はじめての本づくり③ タイトル→デザイン→完成
●タイトルは出版社と協力して決める
前回申し上げたように、あなたの著書にとって大事な大事なポイントが、あと一つ残っています。それは、本のタイトルと本のデザインです。中身としての本ももちろん大事ですが、それに負けず劣らず大事になるのが、ここです。本のジャンルによっては、こっちのほうが大事かも知れません。笑
では、実際にどうやって決めていくのか見ていきましょう。
まず決めていくのは、タイトルです。著者であるあなたが「絶対、これにしたい」と決めていることはそんなに多くないでしょうし、たとえそうだとしても、ここはまず出版社に考えさせましょう。
だいたい2、3パターンは考えてくるものです。ちょっとあおった激しいタイトル、長く説明的なタイトル、シンプルでストレートなタイトルなどなど、いろんなパターンで考えてくれるはずですし、そう心がけています。その中でも一番のおすすめなんかもきっとあるはずです。
著者の方にはその中で気に入ったものを「これだ!」という感じで決めてほしいところですが、ちょっと困るのが「この中だったらこれかなあ…」と言われることです。「これだ!」でもないし、「もっとこうしてくれ!」でもないので、なんか悩ましい感じになっちゃいますね。
いずれにしても、出版社は一応その道のプロですから、よく意見を聞いて決めるのがいいと思います。
●デザインは入れる原稿を決めてからつくる
ところで、雑誌は別として、いわゆる本の構造を見てみると、だいたいこうなってるなと気づきます。それは通常、本体の本に1枚カラーで印刷した紙が巻かれていて、さらにその上から「オビ」と言われるものが巻かれていますよね。
この巻かれた紙を「カバー」とか「ジャケット」と言います(オビは「オビ」ですね)。で、ちょっとややこしいんですが、カバーをはずした本にくっついているちょっと厚い紙を「表紙」と言います。わかりますでしょうか?
で、話を戻しますと、タイトルのおおよその方向性が決まると、出版社はタイトルやサブタイトルとともに、オビのキャッチコピーや裏に入る文字、折り返してあるところ(「ソデ」と言います)に入れる文章や、これもソデに入れることが多い「著者プロフィール」の原稿をつくります。
これらをつくって、著者であるあなたに確認のOKをもらってから、デザインに入るわけです。覚えておいてほしいのは、まず原稿があってからそれをデザインするということです。
デザインに入る前にあなたに何か希望があれば、出版社に伝えておくといいでしょう。「必ず黄色を使った案は出してくれ」とか「こんな写真を使った案をつくってくれ」とか、1案はこういうものをつくってくれという感じがいいでしょう。デザインはだいたいが外部のブックデザイナーに発注することになります。
●デザインはどれも良いというのが理想
タイトルの場合と同じですが、デザイン案もまずはオモテ(「表1(ひょういち)」と言います)のデザインを2~3パターン、デザイナーが出してきます。普通は出版社が間に入ってお見せすることになります。
色やフォントの大きさ、形、写真やイラストを入れたものなどなど、とにかく形になってくるので楽しいかと思います。あなたが要望を伝えた案も、デザイナーによって考えられたものとして、1つ含まれて提案されるはずです。
出版社としても、どれも良くて決められないくらいの提案ができるのが理想で、著者のあなたにも納得して選んでいただきたいと思っています。
細かい修正があったとしても、これで本文もカバーも決まりましたので、あとはチェックの工程を踏みつつ、本ができるのを待つことになります。
簡単ではありましたが、はじめての著書をつくる上で重要になるポイントを述べてきました。あくまでもこれは、出版社とあなたの共同作業になります。お互いに信頼し合ってつくっていくことが何にも増して重要になります。
ぜひ良い本ができることをお祈りしております。
現代書林 O