VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -022(Case of FEI)
偽造生命によって可能となった物理法則の操作、その火炎系――業火絢爛の焰がプルノが操る機体を灼き尽くす。
「《うわーすっごい!視界が真っ赤っかだよぉ!...........でーもー、そんなのじゃ全然熱く無いよ?》」
次の瞬間、プルノを中心に竜巻が発生する。
「な......!」
竜巻はあっという間に消火活動を終え、プルノの姿が露になる。
「《ざーんねーんでーしたぁ!!!!これはプラズマでもなきゃ意味ないよー》」 (チッ、絶縁体の次は超高性能な耐熱材かよ。どんな技術で創ってやがんだ)
業火絢爛の最高温度は6000度だ。それが効かないとなると、火炎系は使えない。
なら、これでも使ってみるか。
MODEL_CASE WYVERN
それは、存在するはずのない生物だった。
頭部はドラゴンで、その口からは赤い舌が伸びる。 コウモリの翼に、ワシの脚を持つ。 ヘビの尾の先端には、矢尻のようなトゲを生やす架空の怪物。
変身対象、飛竜。
「GYAAAAAAAAAOOOOO!!!!!!」 「《うぇー嘘、これ飛竜!?なにそれ聞いてないんだけど!きみそんなこともできたの!?》」 「『そりゃまあな。むしろ、これが俺の本領だ』」 「《しかも喋れるの!?嘴動いてないのに!?》」
当たり前だ。そもそもこの身体は偽物で、本体はこの中にある俺自身なのだから。
「《でも、たとえそんな姿になったとしても、わたしとこのべびーちゃんには勝てないよぉ!》」 「『それはどうだろうな?』」 「《今度は何!?..........って、なんか溶けてる!?》」
腐食ブレス。 電気が駄目で火炎も駄目なら溶かしてやる。 さらに...........
重力操作・加重
「『腐食と圧縮。これにはどうやって対処する?』」 「《めんどくさいなぁ!》」
必死に対処しているプルノを尻目に、まだ磁力で縛りつけていた機械達を引き寄せる。
「《確かにめんどーだけど、これで勝ったつもり?》」 「『誰がお前に勝つって言った?』」
機械達を背中に乗せると、勢いよく羽ばたく。
「『ムカつくが今回は仕切り直しだ。そもそもお前の登場は想定外なんだよ』」 「《ちょ、逃げるとかありぃ!?》」
そんなプルノの声をガン無視して煙幕を張るブレスを吐き散らすと、全速力で逃走した。
「《ま、またすぐに会えるからいっか―――わたしじゃないけどね》」
プルノが零したその呟きは、フェイの耳には届かなかった。