「お知らせをつくってみたけど、分かりにくいかも…?」情報の仕分け+デザインで解決!「お知らせ」の作り方
日常の中で、意外と出くわす「誰かに読んでもらうプリントをつくる」という場面。
皆さんはどのように乗り越えていますか?
もちろん、「お知らせをつくるの好き!」という方も中にはいらっしゃると思いますが、「お知らせづくり苦手だなぁ…」と感じる方はきっと多いはず。
時間がかかるわりに効果が見えなかったり、結局言いたいことが伝わっていなかったり…そんな経験があると、お知らせづくりはどうしても面倒に感じてしまうものです。
そう、皆さんお気付きのとおり、読んでほしい文章ほど読まれないものなんです…。悲しい…!
よほど文章を読むのが好きな人以外は、基本的に読むことを嫌います。
…なに当たり前のこと言ってんの?と思うかもしれませんが、受け手側から作り手側になったときには案外忘れてしまっていて、「んもー、ここに書いてあるのに!」となってしまいがちなんです。(もちろん私も経験したことがあります…笑)
私たちデザイナーは、「どうやったら気付いてもらえるか」「読ませたい部分をどうやって読ませるか」という熱い戦いを日々繰り広げているのです…!!
そこから得られた結論は、デザインの大半は「情報の仕分け作業」であるということ。
パソコン(Word、Excel、PowerPointなど)でつくるときも、手書きでつくるときも、紙でもSNSでも、この作業をしておくことでゴールまでの道筋が見えるようになります!
今回は、「情報の仕分け作業」をしてから「情報にデザインを加える」ことで、分かりやすい「お知らせ」をつくる方法をお伝えします。
載せたい情報を全て書き出す
まずは、「お知らせ」に載せたい情報を全部書き出してみましょう。
今回は例として、「ゴミの収集日が変更されることのお知らせ」をつくってみたいと思います。
【お知らせに載せること】
タイトル(ゴミ収集日の変更について)
お知らせを配布する日付
誰宛のお知らせなのか
いつから変更になるか
変更の内容
問い合わせ先
ざっくりと、こんな感じでしょうか。
次は、この情報に、優先順位をつけていきます。
情報の優先順位を決める
情報の書き出しが終わったら、優先順位を決めます。
大切なのは、「作り手が読ませたい」かつ「受け手が欲しい」、両方がマッチした情報の優先順位を上げること。
「作り手側が読んでほしいこと」と「受け手側が読みたいこと・欲しい情報」がいつも同じとは限りません。
ここにミスマッチが起きると、情報がうまく伝わらず、せっかくつくったお知らせの効果が半減してしまいます。
作り手自身が「情報を受け取る立場」だったら、どんな情報が欲しいのかもしっかり考慮に入れて、優先順位を決めましょう。
【情報の優先順位(昇順)】
タイトル(ゴミ収集日の変更について)
いつから変更になるか/変更の内容
問い合わせ先
お知らせを配布する日付/誰宛のお知らせなのか
このように優先順位を決めてみました。
「1.タイトル」はお知らせの概要、「2.いつから変更になるか/変更の内容」は詳細な内容、「3.問い合わせ先」は不明点を問い合わせる場所、「4.お知らせを配布する日付/誰宛のお知らせなのか」は内容に大きく関りがない部分、という分け方です。
ちなみに、「4.誰宛のお知らせなのか」については、「ゴミ収集日の変更について」というお知らせの性質上、変更される地域にのみ配布すると考えて、優先順位を低く設定しました。
これを元に、一旦Wordで作ってみたお知らせがこちらです。
よく見るタイプの、「ちょっと分かりにくいお知らせ」になってしまいました…。
「情報の仕分け作業をしたら、分かりやすいお知らせがつくれるんじゃなかったの!?」という声が聞こえてきそうな仕上がり…。
いえいえ、安心してください。ここで終わりではありません!
これを分かりやすくするために、「デザイン」を加えていきます!
デザインの工夫で分かりやすく
先ほどの情報に、デザインを加えてみるとこうなります。
いかがでしょう。最初のお知らせと比べてみると、かなり分かりやすくなったのではないかと思います。
ふたつを並べてるとこんな感じです。
制作条件を同じにするため、どちらもWordでつくり、フォントは身近なMSゴシックを使用しています。
画像をクリックすると大きく表示されますので、まずはふたつをじっくり見比べてみてください。
こんなふうに、いろんなお知らせを見て「どこが分かりにくかったのか」「どうすれば分かりやすくなるのか」を考えることで、情報の仕分け作業はどんどん早く、上手になっていきます!
分かりにくいものはどう改善できるのか、分かりやすいものはなぜ分かりやすいのか、ぜひ身の回りの情報をじっくり観察してみてくださいね。
さて、それではひとつひとつ解説していきましょう。
上の画像を、A~Dで解説していきます。
A 文字の大きさと色を変える
チラシやポスターなどでよく使われている表現方法で、日付を表すときに「年・月・日」などの漢字を、数字よりも小さいポイント数で表すものがあります。こうすることで、重要な数字の部分に自然と意識が向きやすくなり、しかも読みやすくなります。
また、大切な部分の文字は、大きいポイント数や太い字で表すことで強調することができ、「この情報の中で何が大切なのか」を一目見て分かりやすくする効果があります。
これと併せて、文字の色や装飾を変えることで、一層強調することができるので、今回は最重要だと考えられる「変更」の部分を「大きなポイント+太字+目立つ色」で表現しました。
それから、タイトルの文言も少し柔らかい表現に変更しました。時と場合によりますが、読み手に寄り添った表現をすることで、読み手の心理的な負担を減らすことができます。
B 表を使う
今回の例「ゴミ収集日の変更について」の場合、変更内容を文字だけで表すよりも、表を使った方が断然見やすくなりますよね。どのデザイン技法もそうですが、あまり多用すると、かえって見づらくなる場合もあるので、伝えたい情報に合った場面で活用すると効果的です。
デザインを加える前のお知らせには、収集日の変更前と変更後の両方が書かれていましたが、これから必要になるのはむしろ変更後のみだと思ったので、思い切って変更前の情報は削りました。優先順位が低いと感じられる情報は、思い切って削ってしまうことも、案外大切なポイントです。
「表」というとExcelを一番に思い浮かべるかもしれませんが、Wordにももちろん表を作る機能があります。
詳しくは割愛しますが、「挿入」タブの中に「表」という項目がありますので、そこから必要な行・列の表を作成できます。
C 図やイラストを入れる
文字だけの情報よりも、やっぱり図やイラストが入ることで格段に分かりやすくなります。文字に対する嫌悪感(というと言いすぎかもしれませんが…)を少し和らげるという効果もありますし、やっぱり「一目見て分かりやすい」というのも図やイラストの実力です。
今回使用したイラストは、イラストセンターという素材サイトのイラストです。利用規約を守れば誰でも使える素材サイトなので、イラスト探しに困っている方の強い味方になってくれるはずですよ!
他にも、いらすとやという素材サイトも、イラスト素材の数が膨大にある、フリー素材の先駆者的サイトですのでおすすめです。いらすとやの素材はテレビをはじめあちこちで使われているので(公式LINEスタンプもあるんですよ)、皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
このふたつのサイトにある素材は「透過素材」といって、イラストの背景が透明になっているので、とても使いやすいと思います。
【参考】
・イラストセンター
https://illustcenter.com/
・いらすとや
https://www.irasutoya.com/
D 全体の色を整える
今回は、黄を中心に、文章は茶、アクセントにオレンジを使ってまとめてみました。色を使うときは、同系色でまとめたり、使う色を絞って取り入れるのがコツです。いろんな色をたくさんを散りばめて使ってしまうと、バラつきが生まれて、情報がとても見づらくなってしまうので要注意。
配色は奥が深く難しい部分もありますが、色を使うと表現の幅がぐっと広がります。配色に関する本もいろいろあるので、気になる方はぜひ一度ご覧になってみてください!
番外編1 モノクロの場合
カラー印刷ができない場面を想定して、モノクロのものもつくってみました。
カラーにできない場合でも、黒の濃淡でいろんな表現ができます。
強調したい文字は白抜きにしたり、輪郭や影を付けたり、下線を使ったり、いろんな方法を試してみましょう。
いかがでしょう。強調したい部分は太く、そうでない部分は細く表現できています。
「もともとパソコンに入ってるゴシック体のフォントでは、MSゴシックが一番太いから仕方なく使っているんです…」という方もいらっしゃると思いますが、源真ゴシックはそんなお悩みを解消してくれるフォントですので、気になった方は使ってみてくださいね。
【参考】
・源真ゴシック (げんしんゴシック) | 自家製フォント工房
http://jikasei.me/font/genshin/
・「源真ゴシック」「源ノ角ゴシック(Source Han Sans)」をオフィスソフト向け最適化したフォント - 窓の杜
https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/genshin_gt/
まとめ
今回は架空のお知らせ「ゴミ収集日の変更について」を例に、分かりやすいお知らせのつくり方をご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。
いろいろと書いてきましたが、一番大切なのは「そのことを知らない人でも分かるように伝えよう!」という気持ちです。その事柄を知っている人が読んで分かるのは、当たり前のこと。全く知らない人に理解してもらうためには、どうやったら伝わるか、どうやったら分かりやすいか、相手のことを考えて書くのが一番のコツかもしれません。そういう意味では、手紙と同じようなものですね。
皆さんのお知らせづくりが、少しでもやりやすく、楽しくなることを願っています!
徳島県吉野川市のデザイン事務所 きらきら工房
モノがあふれるこの時代、「らしさ」を後押しできるのは「デザイン」かもしれません。
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