1290_仕事だから
「これも、仕事だから」そう思いはじめたのはいつのタイミングだろうかと考える時がある。「仕事だから」やらなきゃいけない、やってやろうとポジティヴに思える時もあるし、反面「仕事だから」仕方ない、諦めているというネガティブな側面もある。
大学生の時の自分は、どう贔屓目に見ても、まあホントしょうもない奴だったなあと思う。大学デビューし損なったコミュ症だったし、音楽聞いて部屋で引きこもってろくに学校にも行きやしない。
周りの目ばっかりを気にして自分を取り繕うために嘘ばっかついてたし、自己肯定感は低いし、居酒屋バイトしても全然仕事できなかったし、まあ散々だった。
学生気分が抜けないまま入った職場で、ひどいパワハラを受けて適応障害になり、仕事に対して向き合えない状態が4年ほど続いた。転機となった5年目の職場で、そこまで大きくない事務所で1人で人事を任されることになって、自分が責任を持って仕事をする「腹を括る」ことになった。
その時からだ、「仕事だから」積極的に他人と接しようとできる、コミュニケーションを取ろうとする、相手の立場に立ってわかりやすい説明を心がける、他人から信頼を得るように努めるようになったのは。
「この仕事のおかげで立派な人間になれた」とか「ポストが人を育てる」だとか、そんなことを声高に言うつもりはない。
30代から数年間は激務部署を巡って、もうこれ以上ないってくらいのハードワークをして、自分のいる組織にもひとしきり失望した。なんだかんだ言っても、やっぱり、仕事だけの人生にだなんてしたくはない。
ただ、他人と協力し関わり合いながら、社会でまともに生きていくために、仕事するのは必要不可欠な要素なんだろうと思う。
それが、どんな形であれ、人生の一時期に徹底的に仕事にのめり込めるのは幸せだ。自分が仕事の中に溶け込んでしまうような、そんな瞬間もまたひとつの得難い経験なんだと思う。