VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -020(Case of FEI)

3日後、燃え盛る炎に包まれた崩落したビルに“S”と刻まれた機械が数体いた。

この3日間、十数件に渡り謎の爆発事件が発生していた。                初めの方こそ深脊界市復興公社しんせかいしふっこうこうしゃが対応していたが、ついに“S”も動き出したのだ。

「ようやく来やがったか」

突如として真後ろから聞こえた声に、“S”の機械達は振り返る。              その人物は、上着のポケットに両手を突っ込みながら月明かりを背に悠然と歩を進める。

「俺の目的はオマエらにあって、公社隊の連中に用は無ぇからな。そっちが来るまでその辺爆破してやるつもりだったんだよ」

そう説明した男―――フェイは、“S”と刻まれた機械達の数メートル手前で足を止める。

そう、この3日間で起きた十数件の爆発事件の犯人はフェイだったのだ。

フェイは、一切得られない“S”の情報を手にするべくこの爆発事件を起こした。                                住人が少ないくせに無駄に広い深脊界市だ。住人は全員一つの区画に集まっている為、それ以外の場所ならどれだけ爆破しようが人的被害はゼロ。それならと思い、わざわざ“S”を誘き寄せる為にこうして派手な事件を起こしたのだ。

「今度は翼を出してミスるなんてヘマはしねぇ。散々振り回してくれた迷惑料も含めて、情報は根こそぎ貰ってくぞ」

電磁支配エレクトリック電磁投射砲コイルガン

数体の“S”所属の機械達を磁力で1ヶ所に纏めると、巨大な砲弾として近くの壁に亜音速で叩きつける。

《敵性要員補足。速やかに排除する》

強力な磁力によって握り潰すように締め付けられている中、それでも各自武装を展開しようと無理に動く機械達を見ると、舌打ちをして横から電撃を貫通させて破壊する。                                   “S”に対してかなり苛ついていた為、衝動的に壊してしまったが、システム面は避けたから大丈夫だろう。

(チッ、手子摺らせやがって。こっちは遊びでやってんじゃねぇんだよ。...............あ?)

前回、武装集団に扮したロボット達からは一切情報が手に入らなかったが、今回こそは必ず回収する。                      そう思い、すぐサーカステントの研究室に空間移動テレポートしようとすると、頭上から何かが急速に落下してくることに気付いた。               また機械だろうと思い電撃を放つも、表面に触れた瞬間何故か電撃が拡散した。おそらく絶縁体で作られているのだろうと予想して回避する。

重力操作グラビティ観測スキャン 

電撃が効かない為、目の前の物体にかかる重力を感知してその正体を暴く―――その前に、







「《やっほー!初めましてだねぇ!わたしは“S”のプルノっていうの!よろしくね、VALISの護衛さん!》」







相手の方から、名乗りをあげた。

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