1237_負の連鎖
「家族を持ったら、必要だとされているものについて」
「はい、続けて」
「家、車、保険」
「結婚して子供ができたら、必要だね」
「あと、教育費」
「そうだ、それが一番大切なのが」
「そう。だけど、残念ながら、今のご時世、これらが漏れなく値上がりしていたり、ぼったくりばっかりときている」
「なんだって?」
「はっきり言おう、この国は家族やファミリー国民の理想の形に掲げて、子育て世帯を国の中心になって大事にすべきだと言いながら、同時に最も執拗に彼らを搾取しようとしている」
「嘘だ、国もちゃんと対策してくれていると言っている」
「対策を検討している、だけなんじゃないか?」
「じゃあ、我々国の礎になっている子育て世帯が豊かにならなかったら、少子化も解消できないし、国も発展していかないじゃないか」
「残念ながら、今どこの国を見渡しても、皆おんなじ状況に陥っているようだ」
「みんな同じなのかい?」
「中国を見てみよう。最近、不動産が高過ぎて、庶民は家が買えなくなってきている。その国が豊かになると、一人一人の生活コストが上がる。そうすると、そもそも子どもをいっぱい育てることができなくなる。だから、子どもを産まなくなる。子どもを産まなくなると
国自体が衰退する。国が衰退していくと」
「まさか」
「今いる国民を搾取して、無理やりにでも国の形を維持するしかなくなるってことさ」
「負の連鎖じゃないか」
「そう、誰にも止められない。負の連鎖。そのロールモデルになっているのが、君たち」
「子育て世代」