Atlassian Team’24 速報!
皆さんこんにちは、Genです。
米国時間の 4月30日 (火) から 5月2日 (木) まで開催されるAtlassianの大イベント「Team'24」!ついに開催されました。
このために、ラスベガスに世界中から多くのアトラシアンユーザーやパートナーが集まってアトラシアン製品の最新情報や、チームの協働を高める知見やテクノロジーを吸収しに来ます。
今年も残念ながら現地参加できなかったのですが、オンラインで参加させていただいております。
製品発表などが含まれるのは「Founders' Keynote」っぽいので視聴しました。(深夜1時から2時半は厳しいって←)
そこで、最新情報をこちらで共有させていただければと思います!
ニュース①Jira Work Management と Jira Software を「Jira」として統合します
これはびっくりです…!
確かに、Jira Work Managementで使える「カレンダー機能」とか「リストビュー」をJira Softwareで使えたらなぁ、とか逆にJira Softwareの「リリース機能」とか「複数ボード管理」とかしたいなぁみたいなのがあって、製品と使い方の境目が分からなくなっていたように思います。
「Jira for every team」というスローガンがかつてアトラシアンにあったそうですが(以下のYouTubeでも話しています)、それが改めて製品として形になったということでしょうか。
原点回帰といえるのかな。
さらに、Jira に最近入ってきた目標管理(これは元々Atlasとの紐づけだったかな?)の情報が直接Jira上で表示されるようになり、チームで自分の仕事が全体的な目標にどのように貢献しているかを視覚的に確認できるようになるとのことです。
Jira のリストビューですねぇ。みんな大好きリストビューですよっ!
統合されたことですべてのチームが使えます。
そして、EpicとStoryがチームごとでの呼び方で管理ができるようになるとのこと!!
Jiraユーザーあるあるかと思いますが「Epic」と「Story」の使い方を何回ユーザーに説明をしたことか、そしてチームによってどれほどのバリエーションで読み替えをしてきたことか…。
Epicという概念が薄れていっている傾向はありましたが、こういう形になったのですね。Storyもカスタマイズできるようになるとは盲点でした。
チームは自分たちの言語に合わせて用語をカスタマイズできるようになります。
Atlassian Intelligence も組み込まれているので、タスクリストの自動生成もお手のもの。生成内容の精度とか日本語対応しているかとかは要チェックですね。
ちなみに、先日インドに行った際に、たまたま出張で来ていてイベントに一緒に登壇することになったAtlassianのJira SoftwareのプリンシパルプロダクトマネージャーであるJason Wongさんにインタビューさせていただきました。
そこでJiraがどのようにして変遷してきたのか、また、製品の変化と合わせてそのようにチームを変えてきたのかお話しいただいてます↓
興味ある方はぜひYouTubeをご覧ください。
いいね・チャンネル登録していただけるとめちゃくちゃうれしいです!
ニュース②Confluenceのナレッジ共有と検索機能を改善
コンフルエンスのドキュメントの自動化がますます強化されてきました。例えば、最近出てきた「ホワイトボード」機能でブレインストーミングをしてアイデアをまとめたらそのボードをそのままページに変換…?え!マジですか?これができるようになったらすごいです。
そして気になっているが使いこなせていない「データベース機能」。これも強化されて使いやすくなっている模様。
テーブルのデータをカード形式にすることもできます!
次に「スマートリンク」!
って、あれ、前からなかったっけ?
違うんですよ、ええ。
「スマートリンク」といってもね、ページツリーの中のコンテンツとしてそのまま外部のコンテンツがおけるという代物なんすよ。
ビジネスチームのコンフルエンスの使い道の幅広がりすぎて迷子ですよ(おーいここはどこだぁ)
そしてぇ、新たに出てきた機能それも「Company Hub」。
これは会社内でのナレッジサイトのTOPページ的なものとして会社ブランドにカスタマイズできるというものだそうです。ロゴとか色とかね。自社ブランとしての社内ポータルのランディングページ?が作れるみたいです。
とはいえねぇ、TOPページがきれいでもねぇ、ナレッジ記事は検索して探すしねぇ、検索性が上がるって言えるんですかね。
言えますよ。AIがあるじゃないですか。
AIを使ってアップデートをキャッチアップするのです!!
あるページの最近の更新内容を知りたいときに変更内容をまとめて教えてくれるそうです。すげぇな。
そして、元々のコンフルエンスの検索機能の精度も大幅に改善されたそうです。素晴らしい。
アトラシアンは Confluenceの検索もおける品質向上に投資を行ってきたそうで、精度を始め検索のアルゴリズムの改善まで行ったことにより、最初の検索でほしかった情報がすぐ出てくる確率が大幅に上がったということだそうです。
嬉しい!
ちなみに、特に日本語ユーザーにとってのGood Newsは今まで日本語での検索精度を上げるためにはConfluenceの「インデックス言語」というものをCJKに設定する必要があり、それをするにはAtlassianのサポートに依頼をしなくてはいけなかったんですね。これがですね、ユーザー側(管理者)でできるようになったらしいんですよ!これすごくない?
それもチェックしてみます。
えー次にですね、Unified Searchという機能でこれまたすごいよアトラシアンさん、製品横断でコンテンツを探せるようになるとのこと。
Atlassian Cloudの基盤をすべての製品の下に敷けるようになったからこそできることですね。Cloudアーキテクチャならではのメリットです。
と、このようにConfluenceでのナレッジ検索の効率化や精度の向上、さらに製品横断というように検索対象の幅まで広がりコンフルエンスはとてもじゃないけど「Wikiツール」というには機能が多すぎるくらいパワーアップをしているということでした。
ニュース③LoomがAtlassianファミリーに仲間入り:非同期コラボレーションの実現とミーティングの削減へ
最近アトラシアンがLoomを買収したという発表がありましたがいよいよ組み込まれてきますね。
実はLoomは買収される前から使ったことはあるのですが、便利な製品ですよ!
ブラウザの拡張機能でいつでも画面を録画開始することができるし、カメラをオンにしてチュートリアル動画をその場でサクッと作ったりできるし、録画したデータをリンクにして共有することができます。
これがAtlassianに組み込まれるとどんな使い方になるんだろうと気になっていました。
ポイントは「無駄な会議の削減」です。現代の分散型ワーク環境におけるチームの効率的なスケールを支援するということで、会社案内、マーケティングビデオ、バグ報告、セールスなど、さまざまな用途に使用できるというふうに説明していました。
アトラシアンは Loom を採用して以来、50 万回近いミーティングを削減して、数千時間節約したそうです。ほえぇ。
確かに無駄なミーティングは多くなりがちですよね。「定例」とかね。
なんかもうMTGの実施ためにアジェンダ組んでる感じになっちゃうよね。
そういった無駄な会議をLoomで伝えたいことをビデオにして非同期で共有すればわざわざ時間とってミーティングしなくてもいいよねっていうふうにできるわけです。
ここでもAIが登場です。ビデオだけでなくそこから文書も自動生成してくれるとのこと。これはさらに効率化できますね。もう本当に伝えたい事しゃべって、自動生成されたドキュメントを軽くチェックして修正してはい共有準備OKって感じになるわけですね。
これからベータ版として出てくるのでこれも要チェックです。
ユーザーからフィードバックもスムーズにもらう必要があります。そこでビデオメッセージングツールの「Loom」です。構築したソフトウェアの画面の動作で不具合などがあった際にすぐに録画をして開発チームに共有することができるようになります。
バグレポートがめちゃくちゃ簡単になります。
ニュース④Atlassian University無償化!
ついにやった。やりましたよ。もうAtlassianの学習コンテンツ全部無料だってよ。
これ以前は高いもので数万円とかしてたからね?
しかも最近は製品に関するものだけじゃなくて働き方みたいなプラクティスとか概念的なこともコンテンツとして出てきてたから非常に有益な情報だと思います。
受けまくりたいと思います。
ありがたや。
ニュース⑤Jira Product Discoveryプレミアムエディション登場
Jira Product Discovery は、最近出てきた新しい製品で、製品化前のアイデアや顧客インパクトに基づくプロダクトアイデアの優先順位付け、そしてロードマップの作成などといった製品の開発に落とし込みJiraへ流し込んでいく所をサポートします。
JPD(Jira Product Discovery)もついにプレミアムプランが出たらしい。プロジェクト全体の可視化、アクセスコントロール、AIを活用した機能を提供しするそうです。
ニュース⑥Compass正式提供開始
モノリシック(一枚岩の)なソフトウェア/サービスを作られていたかと思いますが、最近では、柔軟に変化できるよう構成要素が独立し疎結合になることで部分的に変更できるようになっているマイクロサービスアーキテクチャでサービスを構築することが増えてきているように思います。
「ちょ、ちょっとまって!
モノリシックとかマイクロサービスとかよくわからないよぅ。」
という方は以下の記事で説明しているのでもしよかったら読んでみてください ↓
そういった組織でリードしていくにはそれぞれのサービス、それを構築しているチームを追跡できる必要があります。また、全体としてのコンプライアンスや安全性を判断することが困難になってきます。
その管理・追跡のために開発された製品が「Compass」です。
Compassは開発者エクスペリエンスプラットフォームで、エンジアリングに関わるチームやそのテクノロジーをすべて集約して、健全なエンジニアリング・カルチャーの推進、リスク管理と信頼性の改善、開発者のベロシティ向上をサポートします。
Compassと合わせて発表されたのは「Optic」の買収と製品統合です。
Opticという製品でできることは、ざっくり言うと「APIの変更管理」かなと思います。
API ドキュメントの検出と整理: Optic はコード内で OpenAPIドキュメントを検出し、それを Compass に公開します。API が変更されると、その API利用者はCompass内で通知を受け取ることができます。
API を改善する: Optic は、チームが設計、セキュリティ、安定性に関する共通の標準セットを採用するのに役立ちます。 API の品質と安定性は、他のスコアカードと一緒に追跡されます。
Compass とどういう関係になるの?
上記に記載している記事「モノリシックとマイクロサービスアーキテクチャとは?」でも説明しているのですが、マイクロサービスアーキテクチャではAPI管理が複雑化するというデメリットもあります。
マイクロサービスアーキテクチャでは機能(サービス)間で利用しあうために都度通信をします。その際に一般的に使われるのがAPIです。
情報の行き来がサービス間でものすごいたくさん起きるんです。
なので、もしAPI側で変更があった場合は利用しているすべてのサービスに影響が出てしまいます。
そうならないためにAPIの変更管理が重要になってくるわけです。
そこで、Compass と Optic を組み合わせ、包括的な開発者エクスペリエンス プラットフォームを実現するということのようです。
ニュース⑦Atlassian Guard登場:包括的なクラウドセキュリティ
これはこれは、エンタープライズプラットフォームとして求められる高度なセキュリティ管理に加えて、以前ベータ版として公開されていたインテリジェントな脅威の検出製品である「Beacon」をとりこんだようですねぇ!
それがセキュリティ管理製品として「Atlassian Guard」となったようです。
もうすでにスタンダードとプレミアムプエディションを用意しているようで、この差がいかがなものか要チェックですね。
ニュース⑧AI機能「Atlassian Intelligence」のさらなる強化
AIによる自動化ルールの自動生成!?
自然言語から自動化ルールをAIに作らせることができるようになります。
こりゃすげぇわ。
ただ懸念もあって、このAIに自動化ルールを作らせる運用にユーザーが慣れると自動化ルールが乱立してユーザー側で管理不能になる未来がちょっと見えましたね。
複数のルールは一つで良かった、みたいな時にそういう判断できる知識を持った人がいないといけないですね。こういう所が人とAIの付き合い方の考慮事項の一つになってくるかと思います。
Atlassian AnalyticsでもAIにSQLを書かせてもお手のもの。これも自然言語から生成できます。先ほどの自動化ルール生成でもそうですけど、作ってほしいものをちゃんとAIに伝えるための、"AIリーダブル" な文章を書く力が必要になってきますね。こういうのが「プロンプトエンジニアリング」につながるのかな。
ニュース⑨Atlassian Rovo登場:人間とAIによるコラボレーションの新たな一歩
これは予想外でした。Atlassian Intelligenceが出てきて、これが各Atlassian製品に普及していくと思っていましたが、これをフル活用した製品が出てきました。
その名も「Rovo」!
どんな製品なのかAtlassianは以下のように発表しています:
見つける
今までの常識を超えてきました。このAIなんとAtlassian製品の外からも情報を探してきます。こいつはすごい。
おそらくクロールすると思うので、基本的にはウェブシステムが対象になるかなと思いますが、「サードパーティ製アプリや自社カスタムシステムをも含む」と書いていますね。
例えば、Confluence・Jira・Microsoft Word・Googleスプレッドシートと様々な製品を横断して学習します。その学習した内容をもとに用語の定義が自動的にされます。
なんとその機能はGoogle Docsとかの他のシステムでも利用できるそう。
学習する
今流行りのAIチャットです。学習した内容をもとに、自動で質問に回答します。そして回答内容に対してフィードバックをすることで学習していけるようです。
行動する
これが私的にはこれが印象に残っています。
その名も「Rovo Agent」。
Chat-GPTの登場により社会に大きなインパクトを与えました。OpenAIが台頭し始めた時にAPIを使って架空のユーザー作ってAPIを使ってAIによる自動サポート作れるんじゃね?って考えて模索してた時があったんですけど、こいつはそんな次元じゃない。
一人のバーチャルチームメイトとして様々な専門性を持ったAIたちがコラボレーションしてくれます。
例①:開発での「機能フラグクリーンナップ」エージェント
Atlassianが社内でForgeを使って作ったらしいのですが、このAIエージェントに機能フラグの削除を依頼をするというデモをしています。
するとなんと、AIがリポジトリに行って機能フラグを落としてプルリクエストをするというのです。
完了した際は、人がコメントした時みたいに右上のベルから通知が来ます。
どれどれBitbucketを見てみようじゃあないか。
ほぉ!人が作業した時と同じように、Bitbucket上にAIがこの箇所を変更したというように変更履歴が残っているではありませんか!
例②:マーケティングでの「ソーシャルメディア作成」エージェント
次の例では、Jira Service Managementでクリエイティブアセットの作成依頼をするフォームを用意しているというデモです。
どういうアセットを作ってほしいかを記入し送信すると、担当AIがCanvaのマジック画像を使ってドラフトの画像を返してきます。
これ人じゃないよ?AIだよ?
未来かな?
さらに、「もう少し色少なめでお願い」と人にコメントを返すようにフィードバックをすると、要望に合わせた画像を再度提案してきます。
さらに手動で調整したければ、Canvaに飛んで手動で直すことも可能です。
ここでのポイントはただ、言われた内容をもとに画像を作っただけでなく、社内のConfluenceに記載している内部的なデザインガイドラインを把握したうえでちゃんとそれに沿って画像を生成しているということです。
え、もう人じゃん。
そんなそれぞれの専門に特化したAIエージェントをマジもんのチームメイトとして作業を効率化していけるわけです。
Rovoには、20以上のエージェントが購入した状態から含まれている予定とのこと。
アトラシアンのノーコードテキストインターフェースを使ったり、拡張プラットフォームのForgeを使って、オリジナルのエージェントを作成することもできるそうです。
さらに、Atlassian Marketplaceでもエージェントを検索できるそうです。
いやぁ、衝撃でした。
まとめ
最初にリリースされた「JIRA」が進化を続け、そして今「Jira」としてあらゆるチームのプラットフォームとなりました。今後AIがますます浸透し、進化をしていくことでしょう。私もJiraを通して育てられてきた身でもあるので非常に思い入れがある製品です。これからも多くのチームでその力を発揮できるようサポートしていきたい所存です。
そして、Rovoの登場もあり、「人とAIはどう付き合っていくのか」という問いについて、急に現実味を帯びてきました。もうちょっと先の未来かなと思っていましたが。。
私が思うのは、「育てる」という感覚が大事かなと思います。とりわけ日本はパッケージ製品(必要な機能すべてが同梱されている・期待するものがそろっている)という考え方が根強いように思います。
AIは最初から品質は高いと思いますが、活用する組織としては求めるものとはギャップは少なからず出てくるはずです。
なので、AIがちゃんと分かるようにフィードバックをする、自社で持っているナレッジをちゃんと管理をする、つまり古い情報・現状とは異なっているナレッジをしっかりアップデートしていくということがAIのパフォーマンスを上げていくうえで重要になっていくのかなと思います。
Atlassianや未来の働き方、AIに興味がある方にとって参考になれば幸いです!
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それでは!