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職位が変わると何が変わるのか
今回は大学における職位が変わると何が変わるのか、ということについてお話ししたいと思います。
大学における職位
現在、日本の大学では(助手)、助教、(専任)講師、准教授、教授という4段階の職位が存在します。
助教の前に助手という段階が含まれることもありますが、助手の場合、教員とはみなされず、いわゆる研究員として扱われることもあることから、基本的な職位としては4段階だと考えています。
以前、職位が変わると給与が変わるのか、ということについてお話ししたことがありますが、今回は給与に限らず、職位が変わるとそれに伴って変化することについて考えてみたいと思います。
①給与の伸び幅
職位が変わったからといって、給与が劇的に変わることはありません。
なぜなら、昇給したとしても、以前の職位における給与に合わせて昇給後の給与が決められるからです。
つまり、講師から准教授に昇給したとして、講師の時に30万円の給与を得ていた場合、准教授においても、30万円に最も近い棒給が適用されるからです。
そのため、職位が変わったからといって、翌年から劇的に給与が上がるわけではありません。
ただ、給与の伸び幅は大きくなります。
講師の時に毎年1万円の給与アップがあった場合、准教授になると、1万5000円のアップになるというように、伸び幅に違いが出てくるわけです。
これは、細かい話になりますが、「棒給」というものが関わっており、この棒給の数(号棒)が若ければ若いほど、伸び幅が大きくなる仕組みとなっています。
参考資料として国家公務員の棒給表を貼り付けておきます。
https://www.jinji.go.jp/content/900025417.pdf
講師から准教授に昇給した場合、「級」という棒給一覧の枠が変わるため、例えば、講師の時に「2級」だった場合、准教授では「3級」となります。
そして、2級の20号(号というのは号棒のこと)という位で給与を得ていた場合、准教授になると3級の10号というように、号棒が若くなります。
そうすると、毎年の昇給幅に違いが出てくるわけです。
大学教員の場合、研究や教育の実績、学位などが考慮されることがありますが、多くの大学で最も考慮されるのは年齢です。
他業種から大学教員になった場合、年齢が高ければ基本的に高い号棒に割り当てられますので、あまり職位などは気にならないかもしれません。
職位の違いによる影響が感じられるのは同年代の教員の場合です。
同じ年齢で職位が違う、もしくは、早くから高い職位についている場合、それだけ給与も高くなっていますので、職位の違い、高い職位についた時期の違いが給与に現れます。
あまり同年代と給与の話などしないかもしれませんが、伸び幅を考えた場合、早くから高い職位についておいて損はないと言えます。
※専任教員についての話をしていますが、非常勤講師の採用においては、職位で1000円近くの差がつけられることが基本です。
非常勤講師として働くとしても、職位が高いに越したことはありません。
②役職への就任
次に職位が影響してくることの一つとして、役職への就任が挙げられます。
役職というのは、例えば学部長や学科長、〇〇委員長などの学内における要職と考えていただけたらと思います。
これらの要職には、学内の規程や暗黙の了解にとなっているのかもしれませんが、多くの場合就任できる職位が決まっています。
学部長や学科長には教授しか就けないなど、学内規程には書いていなくとも、暗黙の了解で就任条件が課されている場合があります。
そのため、研究実績が乏しい場合にも、学内業務に精を出していると、要職には就かせるために早めに昇給話が回ってくることがあります。
③社会的信用
最後に、職位が変わることに伴って変わることといえば、社会的信用が挙げられます。
職位が上がるにつれ、役所の学識経験者、専門職、知識人などの枠でお声がかかることが増えます。
これは年齢が関係してくることもあるのですが、やはり講師よりも准教授、准教授よりも教授の方がお声がかかりやすい印象です。
一般的な印象としても、准教授、教授という肩書きがあった方が社会的信用が高いというのはイメージしやすいかと思います。
社会的信用が高まることによって、ローンなどが借りやすくなるとかならないとか、、、
真偽はわかりませんが、職位が高くて損はないでしょう。
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以上、簡単ではありますが、職位が変わることによる影響についてお話ししました。
職位が下がるというのはほとんどありませんが、別の大学に移る時に、稀に下がることがあります。
ただ、給与体系などは大学の規模によることが多いため、職位が下がるから必ずしも給与が下がるとはいえません。
そのため、完全なマイナスになるとも言い難いのです。
職位が上がるということは望ましいことではありますが、さまざまな責任もついて回りますので、完全なプラスになるとも言い難いところがあります。
職位に恥じない教育、研究を推進したいところです。