VALIS二次小説 理想が欲しくて 裏世界編Main Story -008(Case of FEI)
時間は進み、20時。
「お前本当にやるのか..........」 「当たり前でしょ」
なんと、ララは練習が終わるや否や“休憩せずに”そのまま模擬戦を始めると言い出したのだ。流石に10分くらいは休むと思っていたが、どうやら予想以上にストイックバカだったらしい。
「誰でも良いから審判やって。一応模擬戦なんだから」 「はーい。それなら、チャンニナがやりまーす!」
どうやらニナが審判をやるらしい。
「アンタは準備運動しなくていいの?怪我しても知らないわよ」 「模擬戦なんだから大した怪我しねえだろ。そもそも、多少の怪我で騒ぐ護衛ってなんなんだよ」 「それもそうね」
目の前で入念に身体をほぐすララの質問に返すと、自分でも納得がいったのかすぐに口を閉ざした。
(あれ、ちょっと待てよ?)
ララの“力”について深くは知らないが、たしか肉体のサイズを変更できたはず。 ということは、
肉体を大きくすれば服は弾け飛ぶし、肉体を小さくすれば服だけその場に残るのではないか?
つまり、どのみち全裸である。
.......................
こ れ っ て 相 当 ヤ バ く ね ?
待って待って嘘でしょ?それほんとに言ってる?試合前にとんでもないこと発覚したんだけど。まさかそんな可能性あると思わないじゃん。これって俺見ちゃったら即死刑ですか?たとえララのストイックバカが招いたある種の準備不足でも即死刑ですか?
「それじゃあ3つ数えたら始めるね!」
あ、これもう無理だ。今から指摘しても間に合わん。せめてもの対策として目を瞑っておこう。
「3.......2.......1........始め!」
PARTS_CAST WINGS
開幕早々、ララが仕掛けてきたのを気配で察知し、すぐさま肩甲骨の内側から翼を生やして防御する。
ゴンッと鈍い音と共に、強烈な衝撃が襲う。どうやら巨大化した脚で蹴りつけてきたようだ。翼で受け止めていなければ、2メートルは吹き飛んでいただろう。
次はこっちの番だ。
防御していた翼を振るいララの脚を弾くと、反対の翼で突き刺すように殴り飛ばす。 鍛えられた腹筋から伝わる感触からするに、今の攻撃では威力不足のようだ。もう少しだけならギアを上げても大丈夫だろう。
ルール上ターン制ではない為、そのまま攻撃を続ける。
翼を巨大化させ、弓のようにしならせると、全力で振るい突風を引き起こす。
MODEL_CASE WOLF
ララに突風を叩きつけると、すぐに翼を解除して狼の姿に変身する。 犬科生物特有の優れた嗅覚を頼りに、ララへと全速力で駆ける。
電磁支配・放電
ララの身体を駆け上り、背中にしがみつくとバヂリッと音を鳴らしながら放電する。 が、それに気付いたララが身体を縮ませる。途端に発生した浮遊感に驚くが、ララの匂いから床の方向を割り出し体勢を整えて着地する。
それにしても、今の感触はおかしい。まるで布でも触ったような.......... ララには悪いと思いながらも、これまで閉ざしていた目を僅かに開く。
確かにララはそこに居た。
――――普段の衣装を身に纏った、ララの姿が。