知っておきたい大規模成長投資補助金Vol.1
2024年3月末に新設・公募開始となった大規模成長投資補助金について、今回は補助金が新設された背景と概要についてお伝えします。
そして、なかなか世の中に情報が出回らない(=巷の補助金コンサルが手を出しずらい)理由について、解説いたします。
1.大規模成長投資補助金が新設された背景
大規模成長投資補助金は、令和5年補正予算(2023年)に岸田政権が打ち出した、「中堅企業成長促進パッケージ」の目玉施策として打ち出された補助金です。
経済産業省はコロナ以降「事業再構築補助金」をメインに中小企業向け補助金制度の拡充を行ってきましたが、
1.本来の政策目的とは異なる補助金の使われ方が横行した
2.「補助金コンサル」による安易な事業計画や特定事業に集中した
3.補助金採択後も実際の事業に至らないケースが横行した
など、中小企業向けの補助金政策効果がなかなか上がりませんでした。また、少子高齢化による人手不足、インフレに伴う賃上げ促進など、経済政策はポストコロナからこれら課題への対策が迫られていました。
そこで、国は補助金による中小企業振興から、従業員数が多く賃上げ余力が大きく、政策効果(つまり広く賃上げが浸透する)が大きい中堅企業へ、補助金による産業支援を行うという方向性に転換しました。
冒頭で申し上げた通り、その目玉補助金として登場したのが「大規模成長投資補助金」となります。
2.大規模成長投資補助金の概要
本年度の公募も既に2回目が終了し、ご興味のある方を中心に既にご存じの方が多いので詳細の説明は割愛します。
一言で言うと、「10億円を超える大規模な投資をすることで労働生産性を向上させ、持続的な賃上げをする会社に補助金を出します!」です。
https://seichotoushi-hojo.jp/assets/pdf/about_2ji.pdf
上記図表は、2次公募の公募概要となります。
数ある補助金の中でも、補助上限額50億円、補助率1/3、そして滅多にない建物が対象となるなど、非常に魅力的な補助金となっています。
3.補助金コンサルが活躍しづらい補助金制度
この補助金が発表された2024年春頃は、補助金事業計画策定の専門コンサル(略して補助金コンサルとします)やYouTube上ではこの補助金の解説をするコンサルが多く存在しました。
しかし、1次公募開始以降パタリと情報発信が止まりました。理由について考察すると、
10億円以上の大型設備投資を行う企業との接点がなかなか取れない
(事業計画策定に必要な)長期成長ビジョンを持っている企業がなかなかない
事業計画を策定するノウハウが新設補助金のためない
2次審査(口頭審査)に同席できるのが金融機関に限られる
などが考えられます。
自己紹介にも記載しましたとおり、結果的に1次公募では2社のご支援を、先日公募終了した2次公募では1社のご支援を行いましたが、巷に情報があまり出てこない理由は、金融機関主体の支援が多いためかもしれません。
次回は、なぜ公募終了となっている大規模成長投資補助金に関して今さら取り上げるのか、今後公募される見込みがあるのか、について触れたいと思います。