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1142_内部調査

「これでいくと、AとBの間でこの案件の引き継ぎの事実があったかどうかが焦点ですね」
「Aの話はどうだった?」
「基本的には「記憶にない」一点張りというベースの論調です。ただ、状況証拠を並べ立てられてもるところあるんで、まあ一般論で言えば、こういったこともあったんでしょうね、っていう」
「そうか」
「あと、だいぶ構えてましたね。目つきもだいぶ怪訝そうな感じで。イラついてもいました」
「そりゃ、そうだろ。いきなり呼びつけられてこんな取り調べじゃあなあ」
「正直、私こういうの慣れてないんでだいぶやりづらかったです。内部調査とはいえ、相手が知り合いじゃなくて本当よかったです。知った仲だったら、なに俺のこと疑ってんの、ってなって、今後気まずくてしょうがない」
「仕事とはいえ、一緒に頑張ってきた仲間を疑うわけだからな。まったく赤の他人だったら、なんの問題もないんだが」
「でも、AとBの証言の矛盾を突くのに、この質問の仕方は秀逸です。先輩、さすが冴えてますね」
「好きで上手くなったわけじゃない。前もこんな事件があったんだ」
「課長が言ってた、3年前の中の不祥事対応ですか」
「あの後処理に比べたら、こんな案件、大したことないよ。悪いな、お前みたいな部署のエースにこんなバッチい仕事から手伝わせて」
「いや、こんな言い方あれですけど、刑事になったみたいで正直ちょっとだけ楽しんでます」
「懲戒担当なんて、ヘルプでたまにやるからちょうどいいんだ。ずっとやっていこうなんてとても思える仕事じゃない。俺はここに長く居すぎたんだ。失敗だよ」
「確かに、ずっとこれは厳しいっすね」
「だろ」

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