人を愛する
人はなぜ人が亡くなったその時にはじめて、その人のことを愛し、敬うのでしょうか。その言葉を、その気持を、なぜ生きているときに伝えられなかったのでしょうか。そのことを生前に聞いていたら、その人はもっと幸せだったかもしれません。
いえわかっています。
みんな毎日を一生懸命生きています。自分が一番かわいいんです。私だってもちろんそう。考えることは自分のことばかり。
他人のことは二の次です。
だからよっぽどのことがない限り、日常の中では他人のことなんて真剣に考えられないのだと思います。
そしてそのよっぽどのことが「死」だったりするのでしょう。生きているときにその言葉や気持ちを伝えられなかった、、というよりは、それまでは真剣に考えたことがなかったから、気づいていなかったのでしょう。
人が亡くなると、その人との想い出やエピソードなど、たくさんの人がその人に思いを馳せて語りますよね。そして改めて気づくんです。その人の尊さに。
その人を偲ぶ、という意味ではとても素晴らしいし美しいことだとも思うけれど、できることなら、やっぱり生きているときにその人の尊さに気づきたいとも思います。
簡単なことではないけれど、それを少し意識するだけで、聖人にはなれなくとも、もう少し私は優しい人間になれると思うのです。
そして、何を言ったところで、もう亡くなった人は戻っては来てくれないけれど、せめて、せめて、これらあなたを愛する言葉や気持ちが天国のあなたのもとに届いていればいいな、とも思うのです。