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石のぶつかる音で甦った30年前の記憶

ある日
エジプトからやってきた
天然石に出逢った。

店頭に並べられたばかりだという
その石たちに触れながら
模様を眺めていると

コツンコツンと
石のぶつかり合う音とともに
心の奥がくすぐったくなるような
懐かしい感覚が甦ってきた。

あ・・・そういえば
子どもの頃から石が好きだったな。

キラキラしたおはじきとか
河原で見つけた丸っこい石とか
宝石の形をしたビーズとか
ぷくぷくしたシールとか

とにかくお気に入りを見つけて
並べるのが好きだったな・・・。

と、無意識に
その石たちを並べながら
子ども時代の記憶を思い返していた。

その日の夜は
選りすぐりの3つの石たちと共に

真夜中の3時まで
ベットでひとり石遊びをしながら
なかなか寝付けなかった。

その数日後
口からポロリと言葉が出てきた。
「わたし、宝石のバイヤーになる。」

もともと
海外を転々と暮らすイメージだけは
あったものの、

何をしながら暮らすのかが
明確になっていなかった。
それが突然、彩りを帯びてきた。

そう。
世界を旅する宝石商になろうと
決めた瞬間だった。



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