VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -025(Case of FEI)
8つの単眼に、10の脚を持つ巨大な蜘蛛―――TypeTプロトタイプ。それを模した3メートルを超える機械。どこからか監視しているプルノ曰く、ただ糸を吐くだけではないようだ。
「《きみがどこまで戦えるか見るのも含めて、その子のせーのー試験かいしー!》」 「ッ!?」
次の瞬間、単眼を一際大きく輝かせたかと思うと、途轍もない速度で脚を動かし全力のタックルを仕掛けてきた。 すぐに身体強化によって強化された脚力で回避すると、そのままTypeTの後ろに回り込み、片足を軸にして遠心力を余さず乗せた渾身の回し蹴りを叩き込む。
しかし、流石にこの巨体には効かなかったのか、びくともせず無駄に終わる。
(固ぇな。2メートルくらいのサイズなら吹っ飛ばせたんだけど...............やっぱ無理か)
TypeTは電柱が数本もありそうな脚を動かしてこちらに向き直ると同時に、お返しと言わんばかりに真横から脚の1本を薙ぎ払う。 屈んで躱しながら懐に潜り込み、電撃を纏った拳で殴りつけようとして、
「!?」
ビュカッ!!と開いた口から発射されたビームによって、吹っ飛ばされた。
数メートルほど吹き飛んだ後、何度かバウンドしてようやく止まる。 身体強化は肉体の強度も底上げする為怪我こそしなかったものの、ダメージはしっかり通ってしまった為全身の痛みを軽減しつつ、脳を修復して軽い脳震盪を治して立ち上がる。
「《やーっぱり引っ掛かったぁ。あーあ、折角チューコクしたのにねー。前みたいに変身してれば良かったのに》」 「.............チッ、どんな小ネタ仕込んでるかと思えばビームかよ。うざってぇな――――だから、今すぐ潰す」
MODEL_CASE CYCLOPS
1つしか無い丸い目を持つ巨人、単眼巨人。 5メートルを超える巨体の右足が、TypeTを蹴り飛ばす。簡単にひっくり返ったTypeTは体勢を立て直そうとするも、その巨大さ故に上手くいかない。 巨人に向けて強酸性の糸を吐くも、対酸性の肉体を構築していた為に効果は無い。TypeTの無防備な腹を踏み潰し、頭部を引き千切ると機能が停止した。
「《あー、やっぱりダメだったかぁ...........》」 「『これで終わりか?まだやるってんならこの建物ごと消し飛ばすぞ』」 「《いやぁ、もー降参。今日はこれで終わりにするよぉ》」 「『あっそ。ならとっとと失せろ、そして二度と俺らに関わんじゃねぇ』」 「それは無理な相談ですね」
どこかで高みの見物をしているプルノに警告すると、これ以上の戦意は無いらしいのでTypeTの頭部を投げ捨て能力を解除する。――――しかし
その後に続く声に、耳を疑った。