オランダ_カバー写真

「はじめて」が慎重になるオランダで小学生はセックスをどう学ぶ?〜第2回 初等教育編〜

皆さま、お久しぶりです!
Genesisのメンバー、佐藤翠です!


前回私が書いた記事「少年少女にセックスを教えても、エッチをしない国オランダの謎!〜第1回 オランダの性教育の成果〜 」では、
閲覧数3000を超えるなど、多くの反響をいただきました!


本当に嬉しい限りです!


今回は、「第2回 初等教育編」ということで、オランダの4歳から12歳の子どもたち向けの性教育を中心にお話していきたいと思います!

が、その前に!

近年のオランダの性教育の発展において非常に重要である、性教育の法的な位置付けについてご紹介させてください!


オランダの法律と性教育

前回の記事でも少し触れたように、オランダの性教育は1960年代から整備されてきました。

一方で、オランダはイスラム教徒やスリナム(南アメリカの国で、オランダの植民地)系の移民は昔から一定数おり、その数は近年大きく増えてきており、保守的な文化や宗教への配慮から、性教育は多くの学校で行われていたものの、絶対的に行われていたわけではありませんでした。

しかしながら、2012年。
オランダ政府は、「性の多様性に関する内容を含む性教育をオランダの全ての学校で取り入れる」ことを義務化しました。

理由は、人として成長し、人権を守るためには性教育は欠かせないから。
違いを受け入れながら自分だけでなく周りの人を尊重し、幸福になる上で、性教育は教育の中でも最も重要であるという見解を政府も強調しています。

その上でオランダ政府は、HIVを始めとした性感染症や性的マイノリティに対する支援を行なっています。
実際にそれらの支援についてオランダ政府HPに詳しく書かれているので興味がある方はこちらのリンクから読んでみてください!


また、日本の皇室ともゆかりが深いオランダのロイヤルファミリーも性教育や性の多様性への重要性を表明するために、様々な活動を行なっています。

国王であるウィリアム・アレクサンダー王(写真左)は、オランダの性教育のカリキュラム作成や政府提言などを行なっているNGO団体Rutgersの50年記念式典に参加しました。

妻のマキシマ王妃(写真右)は、LGBTQの権利をオープンに支持するだけでなくロイヤルファミリーとして初めてLGBTQの国際会議に出席しました。 オランダは世界で初めて同性婚を認めた国であり、世界一LGBTQに優しい国として知られています!

(オランダのLGBTQ事情については、お話ししたいことが沢山あるので、また別で記事を書きますね!!)

国王と王妃


さて、ここからは本題であるオランダの初等教育についてお話していきたいと思います!


オランダの初等教育

オランダの性教育が始まるのは、早い場合なんと4歳から。

え....?

4歳!????

一体何を話すの? そもそもクラス、成り立つの?

そんなみなさんに、ぜひ見ていただきたい動画(5:00ぐらいまで)があります。


これは前述のNGO団体Rutgersによって提供された動画で、オランダの初等教育の低学年の子どもたちのクラスで性教育が行われている様子を映しています。


内容は大きく分けて、二つ。
まず始めに「おばあちゃんに急にキスをされた際に嫌だと感じたらその気持ちをどう伝えるか」を話し合い、次に「赤ちゃんがどのように誕生するのか」についてクラス全体でディスカッションする、というもの。

その内容にも驚かされますが、4歳といえば、「コウノトリが赤ちゃんを運んでくる」と思っているような年頃。
そんな年齢の子どもたちがしっかりと真面目に考え、自分の意見を発言していることにも感銘を受けるばかりです。

もちろん初等教育での性教育はこれだけで終わる訳ではありません。

オランダでは、各学年で達成すべき性教育の目標(何について生徒が知るべきか)は決められているものの、詳細な内容は学校に委ねられています。

そのため各学校によって違いはありますが、多くの初等教育学校では、スクールTVと呼ばれるオランダ国営放送局が呼ばれるデーターベースにある性教育に関する短い動画を高学年の生徒に見せているとのこと。

それらの動画から、芸能人やスポーツ選手、政治家など様々な業界の有名人自身の経験や考えを学ぶことで、性に関する色々な知識を幅広く学べるそうです。

また、性的欲求・自慰行為・ホルモンの働き・DV・拒絶・恋愛感情・ジェンダーアイデンティティ・避妊の方法・男女のステレオタイプなどについてのビデオを見ることがありますが、生徒は一貫して真面目に授業を受け、意見を交換することを要求されます。

画像2


ちなみに実際に私のオランダ人の友人に性教育の授業内容について直接聞いてみたところ、
「10歳ぐらいのときに先生から直接、避妊や射精、デートや月経などのトピックについて習ったよ!先生が自分の話を始めた時はびっくりした!笑」

というなんとも驚くべき話をしていました。

興味深いですね!!!


一方で、先生が直接教える場合には、どのように授業を進めるべきなのか、多くの場合専門家からトレーニングやワークショップを受けることができます。


みなさんの中には、
「いやいや、いくらなんでも小学生の頃から詳しい性教育を行うのは早すぎるでしょ!」と考える方もいるかもしれません。

ですが、早い段階で性教育を始め、性について知識を得たり意見を交わすことで、成長してからもオープンに話せる環境を作ることができます。

また、日本を始め世界中で幼い頃に性的被害を受けたものの知識がないゆえに何が起こっているのか理解できず、相談できないまま成長してしまった、という例が後を絶ちません。

もし幼いうちから性教育を受け、それが良くない行為であることを認識できれば、性的被害を未然に防ぐことができるのではないのでしょうか。


次回の記事では、さらに発展した内容について学ぶ中等教育学校での性教育についてお話したいと思います!
その実践的な内容には本当に驚かされるはずです!

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#性教育 #オランダ #Genesis #性的同意 #sexeducation

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