ご縁ごと。
皆さんこんにちは、セタゲンゴです。
まず初めに。
先週末の東京V戦、当日の直前に中止の決定となってしまい、皆さんには大変なご迷惑をお掛けしました。
色々なご意見を頂戴しました。
水戸ホーリーホックのファンサポーターの皆さんには、本当に温かいお言葉をかけていただき、感謝しかありません。
アウェイまで足を運んで下さった方々の想いもよく理解しています。
これには向き合わないといけないですし、本質的な改善点はうやむやにしないで向き合っていかなくちゃいけないと思います。
我々にとっては、皆さんと共に安心安全な試合運営を行なっていくことが最上位概念。
これ以上に優先することはない、ということだけご理解いただければ幸いです。
引き続き宜しくお願い致します。
サッカー界の風物詩
さて話はガラリと変わりますが、サッカー界には、基本的に夏と冬に1回ずつ移籍のウィンドウというものがあります。
そこではどこのクラブも多少選手の入れ替わりがあるもの。
そりゃ30人も選手がいて、試合に出るのは11人ですから、色々な思惑があって移籍という事象が生じるのは仕方がないこと。
水戸ホーリーホックは過去を遡っても毎年かなり多くの選手が入れ替わるクラブです。
Jリーグの中での立ち位置を考えると、ある程度仕方がないことであり、それでも毎年しっかりと結果を出すチームを作るGMや、監督コーチングスタッフの手腕には頭が下がります。
この夏には高井和馬選手がレノファ山口(J2)へ、また平塚悠知選手がアビスパ福岡(J1)へ移籍しました。
今シーズントータルで見ると、三國ステヴィアエブス選手(岐阜FC/J3)、茂木秀選手(今治FC/J3)、田辺陽太選手(おこしやす京都AC/関西リーグ)を含めて5選手が新天地へと旅立って行きました。
逆に新加入としては、安永玲央選手(横浜FC/J2)と鵜木郁弥選手(柏レイソル/J1)に加え、ドイツ2部ホルスタイン・キールからレオナルド・ブローダーセン選手が国際移籍してきました。
移籍というものは一期一会。
別れもあれば出会いもあるわけで、そうやって人が数奇な運命で繋がっていく事象は、私は意外と嫌いではありません。
むしろ短い期間でも関わった仲間が、また新しい世界で挑戦をする姿を知れることは、全く新しい刺激であり、楽しみだったりしますので。
誰とでも必ずそういうタイミングが来るとわかっているからこそ、いかに一緒に過ごしている時間を充実したものにするか、それが大事だと思っています。
送り出す側のうつわ。
今年水戸ホーリーホックが全力で取り組んでいるPR大使企画なんかはまさにそれ。
選手が水戸ホーリーホックでプレーしたことを強く記憶してほしいし、それが尾を引く関係性になっていってほしいなと。
この世界、移籍して出ていった選手が戻ってくることもありますし、引退して別の形で帰ってくることだって少なくないのですから。
むしろ、帰って来たいと思ってもらえるような場所でいること、が送り出す方の大事な役目かなと思っています。
選手は他のクラブに行けば必ずそれまでいたクラブと比較をするわけです。
リーグのカテゴリが上がる選手、下がる選手。
大都市圏に行くこともあれば地方に行くこともあります。
多くのサポーターの前でプレーするようになることもあれば、中には国が変わることだってあるわけです。
だからこそ、水戸ホーリーホックで過ごした時間は自分の中で本当にかけがえのない時間だった、と誰もが口にしてもらえるクラブを目指すことが大事。
選手は個人事業主ですから、“自分”という会社をしっかりと経営しなくちゃいけません。
だからこそシビアな判断はあるし、挑戦するという判断はあるのは仕方がないこと。
西村GMは基本的には選手にとって良い移籍は送り出す方針ですが、私はそれに全面的に同意です。
損して得取れ、とまでは言いませんが、必ずこのスタンスが好転を生むようになります。
事実、すでに「育成の水戸」という評判はサッカー界には定着したイメージですし、さらにここから自身のアカデミーから選手をどんどんトップへ輩出していけるようになると、それは確固たる地位を築いていくと確信しています。
育成型クラブを目指す
とは言え、選手の入れ替わりが激しいことは、監督にとっては悩ましいのも事実。
「3年前から一緒にやってる選手はたった3人しかないのよ」
とは秋葉監督の言葉ですが、それでも毎年アグレッシブで魅力的なサッカーを展開し、クラブの予算から見るとJ2の中でもトップレベルの費用対効果を生んでいるチームを作り上げるその指導力は素晴らしいというほかありません。
それは秋葉監督率いるコーチングスタッフが、どんな選手たちでも同じコンセプトでブレない一貫指導ができている証明であり、だからこそ指導者としての評価も、当然日本サッカー界の中ではかなりなものだと理解して良いと思います。
秋葉監督との立ち話の中で、毎年選手が入れ替わることへの思いを聞いてみましたが、
「正直、(今シーズンは)3年目の集大成という意味で新しい選手たちも多くいる中で新しいトライもしてみた。でも上手くいかないこともあってね。そこでベース作りの部分からやり直す必要はあったよ」
という本音をおっしゃっていました。
それでもここまできっちりと結果を出してくるのですから、改めてすごいことだと思ったのですが。
そんな会話の中でヨーロッパで一大旋風を巻き起こしているある指導者たちの話で盛り上がりました。
それは現在バイエルンの指揮官であるユリアン・ナーゲルスマン氏であり、その彼の師匠であるトーマス・トフェル氏(現チェルシー)であり、そしてその大師匠とも言われる現在オーストリア代表監督でもあるラルフ・ランゲニック氏について。
ちょっとマニアックな話になるので内容は割愛しますが、僭越ながら私は指導者ではないからこそ、クラブ経営の視点やクラブのコンセプト、フィロソフィの視点から、なぜ彼らのような指導者が今、ヨーロッパのサッカー界で評価されるかの話をさせていただきました。
一流の指導者は、どんな選手たちでもそれを育て上げ、一流のチームを作り上げていきます。
もちろん“一流”という言葉にはいろんな意味があると思いますが、ここではベストなパフォーマンスを発揮できるチームを作り上げるという意味だとご理解ください。
それに対してランゲニック氏のような超一流は、(超)一流のチームを作り上げながら、同時に(超)一流の指導者も育てることができる存在なんです。
事実ランゲニック氏が作り上げたマニュアルが、多くのタイトルを獲得するチームを作り、多くのトッププレーヤーを生み出し、そしてトップクラスの指導者を生み出しているのですから。
私はこの水戸ホーリーホックに、そんな環境を作っていきたいという思いがあります。
つまり水戸ホーリーホックはアカデミーから選手が次々に輩出されてくる、だけではなく、優れた指導者も次々に輩出されていくるクラブにしていくこと。
そうやって地元から、自分たちのクラブから次々に“人財”が生まれることは、地元の皆さんの愛着心にも繋がりますし、ファンサポーターも増えていくことにつながるはずです。
ランゲニックのようになるんだ、というと大きな話に聞こえてしまっては恐縮ですが、「人が育ち、クラブが育ち、街が育つ」というクラブのミッションはまさにこれに当てはまると思っていますので、私はそんなクラブ作りを目指していきます。
そういう総括的なクラブのビルドアップができれば、水戸ホーリーホックは日本を代表するクラブになるポテンシャルは十分にあります。
地方クラブであり、なおかつ責任企業がいない市民球団として、モデルケースになることはできると本気で思っています。
そう考えるとやってもやってもやり足りないなと、日々の自分の仕事を振り返ると気合が入るわけですが…
ドイツ人タレントが来た
私は自分を1/3くらいドイツ人だと思っています。
事実41年の人生の中で15年半ドイツに暮らしていたわけで、永住権を取るときに日本国籍捨てるならドイツ国籍あげるよ、と言われたわけで。
そんな私にとって、レオナルド・ブローダーセン選手の加入はとても嬉しいニュースでした。
練習生のときに会話をし、ドイツ語が話せるスタッフがいることで非常に嬉しそうにしてくれていたのですが、入団が決まってからもいろいろな会話をしています。
お兄さんが横浜FCでプレーするGKであることもありますが、日本へのリスペクトもあり、学びへの意欲も高いです。
彼のような存在が水戸ホーリーホックに愛着を持ち、このクラブで大きな成長を遂げて飛躍していってくれることを願ってやみません。
まだまだ若い選手ですし、多くを求めてはいけないですが、是非ファンサポーターの皆さんには慣れ親しんでほしいなと思います。
彼がピッチで躍動する日が楽しみです。
さいごに。
今回のタイトルは「ご縁ごと」でしたが、とにかくこの世界にいると、いろんな出会いと別れを繰り返します。
この夏の柏レイソルからの新加入である鵜木郁弥選手とは、2017年にフォルトゥナU18を連れて日本に来たときに対戦していました(鵜木選手は前列左から2番目)。
そしてこの写真の前列右端にいるのは、日独ハーフMFアペルカンプ真大選手(昨年ドイツU21代表に選出)。
現在はフォルトゥナ・デュッセルドルフの主力として、日本代表の田中碧選手と一緒にプレーしているのですが、実は彼はU17日本代表、U18日本代表に選ばれた経験もありまして。
そのときのU18日本代表のコーチが秋葉監督だったということが判明。
やはりご縁を感じます。
もう1人の新加入、安永玲央選手とのご縁は、、、
お父さんの安永聡太郎さんが、2012年に現グランパスの長谷川健太監督と共に、デュッセルドルフまで試合観戦に来てくださったことがあります。
ドイツ杯でボルシア・メルヘンバッハに勝利した試合、超満員のスタジアムをご堪能。
まさにこんな感じで、ドイツに15年以上暮らしていても海を飛び越えて縁ができるもんなのです。
それがこの業界の魅力でもあり、楽しみでもあったりします。
もちろん移籍だけでなく、ホームタウンの方々とのご縁もそうですし、ファンサポーターの方々とのご縁もそう。
自分の人生で世界中の65億人の人とは絶対に会えないし、だからこそ出会った人たちとはご縁を作っていければ良いなと思います。
今はこの水戸ホーリーホックというクラブに関わらせていただいていますし、またこれからクラブにとっても新しいご縁がどんどんできていきそうで。
色々とワクワクすることがたくさんありますので、是非とも皆さん、引き続き水戸ホーリーホックの動向を楽しみにしてください。
8月のホームゲームラッシュ、全勝目指します。
またスタジアムでお会いしましょう。
それでは。
頑張るときはいつも今
瀬田元吾