VALIS二次小説 理想が欲しくて 裏世界編Main Story - 002(Case of FEI)
長机の端に立つ団長が、座っている彼女達+俺に向けて演説めいた口調で話をしている。のだが........
「えー今宵は、来るべき新たな挑戦に向けて、英気を養うためのディナーであり......」 「フォークとって!あとお皿足りない!」 「お水お水~!意外と辛かった!」 「お肉、相当奮発したね」 「はむ......はむ......」 「VALISが次のステージに進むための大勝負!そのためにも......」 「ちょっとそれわたしも食べたかったやつー!」 「おかわりすればいいよ」 「だから誰かお水とってってば~!」 「おかわりお願いします~」 「はむ......はむ......」
なんだこの混沌。どいつもこいつも食うことしか考えてねえ。しかもうるさい。飲み会で酔ったおっさんもこれぐらい騒ぐのか?つーか誰か水とってやれよ。
一番理解出来ないのはソートだ。こいつ、自分がスルーされてるにも関わらず一切ペース崩してねえ。誰も聞いてないって解るのによく喋れるな。一番スルースキル高いのこいつじゃね?どんな神経してんだこのデカネズミ。
「ねえフェイ」
自分が知る限り、最もぶっ飛んだグループに引いていると、向かい側に座っていたララが声をかけてきた。
「ショウも終わったことだし、貴方の“力”について教えてくれないかしら?」
“力”。 ララがその言葉を発した瞬間、他のメンバーが動きを止めて俺を凝視してくる。どうやら皆気になっていたらしい。 一つため息を吐き、ララの質問に答える。
「俺の“能力”は肉体操作。名称は偽造生命。俺の名前はこいつからとった」 「偽造生命.......」 「その効果は、細胞を自由に操作して、肉体やその強度を俺が思い描いた通りに変化させられる能力。簡単に言えば、カラスとか猪みたいな既存の生物からドラゴンや恐竜みたいなデタラメな怪獣まで姿を変えられる、文字通りなんでもござれな変身能力。一応質量も弄れる。操作の仕方を工夫すれば、こんな風に物理現象も引き起こせる」
実演として、指先から小さな炎、水流、竜巻、放電などを見せると、「おおー」と感嘆の声をあげる。
「効果範囲は俺自身は勿論、俺が直接触れた生物や半径50メートル以内の生物全て。極めつけには、この範囲内に居ればそれが生物ならなんでも空間移動出来る。流石に制限はあるけどな」
俺の説明を聞いたVALISは皆、開いた口が塞がらないといったように呆然としていた。
「..........なんか、思ってた以上に凄かった」
絞り出すようにララが言う。いや何この空気!?なんかすげぇ気まずいんだけど!?ララが聞いてきたから教えたんじゃん!
「ねーねー、それやってみてよ」
そう言ったのはヴィッテ。どうやら俺が能力を発動するのを見たいらしい。
「えぇ..........まあ良いけど」
そう言って立ち上がり、部屋に隅に移動する。この部屋の大きさだと...........
MODEL_CASE WOLF
体躯が伸びて、姿勢も老人のように歪曲する 耳は犬のように形を変えて巨大化した。 衣服の上から、全身を覆うように“造られた”肌が増える。 元々少なかった筋肉は、信じられない程肥大化した。 増えた肌の上から、銀色の太い体毛が生えて長く伸びる。 口は裂け、鼻梁は数倍に伸びて、顎とともに突き出る。 裂けた口からは何よりも太い牙が生え揃って、両手両足の爪は肉食獣のように鋭く尖った。
変身対象、狼。