超効率睡眠法
今回はスタンフォード大学医学部精神科教授、西野精治先生の睡眠のテクニックを中心にさまざまな論文をまとめた内容をわかりやすくお伝えします。西野先生は睡眠学の権威でもあり、書籍も非常にわかりやすく実践しやすい内容です。私も実践して、睡眠の満足度が激増しました。
私は筋トレをきっかけに、睡眠の大切さに気づきました。4年ほど前のことになります。今まで満足に眠っていたと思っていたのに、これらのテクニックを使うと今までの眠りはなんだったのかと思うくらい目覚めは良くなり、日中はエネルギーに溢れるようになりました。西野先生の書籍から学び始め、私の睡眠の知識のベースとなっています。その後いろいろな書籍や論文を読んで試した結果、特に効果を実感している内容を中心にお伝えしていきます。
この記事では、睡眠の質が低下すると引き起こす3つのデメリット、良い睡眠に導くための3つのテクニックとして私が実践してよかったものを中心にまとめました。あなたに快適な睡眠ライフをお届けします。
やっぱり成績に影響があった
まず、私の周囲には勉強熱心な方が多いのでこちらの研究からお話ししていきましょう。
記憶力を高めたり学習効率を高めるために良い睡眠って大事だよねってことはみなさん聞いたことがあるかと思います。
マサチューセッツ工科大学(MIT)が2019年にこんな実験をしています。
大学生88人にアップルウォッチなどのデバイスを装着し、一つの学期期間中の睡眠のデータを収集します。そしてそれらの学生の成績と睡眠との関係を調査したのです。
すると、睡眠の質が良い学生ほど成績が良かったのです。特に長い睡眠・規則的な睡眠、質の高い睡眠であるほど成績が良かったとのこと。
しかも驚くことに、その睡眠習慣は成績の25%も影響していたとのこと。
小学生、中学生の頃は成績表が5段階だった人も多いはず。睡眠習慣が良いだけで、全ての科目で成績がワンランクアップするって…影響力デカすぎませか。
不眠はこんなにも危険
アメリカで1964年に行われた断眠実験について。何時間眠らずに起き続けられるかという実験を専門家の監視のもと行われたそうです。結果、18歳のランディ・ガードナーという少年は、264時間12分(約11日間)という記録となりました。当時この記録はギネスブックに認定されたそうですが、断眠が危険すぎるという理由でそれ以降ギネスブックには載らなくなったそうです。
危険だと判断された理由は、少年の起きている時間が長くなればなるほど認知機能が低下し運動機能も低下。さらに言語不明瞭になり記憶の欠落や幻覚・妄想まで出現したとのこと。
誰でも睡眠不足の状態だと体調が悪かったり頭が働かなかったりと、身体に良くないということは知っていますよね。
この実験ではこれだけ身体にダメージを与えていることがわかったので、やはり睡眠の重要性というのは無視できないですよね。
ちなみにこの実験後、少年は15時間も眠ったそうです。眠った後は普段の様子に回復。後遺症もなかったとのことです。
11日間も起き続けていたのにわずか15時間で回復できるというのも恐るべしですよね。眠りの効用とはいかに、と言ったところですね。
もちろんこれは、15時間眠れば11日間寝なくてもいいでしょってことを言いたいのではありません。睡眠負債といって、日々の積み重ねでも十分なデメリットがあるので順を追って解説していきましょう。
睡眠不足のデメリットその1 脳に悪影響
MITの実験と断眠実験でお話ししたように、脳にダメージがあることは先に述べました。
睡眠時に脳ではどのようなことが起きているのでしょうか。
解明されていることの中で重要なポイントとしては、「グリンパティックシステム」でしょう。
脳は頭蓋骨の中で、脳脊髄液という液体に浮かんでいます。脳は、脳脊髄液を介して栄養を補給したり、老廃物を捨てたりしています。睡眠時には脳脊髄液の入れ替えが頻繁に行われるので、脳のデトックスを行っていると考えらています。
具体的にはアミロイドβという物質が脳に蓄積しないようにされているんですね。このアミロイドβという物質は、認知症の危険因子だとも考えられています。先ほどのランディ少年の睡眠不足の状態とも似ている気がしますね。
実際にマウスを使った実験ではこんなことがわかっています。
アルツハイマー型認知症になりやすい遺伝子を持ったマウスの睡眠を制限させてみた実験です。睡眠を制限させると、アミロイドβが脳内に蓄積されました。このマウスに睡眠剤を与えて眠らせてみると、脳内に蓄積されたアミロイドβの沈着率が下がったのです。
ですから前述のように、睡眠をとることで脳内のデトックスが行われているのですね。
マイクロスリープとは。
十分な睡眠が取れていないと、マイクロスリープという現象が起きてしまいます。マイクロスリープとは、「え、俺いま寝てた!?」とか「一瞬ぼーっとしてた!?」という状態のことです。自分でも気付かないくらいの短時間、脳が眠ってしまうんです。寝不足の日々に経験したことがある人は多いのではないでしょうか。
具体的には、20名の医師を対象に行われた実験があります。
夜勤のある科の医師(夜勤明けの勤務時間)と夜勤のない科の医師(普通の勤務時間)を対象に画像に合わせてボタンを押すという簡単な作業を行わせました。タブレット画面に丸い画像が約90回ランダムに出現するもので、丸い画像が出たらボタンを押すという作業です。トータルで5分ほど。
非常に簡単な作業です。だからこそ眠くなっちゃいそうですが(笑)
結果は、夜勤なしの医師はミスなく正確に反応できました。
しかし、夜勤ありの医師は平均3〜4回反応できませんでした。
簡単な課題であるにも関わらず、ボタンを押すことが出来なかった間、本人も気付かないうちに眠ってしまっていたのです。
重要なのは画像に気付けないということだけではなくて、もしこれが運転中や重要な会議や話し合いの途中だったとしたら…?ということです。
重要な判断を要する場面で間違った判断になりかねない。
交通事故を引き起こせば命に関わる。
ほんの一瞬の出来事が人生を左右する、なんてことは誰にでも起こり得ます。
これが睡眠の質の低下の怖さの一つです。
睡眠不足の悪影響その2 身体に悪影響
次に、睡眠の質が低下すると身体に悪影響があるということについて説明していきます。
睡眠の目的の一つとして身体の休息がありますから、身体にダメージがあることはみなさんも経験上ご存知のことと思います。
ところが、疲れが取れないどころではなく体型にも悪影響を及ぼすことがわかっているのです。
ちゃんと寝ないと太っちゃう
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