コンサルティングの基本的な流れ
まえおき
「ウチを診断して業務効率化や業績向上のプラン作りを支援してほしい」
コンサルティングの入り口として、こういったご相談であることを前提とさせていただきます。
正直に言えば、相談されるお客様のほとんどは現場や経営の課題感をお持ちのお客様が多いです。
その個別のお悩みを切り口にして、話を深堀していったり広げていったりすることが実際には多いです。
しかしながら、虎の巻をまとめるに当たって、入り口を標準化しろと言われればこうなります。
あくまでもこの前提を念頭に置いていただき、読み進めていただけるとありがたいです。
大枠のコンサルティングの流れ
私の場合、コンサルティングは大枠で以下のような流れになっています。
事前無償相談(一部有償)
有償診断
事前インタビュー
資料・情報収集
問題仮説・不明点洗い出し
確認・検証
問題明確化・課題形成
解決策立案・計画策定
1つずつ、どういうプロセスなのか見ていきましょう。
事前無償相談(一部有償)
まず、無料なのに一部有償であるというところから解説します。
お客様と初めて接するときの形としては、紹介やウェブサイトからの問い合わせ、登録しているマッチングサイトのようなところからの相談などがあります。
有償になる場合とは、完全にこちらの都合で恐縮なのですが、わざわざその相談のために時間を取ったりする場合です。
以下は、有償相談になるパターンです。
この例ではウェブサイトですが、直接ご紹介いただいたパターンでも、別途現場にお伺いするようなことが必要であれば、有償での対応とさせていただいています。
次は、無償相談になるパターンです。
たまたまその場で具体的な話になり、一般的なお話をする場面です。
こういった場合には無償の相談となります。
従って、たまたまお話ししただけなのに、
「ここからは有償になります!」
のような対応は致しません。
現場に伺ったりすることなく、たまたまお話ししているだけであって、それもあくまで一般論なのであれば、無償でも良いと考えています。
入り口が無償なのか有償なのかはさておき、お客様のことを少しでも知るための段階が、この事前相談のフェーズです。
有償診断
1. 事前インタビュー
さて、無償のフェーズである程度お客さまがどんなことでお困りで、私がどんな人間であるかがある程度わかったところで、いよいよ有償のコンサルティングサービスに入ります。
コンサルティングサービスと言っても、あくまでも最初は現状の診断になります。
この有償相談の一旦のゴールは、問題認識を共有し、課題を明確化して、その課題解決策と課題解決プロセスの提案をすることにあります。
これもある意味では前提事項となりますので、頭に入れておいてください。
中には、解決方法の提示だけでなく、
「これをやれば解決!」
「これですぐに問題解決!」
という即効性のあるものを期待される方がいますが、そんな魔法のような方法はありません。
そんな即効性がある魔法があるのであれば私が知りたいくらいです。
それに、お客様は普段から四六時中自社のことを考えてるのに、いきなり外部から来た人が課題をスパッと解決できるなんておかしくないですか?
と、いうわけで、あくまでも診断段階のコンサルティングでは、納得して取り組むことができる課題解決プランの提示をゴールとしています。
さて、事前の相談のフェーズである程度お困りごとが分かったとしても、問題の本質や原因の根源についてはそれだけでは分からないことがほとんどです。
上記の診断コンサルティングのゴールの認識合わせや、問題意識があるポイントや過去の取り組みなど、コンサルティングのスコープを絞っていくのがこの事前インタビューです。
この段階では、以下のことに気を付けています。
決裁者が何を求めていて、どんな姿を理想としていて、どんな視点でムダを感じているのか。
それまでの無償のサービスやコミュニケーションで見えてきた課題感や、コンサルティングに興味を持ってもらった理由などをすり合わせます。
必ず決裁者(決定権者)と打ち合わせをします。
これはコンサルあるあるなのですが、決裁権を持つ役職の部下の方と進めると、
「上司の確認を取りますので少し時間をください」
となってなかなか進まなかったりしますし、ひどいときには、
「もう一度上司の時間を取りますので、そこで同じ説明をお願いします」
なんて言われてしまいます。
これでは良質なコンサルティングサービスであったとしても、サービス価値が半減どころか激減してしまいます。
スコープをきちんと決めることもとても重要です。
限られた時間の中では、前者を網羅的に調査することはできません。
モデル製品やモデルラインなど、スコープを絞って調査をします。
その会社の代表的な製品や、今後の主力になっていくであろう職場など、比較的大きなウエイトを占める場所が良いですね。
2. 資料収集、3. 問題仮説・不明点リストアップ、4. 確認・検証
この段階でいよいよ現場に入っていきます。
このプロセスには最も時間をかけて、しっかりと問題を明確化させ、課題解決の糸口を見つけます。
この段階では、正直、仮説と検証の繰り返しです。
提供していただいた資料を見て、どんな問題がありそうかを推測し、それをインタビューで確認し、さらに、過去にはどんな取り組みをしてきたのか、今まさにやっている取り組みは何か、などをヒヤリングしていきます。
収集する資料は以下のようなものです。
現場で記録(入力)している帳票類
作業日報
機械日報
不良/保留発生記録
巡回記録
etc…
現場の情報を元にアウトプットしている資料
作業工数集計
不良対策書
KPIに関する現場の掲示物
定例会での報告資料
etc…
これらの資料を見ることで、どんな情報を扱っていて、どんな集計作業がどんな方法でされているのか、おおよそ見分けることができます。
そして、以下の2つのおおよそのフローを描きます。
業務フロー
データフロー
このフローに沿って、どのフローの部分にムダやボトルネックがあるのかを客観的に分かるように可視化していきます。
例えば、手待ちになるフローや、人に依存したフローがそれに相当することが多いです。
ムダやボトルネックが見えてきたら、ここで初めて問題の大きさを定量化していきます。
定量化された数値が最も説得力があるのですが、全てを定量化していたのでは到底時間が足りません。
きちんと問題の焦点を定めてから、問題を定量化し、労力を最小限にします。
もしくは、お客様にその問題の大きさの調査をお願いします。
例えば、
「このデータを収集のために何人の人がそれぞれどのくらい時間がかかっているか分かりますか?」
「また、集計作業の頻度と各集計での所要時間はどのくらいかを担当の方にヒヤリングしていただいて良いですか?」
「それらを年間のMH(マンアワー)に換算するとどのくらいか算出しておいてください」
のような依頼をします。
きちんと管理ができている現場であれば、多かれ少なかれ答えは1週間もすれば返ってきます。
なかなか返答が返ってこないということは、そもそも管理できていないほど無意識にムダが発生しているという、より良くない状況であることを説明します。
ちなみに、この段階で、さまざまなアドバイスを求められることもありますし、過去の経験から解決方法が比較的容易に見えそうなときもあります。
しかしながら、私はこの段階ではその解決策を提案しないことにしています。
「一般的にはこれこれこう言われていますけど、そうした取組はされたことがありますか?」
というような柔らかい回答にするか、
「そうですねぇ。。難しいですねぇ。。」
といってはぐらかしてしまうこともしばしばです。
やはり全体をしっかり把握しないと問題の本質を捉えていないかもしれませんし、お客様がそれまでにもきちんと考えてきたことであるので、安易に答えると的を外してしまう可能性が高いからです。
ちなみにのちなみに、現場の調査をしていると、事前インタビューで決裁者が感じていた課題感とズレていることに気が付くことも往々にしてあります。
「部長は全然現場知らないからなぁ」
なんて管理者に対して文句がある現場も少なくありません。
こうした場合にも、この段階ではどちらの立場も尊重しながら全てを受け入れる姿勢でヒヤリングを行っています。
管理者が言っていたからといって、現場の考え方を頭ごなしにしてしまっては、後々、現場の協力を得られないこともあります。
5. 問題明確化・課題形成、6. 解決策立案・計画策定
この段階は、最後の仕上げともいえる作業です。
それまでの調査で明確にしてきた問題や課題、課題を解決するための方法とその計画をまとめます。
明確化する問題の視点は、以下のようなものが多いです。
経営目標と現場目標のギャップ
全社方針と現場のギャップ
業務フロー/データフローのボトルネック
きちんと“理想”を意識した問題提起を心掛けていることと、ロスに関しては定量化したデータを示すとともに、そのデータの出所を示します。
また、
「問題は○○です。例えば、現場ではこういうことが行われています。」
というように、まとめあげるための抽象化した表現とともに、現場の具体例を示します。
また、現場で課題を探して挙げようと思えばキリがないのですが、ごちゃごちゃした問題をスッキリ3点くらいにまとめるのが良いです。
ここでは、優先順位、つまり、解決するべき問題の順番をはっきりさせてあげると良いでしょう。
私の場合は、出血と止めるのが最優先、将来構想的な課題は2番目以降にしています。
また、管理責任者の方が感じている課題がそのまま当てはまるのであれば、その課題を優先順位高く報告することも多いです。
現場調査で確認するポイント
それでは、ここからはわたしが現場で何を見ているのか、3つのポイントを紹介します。
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