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1359_燃え殻「ボクたちはみんな大人になれなかった」
仕事をズル休みしようと思った。
職場でどうしても嫌なことがあって、心が前夜からざわめき立っていて、本当にシンプルにどうしても出勤する気にならなかったからだ。
朝、奥さんには仕事を休んだことを言うのがめんどくさかった。「今日は遅番にしてもらったから、朝はゆっくりする」とだけ言っておいた。
ひとまず家でダラダラしていたけど、テレワーク会議をしはじめた奥さんの軽妙な会話を背に聞きながら、とりあえず家を出た。
どこに行こうかと少しだけ考えた。それで、下北沢の喫茶店にでも行こうかと思っていた。先月に、人生にはぐれた親友と、コーヒー一杯だけ頼んでなんのかんの時間を潰していたあのジャズ喫茶。平日は12時からやっているんだって、今日はじめて知った、だって、平日にはじめて来たから。
駅前の小綺麗なTSUTAYAショップで文庫本を買った。極めて感傷的な本のタイトル。絶対、奥さんが読まないタイプのウェットなジメジメ体質の過去しか顧みないであらう、本。
ほんの1時間半でコーヒー一杯分で一冊を読み終えると、少しだけ視界が開けたような気もした。過去に目を向けると、今や未来が少しだけ輪郭がぼやけて曖昧になるので、逆にそれがいい感じになるような気がする。
それはそれで意味のあることなんだと無理矢理に屁理屈をつけてみる。今の自分にはそれが必要なんだと。そうやって、今まで進んできたんだ。
そのあと、下北沢から新宿御苑まで1時間強ほど歩いた。園内の芝生に寝転がって、Apple musicで大学4年生の時に聴いていた音楽のプレイリストを再生する。
通り過ぎていく白い雲が漂うのをただただ見つめながら、SHING02の「星の王子さま」を聴いていると、気付くと塞ぎ込んでいたはずの、気分がいつのまにか晴れていたようだ。
そのあと、神楽坂でキャンプメンバーと酒を飲みながら、馬鹿話をした。今度、みんなのそれぞれのオススメの映画でも見ながら酒を飲んで語ろうと言う話をした。とりあえず第一回目は「into the wild」にすることに決めた。
それだけで十分だった。