VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -029(Case of FEI)
ソートに“S”――――深脊界市復興公社の真実を知らされた日から1週間、偽造生命に造り出した蝶を使って深脊界市全域の情報を片っ端から集めた。各建物の数やその配置、地形や住宅街に住む人の人数に、その人の職業など。とにかくなんでもだ。
これからの目標は3つ。
1つ目。VALISと存流の7人と合流して、これまでのこと、ソートのこと、自分のことを全て余さず話す。
2つ目。公社隊の連中をぶっ潰して、俺も深脊界市に居て良いと認めさせる。
3つ目。ソートをぶん殴る。
とりあえず、ソートは絶対ぶん殴る。そして、こんなやり方は間違っていると教える。
ソートは口癖のように言っていた。「吾輩はVALISの為ならどんなことでもすると誓ったのです」と。 そして、連日VALISの為に彼女なりに頭を悩ませていたことぐらいフェイにも解る。たとえそれが、とても歪で間違ったものだとしても。
なら、やらなきゃいけない。公社隊を退けて、間違った思想ごとソートを殴って、しょうもない俺達の過ちを皆に話して、そうして最初からやり直す。
その為に、俺は公社隊に勝つ方法として、VALISの護衛に使っていた偽造生命のリソースを全て解除した。これで偽造生命が持つ本来のスペックをフルで発揮出来る。これまで困難だった深脊界市全域の捜索が出来たのはこのお陰だ。
1週間に渡って捜索した結果、公社隊関連の施設は全部で28ヵ所あることが判った。 まずこの施設を近い場所から順に襲撃し、やつらが持つ情報を奪う。それと平行して、能力によって造り出した生物達を使ってあらゆるシステムにハッキング、こちらの『目』を増やす。
相手の戦力は未知数だ。これまでのように、どんな兵器を使われるのか分からない。だから、出来るだけ早く情報を得ることが重要だ。
加えて公社隊が俺を消す為に展開させたのか、今や街中に公社隊の戦闘ロボが闊歩している。余計な消耗は避けるべきだが、こいつらからも何か情報を得られるかもしれない。生物達を介した接触なら問題無いだろう。
作戦は明日から開始する。今日はもう休むとしよう。
そういえば、軽く情報収集している時、“明透”という人物の話を手に入れた。 どうやら、現在はVALISや存流と共にシンガーとして活動しているようだが.............. 存流同様ただの一般人なら良いが、このタイミングで姿を表すのは引っ掛かる。少し警戒しておく必要があるかもしれない。