VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -012(Case of FEI)
深脊界市を散策した日から2週間、今日は久々のオフだ。 1日中歩き回った為かなり疲れたが、テント周辺のことが大体分かったのは大きな収穫だろう。 特に、この街は現在【深脊界市復興公社】という組織が中心となって復興中というのは驚いた。
あの日から未だにあの妙な感覚は続いている。普段は気にならないし、意識しないと分からない程小さな違和感だが、それでも出来るだけ早くどうにかしたい。小さな不調が原因となって、大きな症状になることも珍しくない。それが理由でVALISを護れなくなっては護衛失格だ。
とは言っても、具体的な対処法が判らないのも事実。取り敢えず、今日くらいはゆっくり休もう。 そんなことを思いながら歩いていると、あるものが視界に写り込んだ。
(ほんとデカイ樹............)
視線を動かし、その全貌を見る。 それはどこまでも高く聳え立つ、巨大な樹木だった。あの日、『この世界』を散策していた時偶然ヴィッテが見つけたものだ。
(でもなぁ..........やーっぱ残念だよなあ)
角度によっては月よりも高く見えるその樹木は、――現在ではその殆どが枯れかけている。 それを隠したいのか、例の復興公社はこの樹の外側に何か塔のようなものでも建てるつもりのようだ。
(にしても........あの樹、何かに似てる気がするんだよなあ)
まあいっか、とあまり深く考えずこの広い街中を彷徨いはじめた。