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いつか子どもが生まれたら、僕らのサービスと共に人生を歩んでほしいと思っている
「自然」を仕事にしたいと思った理由
僕は野生児でした。
北海道で生まれ、幼少期から雪山、湖、川、森と自然の中で走り回っていました。
森の中にあった幼稚園には「お昼寝の時間」「お絵描きの時間」といったものはなく、その季節に合わせて自然の中で遊ぶ時間があるだけ。冬にはタイヤチューブで雪山から直滑降で滑り降り、春にはよもぎを取ってみんなでヨモギ餅を作る、そんな毎日。
夏にはトムラウシ山に1泊2日で登りに行ったり、三笠のあたりにフライフィッシングに行ったり、春にはスキーを担いで羊蹄山に登ったり。とにかく自然の中で遊び倒した幼少期でした。
野生児だった僕も、大学で東京に出てきてからはパタリと自然と触れなくなりました。西麻布のバーで飲んだくれながらバーテンダーをやり、心配した母親が北海道から𠮟りつけに東京に来たこともありました。お恥ずかしい限りですが、都会の魔力というのは凄まじいものです……。
そんな中、30代半ばになって出会ったのが、今の会社を共同創業することになる本間貴裕という人間でした。彼と山に登り、海で遊んでいるうちに、かつての「自然」というテーマが人生の真ん中に戻ってきたのです。
自然の中に「もうひとつの家」を作る
人間が人間らしく、瑞々しく生きていくために「自然」という相棒は、なくてはならない存在です。
都市には多くの刺激が溢れ、私自身も楽しく生活していますが、どこか人間の動物としての感性には「蓋」がされているように思います。
本格的な登山やサーフィンやスキーといったアクティビティをせずとも、朝起きて部屋に差し込む太陽の光に、爽やかな春の風の香りに、肌に触れる木や石の触感に、人間という動物は幸せを感じる本能を持っている。
どうすれば都市の人を自然に連れ出せるか? 自然を愛する人が増えるのか? 何年も本間と2人で考えた結果、辿り着いたのが「SANU 2nd Home」というサービスでした。
コンセプトは「自然の中にあるもう一つの家」。
月額5.5万円で山の中、海の隣に文字通り「もう一つの家」を持つことができるというものです。初期投資も要らず、インターネットや水道の申し込みも必要ありません。ウェブ登録を済ませたら、その日から自然の中にある生活を、都市生活を捨てることなく始めることができます。
次にローンチしたのが「SANU 2nd Home Co-Owners」。共同所有型の別荘サービスです。年12泊から使いたい泊数分だけ、別荘の「一部」を資産として購入するサービスです。購入すると全国全てのSANU 2nd Homeをご利用いただけ、所有泊数を誰かにあげる「ギフト機能」もあります。そして、資産として「売却」も可能です。購入金額330万円という金額も功を奏してか、第一弾の館山200口は一般販売開始2.5時間で完売し、ありがたい反響をいただきました。
長野の白樺湖、山梨の八ヶ岳南麓の2拠点でサービスを開始したSANU 2nd Homeですが、山中湖、軽井沢、河口湖、伊豆、館山、白馬、奄美とどんどん拠点は増えていき、現在は29拠点163室に泊まることができます。そして、2026年にかけて、40拠点にまで広がっていきます。
(今年はいよいよ北海道はニセコにオープン。お楽しみに!)
0歳から100歳までお付き合いしたい
SANUという会社を立ち上げてから5年、SANU 2nd Homeというサービスをローンチしてから3年が経ちました。
本日、新たに「SANU 2nd Home Owners」を発表しました。SANU 2nd Homeを「1軒まるごと」所有・運用することができるサービスです。
これで「1泊単位」でSANUに気軽に泊まっていただくところから、「繰り返し通う」月額5.5万円のサブスク、「部分的に所有して長く通う」400万円からの共同所有、そして「1軒まるごと」所有して運用するオーナー型と4つのサービスが揃うことになります。
(これらに加えて、toB向けに福利厚生サービスとして月額9万円のSANU 2nd Home for Businessがあります。いわば「保養所サブスク」です。)
なぜ、これだけいろいろなサービスを立ち上げるのか? それは「一生お付き合いするサービス」でありたいから、という僕の思いがあります。
0歳から100歳まで。ライフステージが変わるごとに、SANUとの関わり方も変えてほしい。関わり方を変えてもらいながら、つねに人生の隣にいるようなサービスでありたいと思っているのです。
人生の隣につねに「SANU」を
僕にはまだ子どもはいませんが、もし子どもが生まれたらSANUと一緒に人生を歩んでほしいなと思っています。
ここから少し妄想に入りますが、自分の子どもがSANUと共に歩む人生、例えばこんな感じです……。
0歳 : わが子の自然体験はSANU 2nd Homeで始まります。鳥が鳴く声、雪の冷たい感触、コーヒーを飲みながら談笑するパパ(私)・ママの笑顔。子どもは自然に興味津々です。
5歳 : 子どものマイブームは昆虫と星空観測。最近は自分で火をおこすことにも挑戦しています。まだパパに見守られながらですが「いつか一人で火をおこしてやる」と心に誓っているようです。
10歳 : 小学校も高学年になり、習い事も忙しくなっているでしょう。でも、3か月に一度のSANUは変わらず家族の恒例行事です。今年の夏休みの自由研究は「八ヶ岳の縄文人の暮らし大研究」。SANU 2nd Home 八ヶ岳の近くの遺跡を家族で見に行きます。
20歳 : すっかり大人になった我が子に、親父として「友だちとSANUに泊まってきたらどうだ?」と提案します。「友人と行ってくる」と言いながら、付き合いたてのパートナーとSANU 2nd Home 軽井沢へ。かつて鍛えた焚火スキルがここで活きます。そしてパートナーもSANUを気に入り、次回は友人カップルと来ようということになりました。
35歳 : 30年前に買った「SANU 2nd Home Co-Owners 蓼科」もいよいよ年限の30年。両親(私)は「SANU 2nd Home Owners 白馬」を購入しようかしらと悩み中です。わが子もそれを使えたらラッキーと思いながらも、気軽に利用できるサブスクに「とりあえず入るか」と加入。お気に入りの使い方は、1人で泊まってDeep Work、会社の戦略を考えることです。
38歳 : 通っている内に、八ヶ岳が大のお気に入りになります。「自分の幼少期の体験をわが子にも」と思い「SANU 2nd Home Co-Owners 八ヶ岳」を500万円で購入します。
55歳 : 子ども(私からすると孫)も無事巣立っていき、これからの人生を考えたときに浮かぶテーマは「自由」。もちろん仕事はバリバリやりながら、パートナーと一緒に自然の中の家を持とうと決心。もちろん選ぶのはSANU一択。行きつけの店もあり、もはや第二の故郷の感覚すらある「SANU 2nd Home Owners 八ヶ岳」を8000万円でローンを組んで購入。
80歳 : 人生の終盤に差し掛かり、より軽やかになっていきたいと願う。Ownersは息子に譲り、自分はたまに1泊単位で八ヶ岳を利用して温泉に入りに行く。
妄想が行き過ぎて気持ち悪かったら申し訳ないですが(笑)、少しでもイメージしてもらえたらうれしいです。
とにかく、こんな感じで世代から世代へ受け継がれていくようなサービスにしたい。ライフステージが変わっても適切なプランが選択できるSANU 2nd Home。このサービスがあることで「自然と共に生きる暮らし」がいつまでも続くことを僕らは願っています。
「ただいま」という声が響く家
SANUの利用者さんからこんなメッセージをいただいたことがあります。
「子どもがSANU CABINに入るときに”ただいま”って言って部屋に入っていくんです。東京に戻ると"次、いつSANUに帰るの?"と聞いてきます」
そのメッセージをいただいたとき「よっしゃ」と思いました。
子どもがSANU 2nd Homeを自然の中の「帰る場所」、つまり「ホーム」として捉えてくれたのです。
SANU 2nd Homeは「非日常の体験」ではなく「豊かな日常体験」を作ることを意識してきました。「行く目的地」ではなくて「帰る場所」。「ゲストとして」滞在するのではなく「ホームとして」リラックスできる場所。「消費者として」宿泊サービスを享受するのではなく「自ら楽しさを作り出す生活者として」体験する場所ーー。
現代はサービスが溢れかえっている時代です。
「これもいいかも」「あれもいいかも」……SNSで日々なだれ込んでくる情報に惑わされ、自分が本当に必要としているものが分からなくなる。刹那的に刺激されるけど、興味は長続きしない。そういう中で、僕らは勇気をもって”引き算”して作ったのが「SANU 2nd Home」なのです。
ただ”引き算”しすぎると現代人にはハードルが高いので、ここの塩梅が絶妙に難しいところです。
充実したキッチンはあるけれど、料理はご自分でしていただく。周辺施設の案内は積極的にはやらないが、きちんとキュレーションしたおすすめマップは置いておく。焚火台はセットして薪セットは置いておくが、もちろん自分で火をつけてもらう。
僕らが「家」を作った先に、何が起きると信じているのか?
それは、自然の中で時間を過ごした子どもたちに起こすインパクトです。自然の中にある家に「ただいま」と言って帰る体験。かつては田舎のおばあちゃん家に帰るときにあった、あの感覚です。おじいちゃん、おばあちゃんも都会に移り住んでしまった世代の子どもたちが「SANU 2nd Home」を通じて、自然の中に「ただいま」といって帰る。
その子どもたちが大人になったとき、都市に住んでいたとしても、記憶のどこかで「自分を育ててくれた自然」を想ってくれたら。そして、都市に住んでいても、少しだけ他人や動物や自然に対しての優しさを持つようになってくれたら。そう思っているのです。
最後に。都市に住むお父さん、お母さんへ。
わかります。出かけた先で自分で料理をするの、大変ですよね。自分で火をおこすの、めんどうですよね。でもね、一度「SANU 2nd Home」を選んでみてほしいのです。なぜなら、きっと子どもたちが大人になったとき、記憶に残っているのはそういう自然の中での、ちょっぴり特別な暮らしの体験なはずだから。