[無料]イリザロフ手術ってナニさ?
骨延長経験者のGen(@Gen_ilizarov)です。この記事では、イリザロフ手術が生まれた歴史をザックリ解説します。
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イリザロフは史上初の「骨延長手術」を行った医師の名前です。
本名は、Dr.ガブリル・アブラーモヴィチ・イリザロフ。
1921年に生誕、1992年に永眠されています。生きていた時代がソ連時代とモロ被りなので、ロシアというよりソ連の人という方が適切かもしれません。
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「ソビエトの魔術師」Dr.イリザロフの誕生
イリザロフ少年は田舎町の貧しい農家に生まれます。
この時代の「貧しい農家」ですからね、
たぶん尋常でなく貧しかったでしょうね。
それはさておき、幼少期から賢かったイリザロフ少年。
勉強は得意だったそうです。
少年時代に医師に助けられたというイリザロフ少年、
定番の流れで医師を目指します。
さて、時は第二次世界大戦の真っただ中、
疎開も兼ねて、カザフスタン医科大学に入学します。
この時代、カザフスタンもソ連でした。
順調に医科大学を卒業した若きDr.イリザロフ。
カザフスタン近郊のクルガンという町に派遣されます。
(ここには現在イリザロフセンターがあります)
陸のDr.コトー状態、少ない医療資源の中、懸命に診療していました。
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全く新しい骨折治療法の発見
1951年、30歳の時に画期的な骨折治療法を発見します。
それが今でいう創外固定器であり、イリザロフリングです。
専用の治療具がなかったため、偶然手に入った金属リングとワイヤーで骨折部位を固定したところ、従来の治療法より成績が良いことを発見します。
まさに「必要は発明の母、偶然は発明の父」です。
創外固定器を用いた治療で、次々と骨折患者を治していくDr.イリザロフ。
ある日「ナットを回して徐々に骨折部を圧迫してね」と患者に指示します。
ところが、その患者は間違えてナットを逆に回してしまいます。
後日レントゲンを撮ると骨折部は延長され新しい骨が出来つつありました!
これが史上初の骨延長です。
やはり「偶然は発明の父」ですね。
今思えばミスった患者グッジョブです。
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「骨延長」が起こる仕組み
人体の「再生力」を使って、骨を伸ばします。
ザックリいうと、「傷が治る」仕組みの応用です。
膝小僧をすりむいて皮膚の一部が失われても、元に戻りますよね。
アレと同じです(超ザックリ)。
骨が折れると、そこに新しい骨を作るための仮骨が形成されます。
仮骨は柔らかく、水飴というかスライムみたいな状態です。
創外固定器によって、スライム状態の仮骨を少しずつ伸ばしていきます。
まさにスライムがびよーんって伸びるイメージです。
仮骨は放っておけば、徐々に固まっていきます。
延長後、創外固定を続けて完全な硬さの骨ができれば完成です。
この性質から骨延長は「仮骨延長術」とも呼ばれます。
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1964年、東京オリンピック
高跳びでソ連のブルメルという選手が金メダルを獲得します(記録は2.28m)
ちなみに、史上初の「背面跳び」を行った人物です。
しかしその3年後、バイク事故で両スネを複雑骨折し医師から「切断しかない」と宣告されてしまいます。
「なんとかならないか…」と必死で治療法を探したところ、Dr.イリザロフに辿り着きます。
クルガンでDr.イリザロフの治療を受けたブルメル選手は、なんと1年で競技に復帰します。
再び2mを超える高跳びを披露し、喝采を浴びました。
このブルメル選手の「奇跡の復活」をマスコミが煽り立て、イリザロフ法も一気に脚光を浴びることとなります。
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ときは、冷戦時代
とはいえ、イリザロフ法が世界に広まるにはまだ時間がかかります。
当時は当然ながらインターネットなどなく、
冷戦中のためソ連と米国など西側諸国は情報が断絶していたからです。
全く戦争とは百害あって一利なし。
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遂にイリザロフ法が世界中に広まる1980年代
ある時、イタリアの有名な冒険家が登山中に左スネを複雑骨折しました。
これまた高跳びのブルメル選手と同様に主治医からは「切断しか…」。
そしてブルメル選手の時と同じく、なんやかんやあってDr.イリザロフが完璧に治しちゃいます。
前回と違うのは、イタリアが米国などと同じ西側諸国であったこと。
この治療結果を見て西側の医師たちは驚きを隠せません。
だって今まで自分たちが「切断しか…」といって実際切断しまくってきた脚たちは「本当は治せた」のですから!
そして、米国など全世界に広まったイリザロフ法。
1980年代の後半頃から遂に「美容目的」の骨延長が行われ始めます。
つまりイリザロフ法それ自体には70年の歴史があり、美容的骨延長に限っても、40年の歴史があるわけです。
もともとのイリザロフ法(骨延長手術)は複雑骨折の治療や、病気や怪我のせいで左右の手足の長さが非対称になってしまったときに用いられました。
美容的骨延長は「医学的には全くの健康体。でも背を伸ばしたい」という人にとっての選択肢です。
2020年の現在でも美容整形や骨延長にまだまだ偏見や知識不足があるのに、当時手術に挑戦した患者と外科医には感嘆しかありません…。チャレンジしてくれて、ありがとう!
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晩年も活動を続けたDr.イリザロフ
その後も、後進の指導や医学会での講演などを精力的に続け、隠居することはありませんでした。
そして1992年、ロシア連邦の成立の直後に心臓発作で急逝。享年70歳でした。
天に召される直前までイリザロフ法の普及と発展に生涯を捧げました。
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最後にGenの補足
物語の主人公はもちろんDr.イリザロフですが、彼を取り巻く環境と偶然、不運な事故に見舞われた最初の患者たち、多くの人たちの巡り合わせがあって、今やイリザロフ法による骨折治療や骨延長手術は当たり前の医療になりました。
一昔前は切断しか選択肢のなかった脚が残せる。
一昔前は変えられなかった生まれ持った身長が伸ばせる。
そんな時代です。
僕はその恩恵を授かった一人として、『身長に悩んでる全ての人が正しい情報にアクセスでき、骨延長を「する」にしても、「しない」にしても、後悔のない人生を送ることができる』そんな世界を目指して、少しずつ情報発信を続けていくつもりです。
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【Genの骨延長経過】
2018年5月~10月、アルメニアに滞在し骨延長イリザロフ手術を経験。10cm(大腿5cm / 下腿5cm)をLON法(Lengthening over nails)で。
費用は全部込みで500万円。
帰国後3ヶ月で日常生活に復帰。
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