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(読んでみた)経産省『DXレポート2(中間取りまとめ)』

いつも素晴らしい情報をご提供のLayerX畑島さんのTwitterからピローンと来ました。

ひょえ!リンクをたどってみると。。。

12月28日なんて年の瀬になんてものを。。。

3.関連資料
・DXレポート2(サマリー)(PDF形式:562KB)(3ページ) 
・DXレポート2(本文)(PDF形式:4,072KB)(56ページ)
・DXレポート2(概要)(PDF形式:1,873KB)(33ページ)⇦ もし読む時間なければこれが一番大事

4.デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 ワーキンググループ1 報告書

・全体報告書(PDF形式:3,800KB)(66ページ)
・対話に向けた検討ポイント集 第1章(PDF形式:4,106KB)(40ページ)
・対話に向けた検討ポイント集 第2章(PDF形式:2,576KB)PDFファイル(31ページ)
・対話に向けた検討ポイント集 第3章(PDF形式:2,916KB)PDFファイル(44ページ)

トータル273ページ!!大晦日までとっておくと紅白歌合戦のFoorinも鈴木雅之もNiziUもPerfumeもさらにミスチルまで聞き逃してRIZINの試合まで全部見逃してDXの勉強になりそうな勢いなので、文句言わずに今読むことにします。

せっかく読むのであれば、人柱になって皆さんにも興味を持ってもらえるように、もしくは読むときの注意点が少しは分かるように、ひょっとして読む時間がどうしても取れなくても概要が分かるようになんて思ってこのnoteを最速で書いておきます。僕の観点から読んでいるのでアウトプットにも僕の観点は入っています。

#1:結論

全部読んでいただく前にまずは結論から。このレポートとんでもない量の読み物ですが、企業の経営者や経営企画、DX担当もしくはIT担当の方、そしてコンサル・ITベンダーの方たちなどなど皆様が読んで損はしないものだと思います。おススメです!!DXの本を一冊買って読むのに比べればずっとお得。こんな悩みあちこちであるのでは?

・「DXって言われたって何したらよいかわからない」という経営者
・「社長にDXしろって言われたけど何をしてよいのかわからない」という経営企画者
・「色々DX提案したけど社内での理解度が違い過ぎて進められない」というDX推進担当

こんな場合にこちらのレポートを活用して社内の理解度をある程度揃えて、超短期・短期・中長期の計画を立てるのに良い読み物です。

・経営会議で経営層の理解度をそろえるために
・業界のワーキンググループで多社からの参加者の理解度をそろえるために
・部門での管理職の理解度をそろえるために
・部署でのメンバーの理解度をそろえるために

などなど。またこちらの情報をもとに半日・1日の研修で経営者・企画・DX担当などのメンバーで計画を立てるのも良いかもしれません。経済産業省がスポンサーするプログラムを作って研修するなんていうのも素敵な国策としてのDXへのアプローチかもしれません。ただこのレポートを見て気づいて欲しいのは、どの業界でも「今」考えてスタートしなければ、このレポートの言葉をかりて「デジタル競争の敗者」に。では以下各レポートをカバーしてみます。

#2:DXレポート2(サマリー)(PDF形式:562KB)(3ページ)

3ページの概要です。すべて読んでからこれを見ればある程度意味わかりますが、これだけではちょっとレポートを読んだとは考えにくい。ただ3ページ目の「企業のアクションと政策」の部分はうまくまとまってて大事。

このレポートではカバーされていませんが、DXへのステップとしてセオリーとしていきなりDXできるわけでなく

データ化:Digitazation - アナログのデータをデジタルで作れるようにする
デジタル化:Digitalization - デジタルでプロセスをつなぐ
デジタル・トランスフォーメーション (DX):デジタルを活用してビジネスの行い方を変える

などのステップを通ることが必要です。このレポートでは企業の必要なアクションを

直ちに(超短期) ~コロナ禍の事業継続を通じたDXのファーストステップ~
・製品・サービス活用による事業継続・DXのファーストステップ
・DXの認知・理解
短期 ~本格的なDXを進めるための体制整備とDXの実践~
・DX推進体制の整備
・DX戦略の策定
・DX推進状況の把握
中長期 ~デジタル企業へー”迅速に変わり続ける能力”の獲得~
・産業革命の更なる加速
・デジタルプラットフォームの形成
・DX人材の確保

とフェーズ分けしてあるのは良いと思った。ただこの波に乗り遅れないためには今すぐ超短期のアクションから始めないといけないということである。

#3:DXレポート2(概要)(PDF形式:1,873KB)(33ページ)

順番を入れ替えて概要から。なんで政府系の資料って結構ページ数の多いプレゼンの「概要」があって、さらに「本文」があるんでしょ?概要自体結構内容濃いんで本文は無しかAppendix扱いでもいいかなーってちょっと思います。両方作る手間より今の時代その時間で1時間とかで解説してるYouTubeビデオとか作るのいかがでしょう、経産省様?

さてこちらの概要は主に以下をカバーしています。

2. DXの現状認識とコロナ禍によって表出したDXの本質
3. 企業の経営・戦略の変革の方向性
4. 政府の政策の方向性
5. 今後の検討の方向性

2. DXの現状認識とコロナ禍によって表出したDXの本質」に関しては、まず95%の企業がDXにまったく取り組んでいないか、取り組み始めた段階である事実やそれでも変革への危機感の低さを紹介している。

テレワーク導入率は62.7%と上がったが、導入だけでなく実際テレワークをしている人がどれだけいるかである。肌感覚ではいまだに62.7%よりははるかに低い。なので「導入した」と「毎週活用している」などを分けて欲しいと思った。

さて企業の目指す方向性としては以下

・「素早く」変革「し続ける」能力を身に着けること
・ITシステムのみならず企業文化(固定観念)を改革すること

そして日本のある意味特有のチャレンジとして「ベンダー企業の目指すべき方向性」についても語っている。

・ユーザー企業とDXを一体的に推進する競争的パートナーとなっていくことがもとめられる

3. 企業の経営・戦略の変革の方向性」ではこのレポートの結論として最も大事な1)超短期、2)短期、3)中長期に企業が取り組まないといけないアクションの考え方をまとめている。

#3a:超短期 - コロナ禍を景気に企業が直ちに取り組むアクション

以下のカテゴリの市販製品・サービスの活用を検討するべき、そしてそれが企業文化を変革の上での最初の一歩

・業務環境のオンライン化
・業務プロセスのデジタル化
・従業員の安全・健康管理のデジタル化
・顧客接点のデジタル化

オンライン化、デジタル化、デジタル化、デジタル化。そうデータやデジタルにならなければ何も始まらない。これを今すぐ経験せずにしてDXなど何も語れないのである。また「市販製品・サービス」にも注意。ここでカスタム製品をベンダーに作ってもらうのではなく市販製品に慣れないといけない、それを安全に使う知見を社内に貯めること(ベンダーに丸投げして任せることでない)がDXの超短期第一歩として必須なのである。

#3b:短期 - DX推進に向けた短期対応

・DX推進に向けた関係者間の共通理解の形成
・DX戦略の策定
・DX推進状況の把握

いよいよこのステップでは関係者の共通理解を作り、CIO / CDXOなどの役割・権限の明確化、 遠隔でのコラボレーションを可能とするインフラ整備や業務プロセスの再設計が必要になる。ここでやはり考えないといけないのは

・「このステップの中どれをベンダーにすべて任せられるか?」

答えはどれもNOである。企業はこのステップを自分達でちゃんとオーナーシップを持って理解・決断をしないといけない。ここでちゃんと企業が自分達で理解をしていないと、次の大事な中長期のプランは立てられない。ちゃんと理解して組織化した上で一部をベンダーに任せるのは可能かもしれない。

#3c:DX推進に向けた中長期的対応

さて、ここでキモになる中長期の計画である。この中長期ゴールを理解していれば定期的に状況を把握することができる。

デジタルプラットフォームの形成 - 「共通プラットフォームによって生み出される個社を超えたつながり」が大事
産業変革の更なる加速 - こちらも個社の変革ではなく「産業変革」である
ベンダー企業の事業改革 - 短期の部分で出たようにかなりの計画のオーナーシップを企業が持たなければいけないため、「ベンダー企業自身も変革していくことが必要」
ユーザー企業とベンダー企業との新たな関係 - 「ユーザー企業とアジャイルの考え方を共有しながらチームの能力を育て(共有)、内製開発を協力して実践する(共創)」
DX人材の確保 - ジョブ型人事制度の拡大やDX人材の確保

いくつかのポイントに書いたが、このステップでは個社の効率化というよりも業界・コミュニティのビジネスの形を変える「産業改革」のステップである。そこへ向けて色々なデジタル化のプランを動かしていかないといけない、そしてその方向性のための人事的戦略であったりベンダーのありかただったりをすべて作り直さないといけないという話なのである。

筆者もSymphonyという金融その他の業界向けの共通プラットフォームを展開し、業界のイノベーションの加速を進めているのでこの部分はとても賛成しかない。

その他このレポートでは政府の政策の方向性や検討の方向性についても語られている。

#4:DXレポート2(本文)(PDF形式:4,072KB)(56ページ)

これを書いたら怒られるのかもしれないが、この直前に紹介した「DXレポート2(概要)」(プレゼンテーション形式)がとても良くできているのでこの本文(文章形式)は概要を読んで深堀りしたいところだけ読んでも良いと思うぐらいである。

#5:デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 ワーキンググループ1 全体報告書(PDF形式:3,800KB)(66ページ)

ワーキンググループのメンバーが基本ベンダーなのでベンダーからの視点に見える。「経営層への提言」は良いと思うがやはりDXのハンドルは企業の経営層自分達で持たないといけない。とても簡素化されている利益の相反をここに出せば。12ページに

・「IT部門の命題はコスト抑制であり、経営層から実行のOKが出ない」

とあるが、そこにベンダーの命題の一つである

・ベンダーの収益の最大化

というのをかぶせてしまうと、この二つの命題のは完全に反対の方向を向いていることがわかる。そして悲しいかな、どちらの命題も先ほど出てきたDX推進に向けた中長期的対応の「デジタルプラットフォームの形成」や「産業変革のさらなる加速」に直接貢献できるかは自信はない。なのでDXのハンドルは企業が自分達で持たないといけないのである。

#6:デジタルトランスフォーメーションの川を渡る

以下の3つのドキュメント

・対話に向けた検討ポイント集 第1章(PDF形式:4,106KB)(40ページ)
・対話に向けた検討ポイント集 第2章(PDF形式:2,576KB)PDFファイル(31ページ)
・対話に向けた検討ポイント集 第3章(PDF形式:2,916KB)PDFファイル(44ページ)

の位置づけに関しては

いつ使う?既存システムのデジタルトランスフォーメーションについて検討や企画を開始するタイミングで
誰が使う?CIO (Chief Information Officer), CTO (Chief Technology Officer), システム部門長など

とのことである。色々考察したいこともあるがあまりにも長くなるので別の機会を探すことにする。

これを読んで思うのが、良く企業の経営層やリーダーなどと話して

・「僕はIT分からないから」
・「うちの経営者はITのことは下に任せているから」
・「うちの会社はITリテラシー低いから」

など聞くが、これからはDXはビジネスのITを活用したトランスフォーメーションであり、企業の文化の変革でもある。これを経営層やリーダー達がちゃんと理解をして自分達でオーナーシップを持って進められていなければ、最初にも書かれた「デジタル競争の敗者」への道しかないのである。経営者やリーダーが

・「DXのプランは下に任せてあるから、ちょっと僕はそこは分からない」
・「うちの会社はDXはベンダーに任せてあるから」

などといってしまうと、「あー、この企業はデジタル競争の敗者に向かっているのね」と思われてしまう未来はすごく近いと思う。

最後のおまけ:両利きの経営

最後まで読んでくれた人におまけです。このような超短期・短期・中長期のDXを可能にするためには、ある意味現在の収益の大半である「本業」のビジネスからリソースを割いて将来への投資をしないといけません。これを可能にするのが、今話題の「両利きの経営」です。以下の本すらすらと一日で読め、両利きの経営が何か、がわかります。今から大事な両利きの経営のコンセプトの理解がまだな人にはおススメです。

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