのかもと思いました。
例えば、チーム作りをする際に、互いに補完しあえる人を集めればチームとしての能力が高まるということはすぐにわかりますよね。これも多様性がもたらす恩恵といえます。
まとめると…
この本を読むと、女性の能力が低いから女性のリーダーが少なかったり、出世しにくかったりするのではなく、(女性自身も含め)多くの人が「女性のほうが能力が低い」と無意識のうちに思い込んでいるから今日の状況になっている、というのが分かります。これでは、ますます女性が自分を過小評価する、という悪循環に陥りますよね。つらい現実です。
しかし、この本で挙げられているアイディアのように、行動経済学を使うなど、戦略的に考える方法を身につけることで、偏見や差別が当たり前になっている社会も少しずつ変えていけるかもしれません。しかも、人々の理解も得つつ。
このことを、私たちのGenesisの活動に落とし込むと、私たちが活動していく中でも、ただひたすらに「性的同意大事!!!」と訴え続けるだけでなく、人々の行動や感情を考え、活動していくことが重要ということです。肝に銘じて活動していきたいと思います。
今後も私たちの活動を応援していただければ幸いです。
今回紹介した「WORK DESIGN」では、上記の内容以外にも様々なアイディアが満載です。特に、ビジネスに関わっている方にはとても身近に感じられる話なのではないでしょうか。
ぜひお手に取ってご覧ください。
今回のブログは以上です。今後も定期的に更新してくので、お楽しみに!
そして、ぜひ #Genesisブログ でシェアをお願いします!
#Genesis #性的同意 #文献紹介#行動経済学#ジェンダー
文責:山田千聖