1243_死ぬ前の後悔
死ぬ前に、もっと、ああしておけばよかった、こうしておけばよかった、と嘆くのだろう。
もっと美味しいものを食べたかったとか、もっといろんな場所に行っておけばよかったとか。あの人に会っておけば良かったとか。もっと親孝行しておけばよかったとか、家族と仲良くしていればよかったとか。
主には体験なんだと思う。形のある物ではなく、目に見えない記憶に残ること。
そもそも、金のネックレスを首に巻いてブリンブリンな格好をして、外車に乗ってイキリ散らかしておけばよかったとか、タワーマンションから下の世界を見下ろせばよかった、と思うだろうか。
そう考えてみても、物の役割っていうのは本当に小さい。歳を取ると、物欲がなくなってくるのも、物の果たせる役割や価値が限定的だからに違いない。
目に見える、物っていうのは、分かりやすい分、これが本当に自分の欲しい物なんだって、錯覚しやすい。なんというか、いくらでも、自分を騙せてしまう。
でも、たぶん、本当の後悔っていうのは、自分以外の他人を起点にしたものではなくて、自分の内奥から、湧き出す意思に反した時なんだろうな。