1351_終局

「ただいまぁ、ああ疲れた。何見てるの？」
「フジテレビの会見」
「え。ああ、夕方からやってるって奴？え、だって今9時だよ。じゃあ、もう5時間も会見してるの」
「そう。でも、もうなんかすでにグチャグチャになってるわね」
「うわ、なんなの、これ。人パンパンに入ってるじゃん。なんかずっと一致不一致って同じ質問して。意味わからん」
「そう、マジ地獄絵図よね」
「アホらしい、こんな会見見ても誰も納得しないのに。この世のクソさを煎じて煮詰めたようなひどさだね」
「もう全然終わる気配ないし。まさか朝までやるのかしら」
「文字通りの朝まで生テレビだ」
「みんなの気が済むまでやるのかってことかね」
「誰もためにやってるんだろ、って感じ」
「疲れて帰ってきて、こんなん見せられても、とてもいい気分にはならないよ、ご飯食べて寝るよ、もう」
「はーい、じゃあ、ご飯用意してあげるから、お風呂入っといで」

「おはよう」
「おはよう、よく寝てたわねえ」
「あれ、そういえばフジテレビの会見ってどうなったの」
「夜中の2時までやってたんだって。夕方4時から10時間」
「うぇ、マジで。うちの会社だって不祥事の会見でも1時間が関の山だよ」
「やる方もやる方だけど、見てる方も見てるほうだよ。自分の質問だけして途中で帰ってる記者とかもいたんだろうし」
「なんか、ホントいろいろ、終わってるね。終わりの始まりからすでに進んで、まさに今現在進行中で終わり続けてますみたいな」
「昔楽しみに見てたフジテレビはもういないのね」