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きみの好きはきみだけのもの

推しに貢ぐ、という表現があるけど、個人的には推しに貢いでいると思ったことは今まで一度もない。貢いでると言えるほど推し活に充てられるお金が潤沢ではないというのもあるけど、そもそも推し活でのお金はあくまで自分のために使っているのであって、推しにお支払いしているという感覚ではない。

例えば、お気に入りのレストランがあるとする。そこに足繁く通うのは、お店が存続してほしいからというのもゼロではないけれど、メインの理由は自分がそこに行くことによって得られる幸福があるからだ。
そもそも自分一人のお支払いするお金があろうがなかろうがそのお店の存続を揺るがすようなものでもないし、そこが予約必須の超人気店だったら尚更、むしろ予約の枠をいただいてありがとうございますくらいのもので。
もちろんお店に通う大多数の人が「私が行こうが行かまいがたいした打撃ではない」と思って行かなくなれば確実にお店の売り上げは下がるわけなので、その意識もゼロではないし、自分一人の大したことない金額でもお支払いしないよりはした方が絶対にいいけどね。
そのレストランに行って、美味しいお料理を口にして「ああ美味しい!」と思うその瞬間の自分の幸福にお金を払っている。もしくは好きなレストランに行って素敵な店内でるんるんで過ごすその幸福に。


少し話は脱線するけど、「推し活はレストラン」説は芸人さんの顔ファン云々という話題でも常々考えていること。
私自身芸人さんの推しがいて、ネタが好きなのは大前提でビジュアルも好きだなあと思うタイプ。雑誌などのお仕事でバッチリヘアメイクをキメてらっしゃる推しを見ればきゃ〜!と思うし仲間内で「今回のお写真すごくかっこいいね!」と盛り上がる。
でも、その人のことが好きだから外見も好ましく思うって悪いこと?
料理が美味しくて好きなのはもう大前提で、店内の雰囲気とか内装とかも好みなんよな〜っていうのは別に普通のことじゃない?
店が混んでて待ちも出てるのにろくに料理も頼まずドリンク一杯で粘るとか、「料理はどうでもいいねんな〜」と周りの席にも聞こえるようなおっきい声で言いながら内装の写真バシャバシャ撮るのはそりゃマナー違反だよねという話じゃない?
それから、仮に「実はお料理の味は自分の好みとはちょっと違って…でも店の雰囲気、店員さんの接客が大好きなので気に入って通ってます」って方がいたとしても、毎回お料理頼んできっちり完食して、「味は…」と声に出して言わないなら、それを誰かに咎められることはあってはならないとも思う。
自分の中に留めている限りはなぜお店に通ってるかという理由に善し悪しはない。制限されるべきは迷惑行為である。
例えばお店のお料理の味「だけ」が好きで通ってるお客さんがいるとして、その人はレストランの本分である料理が好きだからどんな迷惑行為をしても「いいお客さん」なのか?お店の内装が好きだという理由でマナーを守って通うお客さんよりも??


推しではなくあくまで自分のためにお金を使っているんだと改めて認識したことがあった。
数ヶ月前、初めて推しの出演されるライブに現地参加できることになり、劇場のQ&Aに差し入れ可能と明記されていることを確認できたので前々からお贈りしたいなと思っていたお召し物をプレゼントすることにした。
ネットで購入したのだけど、注文確定のボタンを押したその瞬間、まだ届いてもないのにとてつもなく嬉しくて幸福になったのを鮮明に覚えている。
届いてもないし、まだお渡ししてもないし、ご本人の手に渡ったとしてそれを気に入っていただけるかもわからないし、身につけていただけるかもわからない。でもすでに嬉しくて仕方がない。
よくよく考えたら、ご本人がお気に召せばいいけど、そうでなかったらむしろ迷惑かもしれないわけで、やはり差し入れをするというのは推しでなく自分の幸福のための行為なのだと強く自覚した。私が贈りたいだけ。だから、注文した時点でもう幸せなのである。

推し活は推しのためでなく自分のため。どこまでいっても基本的には自己満足の域を出ないと思う。だからこそ、可能な限り少しでも推しご本人のためになる形で作用するようそれをアウトプットしていきたいとも思う。
私一人推してようが推すのをやめようが、推しご本人にはたいして影響もないのは百も承知で、だけど誰かが活動を辞めてから「えー!すきだったのに!」と言うようなことにはなりたくないから。

自分のためなので、レストランに新作メニューが出たら全て食べに行かないといけないとか、本当は今月仕事が忙しくて余裕はないんだけど…と睡眠時間を削ってまで義務的に通うとか、そんなことを考えだすのは本末転倒だと思う。
あくまで自分の幸福のため、自分がそうしたいから。それが結果的に推しのためにもなれば最高。そういう意識を忘れずに持ち続けたい。

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