祈る
彼が癌になったと
知り合いから連絡があった
もう何年も前に知り合った
優しい笑顔の人
奥様といつも
グレーのピンシャーを散歩させて
溌剌とした声をしていたのに
あの時のピンシャーを連れて現れた彼は
すっかり痩せてたけど
笑顔と声はそのままで
私たちは昔を懐かしんで
何時間も思い出話をした
奥様はすでに亡くなっていた。
ピンシャーは白内障になって
膝から下ろすと
テーブルや椅子に体をぶつけながら
歩いた。
ビールをガブガブ飲みながら
朗らかに笑う彼を見て
私は体調が心配でヒヤヒヤしてたけど
きっと体の事は本人が1番分かってるだろうと
そのまま黙って話を聞いた。
そんな彼から
ピンシャーが亡くなったと連絡があった。
これからお寺に納骨に行く、と。
安らかでありますように。
ご自愛ください。
ありがとう。
今日はロングダウンを出そうと思ってます。
私は彼のことが
少し好きだったんだと
思い出した。