VALIS二次小説 理想が欲しくて 裏世界編Main Story -003(Case of FEI)
「わー凄い!なにこれ狼になったよ!」 「あらあら、毛がふさふさしていてとっても可愛いわね」 「ヴィッテにも触らせて!」 「はいはーい!ネフィもモフモフしたいでーす!」 「質量も弄れるとは言ってたけど、こんなに大きくなるのね。2メートルくらいあるんじゃない?」 「筋肉も発達しているようだ。これだけ体格が変化したのに、衣服は破れなかった............あ、でも“衣服の上から”姿が変わったからか。でもその場合、衣服やフェイ自身はどうなるんだろう?.............うん、実に興味深い」
ちょっ...........こいつら問答無用でベタベタ触って来やがる!少しは遠慮しろよ!おい今耳と尻尾引っ張った奴誰だ!?神経繋がってんだぞ痛ぇからな!
VALISの猛攻(?)に、堪らず空間移動して距離を取り、変身を解く。
「あ!消えた!」 「っと............お前らなぁ、人が変身したら急に飛び付いて来るなよ。夏場の羽虫か?」
ぶつぶつと文句を言うと、それに反応した全員が一斉に視線を向ける。怖いわ。
「あーいたー!ねえねえ、もう一回変身してよ!」 「やだ。お前らまたベタベタ触るだろ」
その後、もう一度見せろとうるさいVALISをどうにか黙らせて食事に戻った。
「はぁ...........二度とこいつらの前で変身しない」 「そろそろ、吾輩のお話に戻っても宜しいですね?」
ソートがそう言ったのを聞いて、そう言えばまだこいつが喋ってたなと思い出した。 VALISも一瞬だけ視線を向けるが、そもそも興味は無いのかすぐにギャーギャーと騒ぎ始める。なかなか酷ぇな。
完全にスルーされたにも関わらず、「では」とソートは話し始める。やっぱこいつおかしくね?
「そう、ついに『あちらの世界』に打って出る! VALISのパフォーマンスで『あちらの世界』の人々を瞠目させる絶好の機会です!」
その一瞬だけ、食器が鳴るトーンが下がる。 あちらの世界。 VALISの6人はそれぞれ理由は違えど、逃げて、見捨てられた世界。そこでもう一度、自分達がここにいると叫ぶことができる。爪痕を残せる。その願いは、6人同じ。 そして高ぶった想いは——食欲にぶつけられた。
「お料理もっともっとー!」 「ミュー、それはなんだい?」 「カレーよ。欧風カレー、とってもおいしいの」 「こっちのお皿は?」 「グリーンカレーね。辛さが最高!」
嘘だろこいつらマジか。 どんだけ食うんだよ意味わかんねえよ胃袋どうなってんだよいつまで食うんだよ切り替え早ぇよ少なからず思うところある話題だったろなんでお前らそんな食えんだよ。
閑話休題
ミューの前には、色とりどりのカレーが盛られた皿が並んでいる。ちなみにカレー以外は一切ない。カレー食いすぎだろ。
「ね、そんだけカレー食べて飽きないの?」 「……だってカレーよ?」
何をおかしなことを言ってるの? という顔で見つめられて、ネフィは話を続けるのをやめ、自分の食事に集中した。十分おかしいよ?
「それにしても、見事だね」 「?」
突然話を振られたネフィに、チノがナイフとフォークを指差す。
「食べ方。綺麗だ」 「あ……そう? 普通じゃない?」
おっと、今のは何かあるやつの反応だな。食べ方について言われてってことは、家庭環境に何か問題があったか?金持ち特有のめんどくさいやつか。
まあ、そこら辺は追々考えるとするか。今は目の前のメシを食べるとしよう。...........能力使えば何も食わなくても生きていけるけど。
騒がしくも楽しい食事会は、まだ終わりそうにない。