VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -030(Case of FEI)
――PM17:32――第三自然法則解析応用研究所。
いつものように無数の機械達が所内を移動している時、突如として正面入口が爆発する。 緊急事態に反応した警報がけたたましく鳴り響く中、フェイは爆煙から出てくると武装を展開する警備ロボを無視して歩く。
業火絢爛、自動発動
警備ロボが一斉に掃射した機銃が、6000度の灼熱で融解する。
能力の自動発動。以前までのフェイには出来なかったが、公社隊の目的がVALISや存流達ではなく自分だと判明した際、VALIS達の護衛を自律型の生物達に一任したことにより、これまで護衛に割いていたリソースを自由に使えるようになった為可能となった。
次々に襲い来る警備ロボを蹴散らしながら歩く。業火絢爛の炎に反応してスプリンクラーが作動するが、あまりの高熱にすぐ蒸発してしまう為意味が無い。 6000度の熱波を纏い、水蒸気を作りながら予めハッキングして入手した見取り図を頼りに、データ管理室に向かう。にしても..............
(さっきから人間と遭遇しない。1件目の襲撃だから無警戒だったのか?)
似たような警備ロボとは出くわすが、自分と同じ人間は見当たらない。
フェイは知らないことだが、公社隊に人間は数える程しか居らず、残りは自律型の無人機によって構成されているのだ。(因みに、以前フェイが押し問答をしたスタッフは公社隊ではなく、復興公社所属である)
探索を続けデータ管理室にたどり着き、目的を果たすと用済みになった研究所から抜け出すべく出口へ足を進める。その時。
「あー居た居た!まったく、人が留守にしてる間に警報が鳴るなんて思わないじゃーん。しかも、急いで来たらもぉいろんな所が溶けてたりしててちょー大惨事じゃん?わたしが担当してる所なのにサイテー。本部から遠いのに酷すぎるよぉ...........」
1度だけ聞いたことがある、女の声がした。 おかしなことではない。“彼女”もまた、公社隊のメンバーなのだから。
「この責任、どう取ってくれるのかな?フェイくん」
TypeP。2ヶ月前、フェイに自身の同僚と一緒に面倒な仕事を押し付けて、結果的にフェイを罠に嵌めて大きな精神的ダメージを負わせた相手。
「やっほー、1週間ぶりだねー!ネズミの団長さんからクビにされちゃって可哀想ぉ............でも、君のジゴウジトクだよね!」
予想外の人物の登場に驚くも、続く一言にイラッとする。しかしそれよりも、フェイは疑問に思う部分があった。
(1週間ぶり...........?こいつとは2ヶ月間会ってないはずだぞ)
そう。フェイがTypePと最後に会ったのはソートに敗れた日ではなく、それよりもさらに2ヶ月前のことだ。どこかですれ違ったこともあり得ない以上、彼女の発言には違和感を覚える。
「あれ?まだ言ってなかったっけ?わたしたちは1週間前に監視カメラ越しに喋ったんだよ」
「監視カメラ............?」
まさか、彼女は...............
「うん!プルノっていうのはねぇ?わたしの偽名なの!」