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思い出日記5 定期券をスラレて

20代半ばに定期券をスラレたことがありました。通勤定期券です。
まだ「スイカ」や「パスモ」のない時代、駅の窓口に行って印刷された定期券を購入していた頃です。
名刺サイズのカード類数枚といっしょに、パスケースに入れて持ち歩いていましたが、紛失して困っていた時です。警察の方から勤務先に電話がありました。

スリの常習犯が…

警察の方に「スリの常習犯があなたの定期券を持っていた」と言われたのです。
腹立たしいことに、定期券以外はゴミ箱に捨てたとのこと。
重要とはいいませんが、気に入ってパスケースに入れていたものもあったし、パスケース自体もお気に入りでした。
がっかりしている私に追い打ちをかけるように、
「常習犯の裁判の証拠品となるので、定期券は返せない」
と言うではありませんか。
まだまだ日にちが残っている定期券でした。
定期券が見つかったというのに返してもらえず、通勤の交通費を払わなくてはならないなんて理不尽だと思いました。

救済措置はないの?

証拠品として役立つのは結構なことなのですが、例えば、定期の代替品みたいなものを発行してもらえるとか、何か救済措置はないのかと思い、警察の相談窓口的なところを調べて電話をかけました。
電話に出た人はそう若くはないといった印象の男性。
「定期券は返せません、定期券を預かる代わりの救済措置もありません、市民には協力する義務があります」
などなど、まったく相談に乗るという感じではありませんでした。
「定期券には期限があって、切れてから返してもらっても意味がない、市民が困っているのに助けてくれないんですか」
と私は食い下がりました。
すると、

「おまえ、初めてじゃないだろう!」

と突如逆切れ?!
瞬時には意味がわからず
「スラレたの初めてですけど」
と思ったのですが、はっと気づきました。
その窓口の人は、私の食い下がる行為が「初めてじゃない」と。
今で言うクレーマー、何とかハラ的な、そう言っているのだなと。
あきれて
「初めてに決まってるじゃないですか。もういいです。絶対に協力しませんから」
と言い放ち、電話を切りました。

その後、私の定期券のある都内某警察署に出向き、担当の刑事さん2人に事情を話すと、
「ひどいこと言われたね」
となぜかとても優しく(見かけとは裏腹に)、
すぐに定期券を返してくれました。

これは私の憶測ですが、相談窓口の人は元刑事さんなのかもしれませんね。そうでなければ
「おまえ、初めてじゃないだろう」
なんて、なかなか言えないと思いませんか?

以上、定期券をスラレた思い出話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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