アレルギーとコロナ関連の報告も増えていますね
今回は抗体医薬3報、アレルゲン免疫療法4報、食物アレルギー2報、薬物アレルギー・過敏症1報、気管支喘息9報、アトピー性皮膚炎2報、その他・基礎研究4報です。コロナ関連の報告はたくさん出ていますね。
<抗体医薬>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33589471/
重症小児喘息患児への抗体医薬在宅投与と在宅スパイロメトリー:23人のうち16名が在宅投与に同意。14人は両親・患児が、2人は地域看護チームが投与。75回中2回で不正確な投薬が行われたが有害事象なし。本サポートは好意的に受け止められた(英国)
Arch Dis Child. 2021 Sep
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34481992/
112人を対象とした喘息抗体医薬のリアルワールドでの有効性評価:増悪を59%減少(重度の増悪は65%減少)、全身ステロイド量を54%減少、気管支拡張薬投与前の1秒量および喘息コントロールテストスコアも改善。また、以前に別の抗体医薬を使用していた者では、増悪頻度、全身ステロイド量が有意に改善した。奏効者は、非喫煙者で、ベースラインの1秒量が高く、胃食道逆流症の合併があり、好酸球数が500個/uL以上であることが多かった。1つの抗体医薬が効かなかった患者でも、別の抗体医薬による治療が有効となる(米国)
Ann Allergy Asthma Immunol. 2021 Sep 2
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34389506/
コントロール不良好酸球増多症(HES)に対するメポリズマブの二重盲検プラセボ対照第III相試験の延長試験結果:メポリズマブの投与で増悪と血中好酸球数、全身ステロイド使用量が減少した
J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Aug 10
<アレルゲン免疫療法>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34494616/
ダニの舌下免疫療法は皮下注射療法に比べて優れた安全性が確立された忍容性の高い治療薬であり、通年性アレルギー性気道炎症とアレルギー性喘息の管理有用(米国)
Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2021 Sep 7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34474706/
アレルギー専門医によるアレルギー免疫療法の投与量に関する調査や研究のレビュー:有効な用量は狭い範囲に収まっており、その5分の1または10分の1の用量では有効性のほとんどが消失する可能性がある
Allergy Asthma Proc. 2021 Sep 1
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34490806/
成人のアレルギー性鼻炎(AR)患者およびAR患児の介護者を対象とした皮下免疫療法(SCIT)に関連する時間的・直接的・間接的なコスト調査:SCITは成人AR患者、小児AR患児の保護者の直接的なコストと生産性の損失に関連している(米国)
Curr Med Res Opin. 2021 Sep 7
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34463311/
アレルギー性鼻炎(AR)への舌下免疫療法のメタ解析:舌下免疫療法はプラセボと比較して,鼻症状を有意に改善した。研究ごとに条件が不均一であり、出版バイアスも示唆されたため、治療クラス間の治療効果の比較はできなかった。(米国)
Rhinology. 2021 Aug 31
<食物アレルギー>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34486262/
家庭でのゆで卵のアップドージング法を用いた経口免疫療法(OIT)の実施可能性と安全性について、4歳から12歳の卵アレルギー患者16人を対象とした調査。15人が減感作を達成し,OITを中止した患者は1人のみであった。軽度のアレルギー反応は12人、アナフィラキシーは1人に発症したが、重篤な不安感や生命に関わるような副作用はなかった(韓国)
Allergy Asthma Immunol Res. 2021 Sep
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34479890/
カシューナッツを唇に触れた後に喉の締め付け感とめまいが生じたが2週間後まで受診できなかった大学生の症例:アナフィラキシーの恐怖に常にさらされることは、精神的にも悪影響。早期のアレルギーカウンセリングとエピペン処方が推奨される(英国)
BMJ Case Rep. 2021 Sep 3
<薬物アレルギー・過敏症>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34334663/
SARS-CoV2 RNA ワクチン後にアナフィラキシーのうち、ポリエチレングリコールが原因と記録されたのは1例のみ。アナフィラキシーなどの重篤な副反応のサーベイランスプログラムが重要であり、アレルギー専門医は重要な役割を担う
Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2021 Oct 1
<気管支喘息>
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33067469/
スマートフォンの動画撮影による自宅での吸入評価:医療機関では正しく吸入できていても、自宅では吸入器使用開始初日ですら、全ステップを正しく行えた患者はいなかった。主なエラーは吸気流速エラーと吸入後のうがい忘れ(インド)
NPJ Prim Care Respir Med. 2020 Oct 16
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34499024/
学校にアルブテロールを備蓄する方針の採用と実施を促すための法律制定の提案
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Sep 1
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34497139/
重症小児喘息127人を対象とした胃食道逆流症との関連解析:胃食道逆流症の有無で、喘息コントロール、気道炎症やリモデリングに差異はなし(英国)
Thorax. 2021 Sep 8
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34385278/
喘息とCOVID-19の関連についてのメタ解析:
喘息患者はSARS-CoV-2への感染リスクは、喘息ではないグループに比べて減少。入院,ICU 入室,人工呼吸器使用については差がなかった
Eur Respir J. 2021 Aug 24
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33782080/
COVID-19とそれに続く全国的なロックダウンが喘息の増悪に与える影響の解析:ロックダウン前よりも後のほうが増悪率が統計的に有意に低下した(1人年あたり-0.196エピソード;p<0.001)(英国)
Thorax. 2021 Sep
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33782079/
COVID-19パンデミックが喘息患者に与えた影響の解析:ロックダウンにより喘息による緊急入院が36%減少した。喘息死亡者数には有意な変化はなかった(英国)
Thorax. 2021 Sep
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33782081/
COVID-19の蔓延を防止のための非医薬品的介入(NPI)が呼吸器疾患に与える影響:NPIの実施前に比較して実施中にはCOPDと喘息の入院発生率は58%と48%に低下した(韓国)
Thorax. 2021 Sep
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34462708/
喘息患者は喘息増悪時にビタミンDレベルが低下するが、ビタミンDを補給してもビタミンD濃度が低い成人喘息患者を除いては、喘息増悪の割合を減らせない可能性がある(米国)
Cureus. 2021 Aug 18
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34475151/
妊娠高血圧症候群(HDP)と子孫の喘息リスク増加に関するシステマティックレビューでは両疾患の関連可能性が考えられた。因果関係の検証にはさらなる研究が必要(中国)
BMJ Open. 2021 Sep 2
<アトピー性皮膚炎>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34468686/
小児・思春期における重度のアトピー性皮膚炎(AD)とうつ病の症状や内向的行動の関連解析:メンタルヘルスに対する意識の重要性が強調される(米国)
JAMA Dermatol. 2021 Sep 1
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34480753/
ラテンアメリカ人集団におけるフィラグリン機能喪失変異R501Xおよび2282del4保有者の有病率はヨーロッパ人集団と同様であった。チリ人では,フィラグリン遺伝子変異は喘息と有意に関連していたが,アトピー性皮膚炎とは関連していなかった(チリ)
Int J Dermatol. 2021 Sep 4
<基礎研究・その他>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33934363/
小児前向き多施設観察研究EuroPrevall-iFAAM出生コホートでの疫学的調査:有病率は喘息が8%,アレルギー性鼻炎が13%,湿疹が12%。複数のアレルギー疾患の合併は7%。アレルギー疾患の家族歴、帝王切開出産、男児がアレルギー罹患と関連(アイスランド)
Allergy. 2021 Sep
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34462314/
ダニのアレルゲンコンポーネントDer p 38は、アレルギーの発症メカニズムにおける好酸球性炎症と好中球性炎症の間のブリッジアレルゲンとして関与している(韓国)
J Immunol. 2021 Aug 30
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34469272/
喘息におけるILC2優位の炎症プロファイルは,ライノウイルス感染の重症度と関連しており,ウイルスによる喘息増悪の病態にILC2が関与している可能性が示唆された(英国)
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Sep 1
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34484176/
好酸球性喘息(EA)患者77人と健常対照者431人を対象に次世代遺伝子シークエンスを実施。フィラグリン遺伝子FLG rs192116923 T>GとFLG rs75235053 C>Gは、それぞれアトピー性皮膚炎(AD)と重症のEA患者に関連した。EA患者ではIL-4のレベルが上昇していた。ヒト呼吸器上皮細胞株BEAS-2B細胞をIL-4で処理したところ、フィラグリンとE-カドヘリンの発現レベルが時間および用量依存的に有意に減少したことから、IL-4がフィラグリンと接着分子を減少させることで気道上皮の透過性を高めていることが示唆された。EAの発症におけるフィラグリンの役割を調べるため、siRNAでフィラグリンをノックダウンしたところ、E-カドヘリンのレベルが低下し、IL-4の刺激によってさらに低下した。また、フィラグリンのノックダウンは、IL-33とTSLPのレベルには影響を与えなかったが、IL-4によるIL-33/TSLPの減少をさらに悪化させた。このことから、フィラグリンはIL-4Rシグナル経路に関与して、IL-33/TSLPのレベルを制御している可能性が示唆された(中国)
Front Immunol. 2021 Aug 13
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