【GTA5】個人的最強ラジオ局、Los Santos Rock Radio を深掘り
この記事は約9,000字あります。全部ゆっくり読んだ目安で10分ほどです。時間があるときに読んでいただければ幸いです。
はじめまして、大将ぽこと申します。
気づけば今年で発売10周年になるGrand Theft Auto V (通称:GTA5、グラセフ5とも)。
そんなGTA5を今更深掘りしていきます。
かなり個人的解釈を含みます。
次回作の制作が発表されたのも1年以上前。今後の展望に期待しつつ今回はラジオ局のおはなし。
アップデートにより追加された局も含めて約30もの局があり、それぞれ特徴が異なります。派手めなハードコアやダンスミュージック、近年のポップスなど多岐にわたりますが、今回紹介するのは「Los Santos Rock Radio」という70~80年代(一部60年代)のロック曲を多く集めたラジオ局。その多くが往年の名曲ばかりであり、作中ラジオ局で最も(色々と)お金かかってそうなラジオ局です。
さて、このラジオ局について筆者の勝手なイメージとしては、「選曲がなかなか渋い」ということ。これは褒め言葉ですよ。ほんとに。
もちろん収録曲は良いものばかり、悪いものを挙げるほうが難しいのですが、例えばバンドがあまり日本では有名ではなかったり、有名なミュージシャンでもちょっとマイナーな曲を選んだり。
敢えてそういうところにも着目しながら収録曲をいくつかピックアップして深掘りしていたいと思います。
なお、今回紹介する対象には2013年発売のGTA5オリジナル版(PS3/XBox360)には収録されていないものも含まれます。それらについては明記しますが、PS4,5/XBoxOne,SeriesS,X/PC(解説時は強化版と表記) これらを前提にお話していくことをご承知ください。
1. MC、ケニー・ロギンスの存在
さて、このラジオ局は曲の切り替え時にCMが入ったりMCの語りが入ります。また、曲のはじめには紹介としてMCが曲名やアーティストについて語ってくれます。
聞き耳を立ててみると、そのMCの声はやけに特徴的で、やや高めの声をした男性であることがわかります。
そのMCを務める彼こそ、紛れもなく超有名アーティスト、ケニー・ロギンスなのです。
代表曲といえば、やはり忘れられないのがDanger Zone。映画トップガンの主題歌。最近では続編も公開され老いること無きトム・クルーズの姿にあまりに感動してしまい、先日映画館で観覧した際にはうすら涙が出てしまうほどに心が動かされました。
ラジオの話に戻ります。ケニー・ロギンス自体も楽曲の提供を行っており、2曲が収録されています。これも後々解説します。
そのひとつ、I'm Freeが選ばれた際には「The next music is "I'm Free", by Me.」(次の曲は僕の曲、「アイム・フリー」です。)と紹介。MC努めてるからこそできるこういうの、なんかいいですよね。
筆者はにわかではあるもののケニー・ロギンス好きなこともあり、彼がラジオのMC努めてるという情報だけでこのゲーム買うと最終決定したくらいに、自分は彼がいてくれることが嬉しい。
2. 分類別に曲紹介
ここからは、勝手に私の方で分類を作り、それごとに曲の紹介を行っていきたいと思います。
先程も申し上げました通り、このラジオ局は選曲が結構渋めで、有名なアーティストでもその中では比較的マイナーな曲もあったりします。
そこで今回は、真に勝手・失礼ながら収録されている38曲を以下の通り分類したいと思います。特に、日本での知名度で分類している点にご承知ください。
① アーティストの代表曲かつ普段日常的に聴く機会の多い有名曲パターン
② アーティストは有名だが収録曲よりも人気な曲・有名な曲があるパターン(収録曲が有名である場合も含む)
③ アーティスト自体が日本ではあまり有名ではないパターン
以上の3分類においてご紹介したいと思います。
① アーティストが有名で、収録されているものも有名な曲である
この分類に当てはまる楽曲は以下のとおりです。
Yes - Roundabout
The Doobie Brothers - What a Fool Believes
Kenny Loggins - Danger Zone
Steve Winwood - Higher Love
Starship - We Built This City
Def Leppard - Photograph
Creedence Clearwater Revival - Fortunate Son
Chicago - If You Leave Me Now
Julian Lennon - Too Late For Goodbyes
この中から、個人的なお気に入りを紹介させていただきます。
1.Yes - Roundabout(強化版収録)
プログレロックバンドといえばすぐに名前が上がるイエス。この曲は1971年に発売されたイエスの4枚目のアルバム、『こわれもの(Fragile)』に収録されその後シングルカットされた曲で、その長さ実に8分半にも及びます(ロックラジオでは最長)。
1分もの前奏に始まり、明るい曲調を2回繰り返した後、急に落ち込んだように寂しさあるパートに持ち込み、最後にはまた最初と同じ明るいパートで終わる構成になっています。
ゲーム内では始まりから終わりまで一切のカットがなされていないので、この曲が始まったら8分半ただひたすらにこれが流れ続けます。
ところで、この曲はジョジョのアニメのエンディングテーマになりました。
それに伴い、この曲が流れると「To Be Continued…」が頭に思い浮かぶ人は多いかと。
2.The Doobie Brothers - What a Fool Believes
最近だとボスのCMなんかで使われたりもしました。1979年の曲です。
さて、この曲はMCを努めているケニー・ロギンスと深い関わりがあります。というのもこの曲は当時ドゥービーブラザーズのメンバーであったマイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスによる共作であり、なによりもドゥービーブラザーズより先にケニー・ロギンスが発売した曲です。
マイケル・マクドナルドについての言及はゲーム内においても、この曲が流れ始めたときにケニー・ロギンス自身によって行われています。英語に自信がある人はぜひそういったところにも耳を傾けてみてほしいです。
3.Kenny Loggins - Danger Zone(強化版収録)
ケニー・ロギンスといえばやはりこの曲でしょう。最近続編が公開され改めてその人気を認識させられることとなった映画、『トップガン』のテーマです。
空母、戦闘機、空軍基地。プレイヤー自身が戦闘機を運転するだけにとどまらず、NPC戦闘機へのミサイルロックオン。GTA5には戦闘機という愉しみ方がありますが、それをさらに価値あるものへ昇華するこの曲。気分はまさにトム・クルーズ。
ことオンラインにおいては、ヒューメイン強盗・EMPというミッションの最終盤、プレイヤー戦闘機により敵軍を殲滅した際に自動的にこの曲が流れるようになってます。ベリーイカす。
4.Steve Winwood - Higher Love
ロックラジオ中では比較的新しい1986年の曲です。イギリスのミュージシャン、スティーブ・ウィンウッドによる楽曲で、バックボーカルにはアメリカのR&B歌手、チャカ・カーンが参加しています。
本国イギリスでの人気はもとより、この曲が特に人気になったのはアメリカ。ビルボードで1位を記録する人気となりました。
個人的な思い出ですが、およそ7年ほど前でしょうか。家の比較的近くのミスタードーナツでこの曲が流れていたことがありました。曲の良さもさることながら、人との会話や雰囲気を邪魔しないというのはとても良いことだなと感じた思い出でもあります。
5.Def Leppard - Photograph
イングランドのバンド、デフ・レパードといえばアルバム総売上枚数が1億枚を上回ることで有名です。その中でも全米1,000万枚を超えた二大アルバムが、『炎のターゲット(Pyromania)』と『ヒステリア(Hysteria)』。フォトグラフはその前者炎のターゲットに収録された曲で、サビのハモリが非常に特徴的で美しい曲です。サビ前のドラムからギターつなぎ、一番の盛り上がりで明るくハモリ。聴いてる自分も思わず参加したくなるようなその曲調はいつ聴いても聴き飽きません。
6.Chicago - If You Leave Me Now
邦題は『愛ある別れ』。今やロックの殿堂入りを果たしたシカゴですが、この曲は当時のシカゴとしては珍しいラブ・バラード。当時シカゴのボーカル・もといベースを努めていたピーター・セテラによる作詞作曲で、発表当初はビルボード一位に二週間も居座り続け、さらには当時ニューヨークのラジオでは4つの局が同時にこの曲を流していたという逸話も残っています。
ブラス・ロックとしての伴奏の厚さに加えてピーター・セテラの美しいボーカルとあって寂しさの中にどこか明るさも混じり、聴く人に「頑張ろう」という気持ちをもたらしてくれる曲です。
多くの人々へシカゴ認知をもたらし、人気やメディア露出も増えた一方で、一部メンバーは今後このような曲を出し続けることに批判をしていました。
しかしそんなことは今となっては些細な問題でしかありません。この曲がもたらす和やかで前向きな雰囲気は今もとどまらないのです。
7.Julian Lennon - Too Late For Goodbyes
ジュリアン・レノンといえば、ビートルズのメンバー、ジョン・レノンの長男。あまりここでは詳細説明を避けますが、彼は生まれてからというもの父親とは一切の話をすることがなく、精神的に苦痛を感じていました。5歳の彼に励ましとしてポール・マッカートニーが書き下ろした曲がかの『Hey Jude』だったりします。 さて、そんな彼も曲を作ってました。それもビルボードにチャートインするほどの人気を持っています。その代表とも言える曲がこれ。どこかビートルズ味を感じる、明るくポップな曲。テンポと言い、ハモり方といい、途中一回だけバックコーラスがあえて音程を変えているのもビートルズを醸し出している要因でしょう。
② アーティストは有名だが収録曲よりも人気な曲・有名な曲がある
アーティスト名を言えば、「あーあれね」と言われるアーティスト。場合によってはその名は誰しもが知るアーティスト。そんな彼らの曲の中で、それを選ぶんだ、シブいね。と思わず言ってしまいたくなる曲を紹介。
ZZ Top - Gemme All Your Lovin'
Elton John - Saturday Night's Alright For Fighting
Mountain - Mississippi Queen
Phil Collins - I Don't Care Anymore
Queen - Radio Ga Ga
Boston - Peace of Mind
Simple Minds - All The Things She Said
Kansas - Carry On Wayward Son
Survivor - Burning Heart
Kenny Loggins - I'm Free (Heaven Helps the Man)
1.Queen - Radio Ga Ga
今や知らぬ人は居ない世界的ロックバンド、クイーン。こと日本では映画の影響も大きく、一時期は町中を歩けばクイーンの曲がかかっていることは珍しくもありませんでした。
Radio Ga Gaといえばサビの手を叩く参加型パフォーマンスが特徴的。MVで登場したときにはこれがファシズムであるとか言われていましたが、見る人たちも参加できるこの行為ゆえ、ライブエイドはじめライブでは欠かせない曲となりました。
アルバム『ザ・ワークス』に収録されたこの曲ですが、ザ・ワークスといえば印象深いのはむしろ『ブレイク・フリー』。クイーンで考えても『ボヘミアン・ラプソディ』や『ドント・ストップ・ミー・ナウ』といったもっと有名な曲がある中でこれを選んできたあたり結構渋い。
そういえば映画公開前まではこの曲のYouTubeでのMV再生回数は4000万回程でしたが、今じゃ1億回以上再生されて『伝説のチャンピオン』すら超えていたりします。映画ってすごい。
GTA5においては、公式のマイケル紹介トレーラーがこの曲です。
レディ・ガガの名前のもととなったのもこの曲だったりします。
すごい個人的なことで申し訳ないのですが、筆者はクイーンの曲でこれが一番好きだったりします。
2.Survivor - Burning Heart(強化版収録)
来ましたサバイバー。映画『ロッキー3』のテーマ曲です。
まず入りからカッコいい。ドラムのデケデーンからギター入りの部分だけを一時間くらい聴いていたい。
どこを聴いてもサバイバー節全開で聴き飽きない、いや聴き足りない。後ろのドラム自体はそこまで珍しい進行ではないのですが、やはりボーカルの強さ。サバイバーらしい力強さ。
サバイバーといえばロッキーの主題歌にして代表曲『アイ・オブ・ザ・タイガー』がありますが、差し置いてこっち選んだのはとても良い。
ところでこの曲空耳アワー(終わっちゃいましたね…)で耳かき作品になったりしてます。カニ洗うのめっちゃ好き。
3.Kenny Loggins - I'm Free (Heaven Helps the Man)
先の『デンジャー・ゾーン』が強化版限定であるため、2013年に発売されたオリジナル版にはケニー・ロギンスはこの一つだけ。いやー渋い。
この曲は映画『フットルース』の劇中歌及びエンディングテーマ。とはいえケニー・ロギンスはオープニングで『フットルース(Footloose)』って曲を出してるからそっち出しても良かったろうに敢えてのこっち。ケニー・ロギンス二大代表曲を差し置いてこっちなのはやはりアイム・フリーという曲名がGTAにぴったりだからでしょうか。
この曲がラジオで流れた際、ケニー・ロギンスが「By...Me」って言ってくれます。いいよね。
③アーティスト自体が日本ではあまり有名ではないもの
知る人ぞ知る。といった感じのアーティスト。もちろん海外人気は高かったり、日本でも好きで聴く人はいらっしゃいます。しかし先に挙げたアーティストと比較するとややその知名度は少ないかなと感じるアーティストによる楽曲です。曲自体は非常に素晴らしいです。
Gerry Rafferty - Baker Street
Robert Plant - Big Log
Foreigner - Dirty White Boy
Don Johnson - Heartbeat
Bob Seger and The Silver Bullet Band - Hollywood Night
Bob Seger and The Silver Bullet Band - Night Moves
Stevie Nicks - I Can't Wait
The Alan Parsons Project - I Wouldn't Want To Be Like You
Billy Squier - Lonely Is The Night
Small Faces - Ogdens' Nut Gone Flake
The Cult - Rain
Steve Miller Band - Rock’n Me
Greg Kihn Band - The Break Up Song (They Don't Write 'Em)
Humble Pie - 30 Days in the Hole
Alannah Myles - Black Velvet
Harry Chapin - Cats in the Craddle
Belinda Carlisle - Circle in the Sand
Broken English - Coming on Strong
Pat Benatar - Shadows of the Night
1.Gerry Rafferty - Baker Street
曲名の「ベイカー・ストリート」はロンドンに実際に存在する通りの名前で、その中でも「ベーカー街221B」は小説『シャーロック・ホームズ』の主人公、ホームズが生活していた場所として知られています。
その雰囲気を象徴するかのようにこの曲では伴奏にサックスが用いられているのが非常に特徴的です。もちろんボーカルもありますが、この曲で一番目立つのはサックスで間違いないでしょう。ロックでありながらジャズ的要素を多く含むこの曲はベイカー・ストリートの落ち着き、のどかさを象徴しています。果たしてそれがロスサントスにも適合されるとは思いませんが。
2.Don Johnson - Heartbeat
ドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』の主演でおなじみドン・ジョンソンによる楽曲。この曲は元々Eric KazとWendy Waldmanによって作曲され、ドン・ジョンソンがそれをカバーした形になります。多くの国で大ヒット。チャートは10位以内を多く獲得。
ボーカルとしてのドン・ジョンソンは高い声域をもカバーできることが特徴で、初めて聴いたときにはクイーンのフレディ・マーキュリーに似ているとも感じました。俳優としての顔だけでなく、そこ力強く魅了する声でミュージシャンとしても結果を残しています。
3.Billy Squier - Lonely Is The Night
この曲の注目点は途中、丁度真ん中あたりの曲調が切り替わる部分でしょう。それまではボーカルのバックとしてギターが目立っていたところをドラムが前へ。ギターはその補助的役割へと切り替わりボーカルはそれらに負けない。
やはりGTAの曲はこんな感じにプレイヤーにやる気を届けるような曲とともにあるべきだと、そう感じさせてくれる一曲です。
この曲、当時はシングルカット(この曲単体でCDやレコード化)をされていなかったのですが、全米のラジオ局に引っ張りだこで、幾度にも渡って流れていたらしいです。
3. Los Santos Rock Radioの魅力とは
ゲーム音楽というものはそのゲームを象徴するだけでなく、体験・印象にまで深く寄与します。
GTAシリーズはクルマ、飛行機、ボートなど多くの乗り物に乗り込むことができ、派手に暴れ回ることから気楽なドライブまで自由な遊び方が可能です。
ミサイルを飛ばしたり、大胆な速度超過のときにはプレイヤーを刺激するBGMとして。ゆっくり気ままなドライブには落ち着くラジオとして。数多あるラジオ局からプレイヤーは選択し、その時の気分を演出する。
Los Santos Rock Radioはどんなときにでも対応できる多くの曲幅を持ち合わせています。サバイバーやケニー・ロギンスのような思わず飛びたくなるような曲から、シカゴやクイーンのように少し物寂しい曲まで。これさえかけておけばとりあえず間違いない。そんな安定した良さを持つのがロックラジオの魅力だと思います。
今までのシリーズ作品よりも圧倒的に有名な曲が多く収録されているGTA5。その集大成としてこのロックラジオは輝き続けています。
ところで古い曲は嫌いだと言う人もいるかもしれません。
そんな人たちには「Non-Stop Pop FM」をオススメしておきます。そちらは90年代あたりの曲が多く収録されており、有名度合いもバッチリ。リアーナやレディ・ガガ、ワムやブリトニー・スピアーズなんかもいますので。
4. 終わりに
個人的にはGTAシリーズは5で終わりかなと考えていたこともありました。ディレクターやスタッフが多くいなくなってしまい、運営のGTAオンラインのみに注力されている状況は静観するしかありませんでした。
しかし6の制作はされているということ、その映像が実際にリークされたことはただ嬉しい限りです。ただ、発売するなら早いにこしたことはありません。いつ出るのか楽しみです。
PS3,4,5と三世代に渡って発売されたGTA5、しかし今でも色褪せないロックラジオの魅力、だいぶニッチな話題にはなってしまいましたが、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
それでは、またどこかでお会いできれば。
※この記事に貼られているジャケット写真はDiscogsのものです。また、ゲーム画像は筆者自身によるキャプチャを使用しています。
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