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東京オートサロン2025〜日本が世界に誇るチューニングカー文化とクルマ妄想テーマパーク
2025年の今年も東京オートサロンに行くことができた。
私にとっての自動車ショーの面白さは、実物を見ながらいろいろと妄想を膨らませて楽しめることにある。特に非現実的なぶっ飛んだ発想のもから、比較的すぐに手に入れて走れそうなクルマまで、ある種ディズニーランドのようなテーマパークにいる感覚になる。
今回のオートサロンにも面白いものがたくさん出展されていたが、クルマの展示はさることながら、近年の外国人の多さも印象的である。
日本のチューニングカー文化は、アニメに並び、世界に誇るサブカルチャーになったと言える。
そう言えば、20世紀最後の2000年にアメリカ西海岸へ渡航した時のことを思い出した。
街を歩いていると、「Japanese tuning car」と書かれた看板が見えた。
そこには「Japanese Hashiriya」(ジャパニーズハシリヤ)とも書かれていた。
驚きと共に一瞬目を疑ったが、シリコンバレーにある日本車のチューニングを扱うショップだった。日本のチューンドカーカルチャーが輸出されているのを目の当たりにしたのだった。
私は外国人が発する「ハシリヤ」という響きに、何か「スモウレスラー」とか「カラオケ」に通じるものを感じた。なぜかツボにハマって笑い転げていたのを思い出す。
そのショップは、ホンダ車を中心にチューンを行なっているようだったが、サンノゼ(シリコンバレー)にあるショッピングモールの空いた駐車場内でも、シャコタンのインテグラタイプRに乗ったアメリカ人が、爆音を響かせてかっ飛ばしていた。
日本車が活躍する映画ワイルドスピードの公開はその翌年2001年のことであったが、その時のことを思い出して妙に納得していたものである。
話を「東京オートサロン2025」に戻すが、定番のチューンドカーやドレスアップカーの記事は、ネット上にいくらでもあると思う。ここから先は、少し外れた感じで、私の個人的趣味にお付き合いいただけたら幸いである。
私の個人的一番は、毎回違うジャンルのものになる。
今回は自分の趣味から考えると意外な方向性のクルマだった。それは、AERO OVERさんのクラウンスポーツである。
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これは、偶然にも似ているフェラーリプロサングエに、よりイメージを近づけたパロディーである。
フェラーリが買えないから、仕方なくクラウンにフェラーリマークをつけるような貧乏臭い発想ではなく、実に気の利いた洒落だ。
例えば高級腕時計「フランクミューラー」のパロディーである「フランク三浦」みたいなものだろうか。
そこが面白い上に、事実カッコいい。
フェラーリ風の黄色いエンブレムステッカーのデザインがとてもカッコいい。跳馬よりも好きかもしれない。
プロサングエ風クラウンスポーツのカスタマイズカーは今年欲しいクルマの一台となった。
同じくAERO OVERさんのジムニー5ドアのゲレンデ風ミニチュアやスタンスマジックさんのコペンのポルシェGT3風ミニチュア「コペルシェ」もパロディー路線で面白い。
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特にコペルシェは、こんなクルマに乗っていたら本当に毎日がハッピーになりそうだ。眺めて楽しく、並みのスポーツカーに乗るよりも、小さくキビキビと峠道では踏み切れる楽しさがあるはずだ。そんなライトウェイトスポーツカーが日常の運転を楽しむには最も理想のクルマである。
自動車メーカーには、コペルシェのように、軽自動車のスポーツカーをワイドボディーにしてトレッドを広げ、1000〜1300ccのエンジンを積んだような5ナンバーモデルを強く求めたい。
そして今年、最もぶっ飛んでいたのが、CLRさんの「トヨタ・セラ」だと思う。
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「セラ」は、トヨタがバブル期真っ只中に出した、上部までガラス張りのガルウィングドア(バタフライドア)を持った、SF映画を連想させるようなシティーコミューターである。
あのトヨタがそんな自由すぎるぶっ飛んだクルマを作っていたのが、バブル期である。それほど豊かな感覚を国民が持っていて、メーカーもそれを実現させることができた時代だったのだ。
冷静に振り返ってみれば、セラというクルマはガルウィングドア以外には取り柄のないクルマである。スポーツカーのように速くもなく、日常の実用性もない。ただファッショナブルなイメージのセラは、クルマそのものよりもドアだけが欲しくて買うクルマだった。
なぜかそのセラに強烈なツインエンジンを載せたものが、SLRさんの「THE TWIN DRAGON 双竜」である。
ツインエンジンのマシンと言えば、モンスター田嶋氏のパイクスピークのマシンが真っ先に出てくるが、双竜はそれとは別の次元のど変態マシンである。
また、ツインエンジンのフロントが日産、リアがホンダという世間的にもタイムリーな組み合わせだ。
おそらくベース車がセラなのは、ガルウィングドアがカッコいいからに違いない。ツインエンジンにガルウィングドアだからこそ最高なのである。
他にも面白いものが多くあったが、キリがないのでまた別の機会にしたいと思う。
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