違う…私じゃない…
走ってる
街を男の人が走っている
重そうなカバンを肩に担いで走ってる
走りづらそうだ
なんであんなに急いで走ってるんだ
気になる…
よし、ついて行ってみよう
学生時代は陸上部だったんだ
追いかけて一緒に走った
「ねえ、何を急いでるのさ!」
返事がない…
相変わらず走ってる
公園の前を走っていると
パトカーのサイレンが聞こえる
何台も走ってるようだ
なんだか近づいてくるみたいだ
前を走る男を見た
右手にナイフを握っている
「うわっ、なんでナイフなんか…?」
男は重そうなカバンを左肩に担いだまま
公園に駆け込んだ
「おーいっ! 待てえ!」
後ろから声がした
振り返ると数人の警官が追ってくる
「止まらんと撃つぞっ!」
先頭の警官がピストルを私に向けていた
「げっ! なんで?」
ビックリして両手を挙げて止まった
警官達が私を囲んで
「確保っ!」
違う違う…
逃げてたのは、ほらアイツ…
男の姿はもう見えない
私の手でガチャリと音がした
なんだこれ…?
手錠…?
違う…私じゃない…
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