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1203_浮気の是非

「あなた、浮気したいとか思わないの」
「僕にそんな甲斐性があると思うかい」
「そっからか」
「具体的に申し上げよう。まず、浮気するのに正直かけるコストとリスクの割りがあわない、と言ったらいいだろうか」
「なんか、めんどくさそう。その話、長くなる感じ?」
「まあ、聞いてくれ。浮気するためには、女性と仲良くしなければいけない。食事に誘ったり、デートに誘って、あわよくばホテルに連れ込もうと画策するわけだ。プレゼントしてご機嫌も取らなきゃいけないかもしれないし、デートのために清潔感溢れる服もようしなきゃいけない。これら諸々のコミュニケーションコストは僕にとって相当な負担なんだ」
「はい、どうぞ続けて」
「だけど、一番困難、もといめんどくさいのは、前提として、その一連のオペレーションを全て君にバレることなく秘密裏に行わなくてはならないってことだ」
「そりゃ、浮気ですからね」
「かける精神的、金銭的コストに加えて、君に浮気がバレた時のリスクなんて筆舌に尽くしがたいわけだ。文字通り、全てを失う。そこまでして、得られる対価、リターンっていうのはいかほどだと思う?」
「さあ?」
「まあ所詮は、一瞬の性的な快楽と浮気の高揚感程度だろう。そんなものだったら、プロの人に頼むか、自分で内内に処理してしまえばいいわけで(一番金もかからないし)。結局、リスクとリターンを総合的に勘案した結果として、浮気なんてやり方は正味割に合わない。それに」
「それに」
「僕なんかに捕まる浮気女なんて、所詮はろくな女じゃない。そんなものに自分の人生の貴重なリソースの幾分かも渡せない」
「つまり、それって、有り体に言えば、いい女が落とせる見込みもないから、諦めてるってことよね。つまり、甲斐性がないってことでしょ」
「だから、徹頭徹尾、具体的に申し上げたつもりなんだけど…」
「はい、わかりました。了解。この話は終わり」

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