スイス・ドイツ漫遊記 6日目 ノイシュバンシュタイン城~ローテンブルグ
旅も残すところあと2日。ようやくドイツ観光です。ドイツ旅行に来たはずなのに大半をスイスで過ごしてしまいました。まあ、いろいろ経験できたから良いんですけど。昨日239㎞走ってフュッセンまで来たおかげで、ノイシュバンシュタイン城まではあと4㎞。なのに、なぜか本日も7時からの朝食で、8時には出発です。今日からバスが変わりました。ボルボのやはり大型観光バス。経費的には大丈夫なのかしらん。バスはしばらく市街地を走り、その後どんどん森の中へと進んでいきます。
鬱蒼とした木々に挟まれた道を進むこと数分、突然視界が開けます。急に道路が広くなったかと思うと、左手の遠い崖の上にいきなりノイシュバンシュタイン城が出現しました。まだかなり遠くてサイズ的には小さいもののその存在感は立派です。
そして、道路の右側には土産物屋・チケット売り場・巨大な駐車場がズラッと並んでいます。驚くべきことに、まだ9時前だというのに駐車場は車で溢れています。さすが、超観光地のノイシュバンシュタイン城。
車窓からみたチケット売り場には行列ができていたので、添乗員のK藤さんは途中でバスを降りてチケット売り場に猛ダッシュ。残った我々は奥まったところにあるバス専用駐車場まで連れて行かれ、下車後駐車場入り口へと戻ります。駐車場をのんびり歩いていると、チケット売り場の方角からK藤さんが急いで!急いで!と呼んでいます。すわ何事かと思い、急いで集合すると、城の麓まで行ってくれるバスが大変混んでいて、これに乗れなければ急坂の山道を60分登ることになるとのこと。慌てて皆でバス停までダッシュ。
何とかバスに乗り込むことに成功。地下鉄御堂筋線並の人口密度で移動すること10分、城の麓の停留所に到着しました。城の麓と言いながら城は影も形も見えません。なんでもこの先のマリオン橋というところから城を眺めるのだそうな。バス停から坂道を歩くこと数分、マリオン橋が見えてきました。
ギュウギュウのバスの人たちがそのまま移動しているわけなので橋の上もギュウギュウです。人をかき分け橋から左を見ると、おお、雲海を従えてノイシュバンシュタイン城が見えるじゃあありませんか。結構な崖の上にあるこの城はディズニーのシンデレラ城のモデルだそうです。白い壁に青い屋根、そそり立つ尖塔などはまさにシンデレラ城です。でも、どうやって建てたのだろう、トラックや重機もないのに。
見事な景色を網膜とスマホに焼き付けたら、今度は城の入り口を目指します。城が建つ崖をぐるっと大回りして城の正面に廻ります。正面に来てみると、あれあれ? 知っているノイシュバンシュタイン城じゃあない。眺める方向によってかなり趣が変わる城でした。
城の外観にもいささか飽きてきたので、城の中に入りたいのですが、完全予約制のためあと1時間待たないといけないと。時間に余裕があるのだか無いのだか。ひたすら待つこと1時間、ようやく中に入れました。城の中は写真撮影禁止です。1グループに1人の案内役が付いて30-40分程度のツアーです。城の蘊蓄は、るるぶやマップルに詳述されているのでここでは割愛。ツアーが終わると狭くてごった返す土産物コーナーを経て裏口から放り出されます。
放り出されたら、まだ11時半なのにもう昼食です。城を出て山を数分下ったところにあるSchloßwirtschatというレストラン。今度こそソーセージかなと思っていたら、まさかの巨大なラビオリ。そして中身はどうみても餃子の具。一口食べるともそもそとした触感で口中の水分がすべて奪われます。酢醤油を持てー! と叫びたくなります。しかし酢醤油などドイツで来るわけもなく、1口2口食べてごめんなさいでした。
昼食後、急坂を降りて駐車場へ。馬車で降りるという選択肢もあったのですが、馬車乗り場は大行列だったのでもちろん歩きです。途中、上りの馬車とすれ違いましたが、馬車からは明らかなモーター音が。馬も働き方改革なのでしょうか、ハイブリッドでした。
バスに乗って次に向かうはヴィース教会。寡聞にして存じ上げませんでしたが、世界遺産であると。鞭うたれるキリストの木像をもらい受けたマリアという農婦が祈りをささげたところ、その木像が涙を流したということから巡礼者が増え、果てに教会ができたという、あまりにもよくできたしかしながら信者的にはもう信じるしかないような有難い逸話が残っている教会です。
結婚式は教会で行い法事は寺で行うという、外国では考えられないような信仰心の薄い日本人にとっては、その逸話の真偽はともかく、教会の装飾の麗美さは圧巻でした。篤き信仰心のなせる業に感服します。とはいえ我らは明らかに部外者。祈りを捧げる信者さんの邪魔にならないように現場検証の写真を撮ったらさっさと退散です。
帰り際、添乗員のK藤さんが教会の向かい側にある店を指さして、ここの揚げパンが美味しいのよと喧伝していましたが、もちろんそんなものを購入する時間はありません。生涯使うことはないであろう情報を仕入れてそのままバスに乗り込みます。
バスに乗ると、これからローテンブルグまでは258kmですと神戸から名古屋までの距離をK藤さんが告げます。レジメには書かれていたものの、連日200㎞越えの移動にいささかげんなりしてきました。
2車線の単調なアウトバーンをひた走り、ロマンティック街道と言われる田舎道を走ること4時間、ようやくローテンブルグに到着です。観光地として有名なローテンブルグはいわゆる旧市街地。その周りには近代的な建物が林立し、電車も走っていれば病院や学校もある極めて一般的な普通の都市です。旧市街地が観光用として保存されている様で、今宵の宿はこの旧市街地。宿の場所はと言いますと、るるぶ等々の雑誌に必ず乗っている、プレーンラインと呼ばれる三差路にありました。やるやん、阪急トラピックス。
しかしながら宿についてみると、これが年季の入った小部屋。そして、ドアはなんと鍵付きの二重ドア。どんだけ治安悪いねん。
部屋に荷物を置いて階下に降りると、添乗員K藤さんから衝撃の一言が発せられます。「今晩は、これからフリーです。晩御飯も各自でご自由に。でも、この辺の店は8時には閉まるので急いでくださいね」と。待て待て、ご自由にと言われてももう6時。確かに工程表には夕食は各自でどうぞとは書かれていたものの、薄暮迫るこんな時間にドイツの片田舎で本当にメシなしで放り出されるとは思ってもいませんでした。救済策なのでしょうか、ご希望の人は私と一緒に夕食可能ですよとK藤さん。一瞬K藤さんツアーに残ることも考えましたが、この機会を逃してはお土産を買う時間は恐らくナッシング。安定した夕食を捨てて買い出しに出かけました。
スーパーで土地のお菓子を買おうと思い、K藤さんにスーパーの場所を聞いたものの旧市街地には無いですよとつれない返事。仕方がないので、旧市街地の外に出てみます。ローテンブルグ旧市街地は城壁に囲まれており、その出入りは数か所の門のみ。バスが入ってきた道を逆にたどり、横道に門があったのでそこから脱出です。知らずに門を潜っていたのですが、ここはローテンブルグでも一番有名なレーダー門だったようで、写真を撮っていて良かった一枚です。
旧市街地から抜け出して近代的な街に出ます。帰り道がわからなくなると困るので、曲がり角をスマホで写真に撮りながら進みます。ヘンゼルとグレーテルの様にパンくずを落としながら歩きたいくらいです。旧市街地を出てから歩くこと10分、近代的なスーパーを発見。しかしカード決済の表示を見るまでは喜べません。なんといっても手持ちのカードは採用率低めのAMEXとヨーロッパでは安定して全滅のJCB。薄暮のスーパー入り口を凝視すると、タッチ決済限定でAMEX可でした。JCBは影も形もありません。ガンバレJCB!
店内は地元のドイツ人オンリー。日本人はおろか東洋人も見かけません。完全アウェイのスーパーでドイツビールとドイツワイン、そして何故かドイツが本社だと勘違いしてプリングルスのチップスを大量に買い込んでレジに並びます。
あちらのレジは雑です。コストコの様にベルトコンベア式のレジ台に品物を並べて置くのですが、レジ台にどっかと座った貫禄あるおばちゃんがバーコードをスキャンするとポイポイ商品を後ろに投げ、客が慌ててそれを回収して袋に入れるシステム。それは、明らかに異国人の私に対しても同様で、容赦なくポイポイ商品を流していきます。商品を回収してお会計。地雷処理班の様に緊張しながらタッチ決済を済ませると、強面だったおばちゃんが「良い旅を」的にニヤッと笑って手を振ってくれました。スーパーLIDL、良い店です。
宿に戻って買い込んだ荷物を下すと、さあ夕食です。もう7時半。急いで食事処を探さないと、飛行機でもらったナッツとチョコバーが本日の夕餉になります。スマホで店を探そうにも電波状態が悪くて役に立ちません。仕方がないのでメインストリートと思しき道をぶらぶらします。英語の書いてある店を発見しましたが、よく見るとメキシコ料理。ドイツでメキシカンはいただけないのでスルー。開いている店が少なくなり、チョコバーが脳裏をよぎったときに見つけました。今宵の夕餉所、「Zum Schwan」
入り口の黒板には、たどたどしい文字で、日本語メニューありますと書かれています。怪しさ満点ですが、店頭の英語メニューをみると割と普通の店っぽい。ポケットには50€入っているのでカードが使えなくても何とかなると判断し、思い切って入店。すると、店内にはK藤さんとツアー客2名がいるじゃあないの。なんという偶然。
K藤さんたちと入れ替わるように店内に入り、日本語メニューを見てみると、ん?全然わからん。日本語なのに意味が解らない。メニューの大半が、ドイツ語をカタカナ表記にして書いてあるだけのものなので、何をどうした料理なのかよく解りません。なので英語メニューをもらいます。ドイツと言えばソーセージとハンバーグとシュニッツェル。明日は、ミュンヘンに行くのだけれども、万が一食べられなかった時の保険でソーセージにしました。
やっと会えた本場のソーセージ。そしてこのソーセージが絶品でした。表面にしっかり焦げ目のついた大きなソーセージは、程よいスパイス香と肉を食べていると実感できる粗挽き具合。本場ドイツで食べていることを差し引いてもかなり美味です。そもそものこの旅行の発端となった、長浜での「これ、ドイツで食べたらすごくおいしいのかも」は正解でした。これで伏線は回収。
美味しいビールとソーセージに気をよくして店を出ると、あたりは真っ暗で人通りはまばらです。でも、道路に面した小物店の大きなショーウインドウは異国情緒漂う可愛いディプレイで溢れていました。
翌朝、昨日の晩はどうしましたかと同じツアーの2人組に聞いてみると、「部屋でペヤング食べてた」と。どうせドイツ語も分からんし、変な店行ってボラれるくらいならペヤングでOKと。これもある意味正解かなと思いました。
明日は事実上の最終日。ネルトリンゲン経由でミュンヘンです。
聞いたことあります?ネルトリンゲン。世界的に有名なアニメの聖地でした。