1100_真偽
「この動画、見てくれよ」
「あーなんすか、どっかのYouTuberですか」
「これ、全部AIで作ったらしいんだよ、本物にしか見えなくね」
「ええ、マジすか?こんなん見せられたらもう誰だって本物だって信じますよ」
「こうなると、もう映像で本物のYouTuberを見た!って言っても、本当かどうかわからんよね。それ、AIが作った偽物じゃないかって」
「えーっと、それって今までは本物だったけど、もしかしたら、これからは偽物が出てるかもしれないってことですよね」
「そうだけど?なんか、変?」
「でも、そもそもそのYouTuberって動画の中でしか見たことないんですよね」
「いや、YouTuberってだいたいそういう存在じゃない?どういうこと?」
「いやつまり、これまで先輩が見てた動画のYouTuber自体がそもそも本物だったんですか、っていう可能性はないですか」
「え?」
「つまり、先輩はこれまで本物のYouTuberは見てたんじゃなくて、偽物を見ていた可能性はないですか」
「え、ちょっと待って、怖い」
「AIで作られた偽物の方が本物なのかもしれないっすよ」
「そんなアホな」
「それが本当に間違いないって言い切れます?」
「いや、それは、どうなんだろう」
「どうなんでしょうね」