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スイス・ドイツ漫遊記 7日目 ネルトリンゲン~ミュンヘン(最終回)

 この旅も7日目になりました。明日の朝は帰国するだけなので、実質の最終日です。本日はローテンブルクからネルトリンゲンに行って、そのあとミュンヘンまで行きます。今回は最終日も含めて2日分。少し長いですよ。
 本日の出発は珍しく10時すぎ。しかし、7時朝食が体に染みついているので自動的に7時には朝食会場に出現。同じツアーの人たちも同様に7時に集合しています。習慣とは恐ろしい。朝食会場はほぼ我々の貸し切りでした。ドイツなのにソーセージは少なめでなんと卵だらけ。久々にゆっくり朝食を摂り優雅にコーヒーを飲んでいたら、ちらほらと他の宿泊客がやってきました。

卵だらけ 卵には落書きも

 さて、10時まで何をしようかと思っていたところ、良かったら8時半から街ブラしますのでご一緒しますか?と添乗員のK藤さん。全員でそれに付いていくことになりました。8時半のローテンブルクは人っ子一人歩いていません。

ローテンブルグの目ぬき通り
木組みの家が美しい
ソーセージ屋さん 閉まっています

 それもそのはず、このあたりの店はどこを見ても10時開店と書いてあります。市庁舎のあるマルクト広場も貸し切りです。

普段は観光客でいっぱいのマルクト広場
そして市庁舎

 その市庁舎の近くにクリスマスオーナメントで有名なKäthe Wohlfahrt(ケーテ・ウォルハルト)があります。入口には大きなくるみ割り人形が鎮座していました。店の奥には大きなクリスマスツリーがあるとの触れ込みですが10時にならないと開きません。
 小さい街なので端から端まで歩いても30分くらいです。

Kathe Wohlfahrt
土産物を乗せた赤い車が目印
店の横には大きなくるみ割り人形

 時間が余ったので街の城壁に上ってみました。もちろん無料です。ただ、所々崩れているので安全の保障は定かではありません。

石が刺さっているだけの階段
城壁は歩けます

 マルクト広場のからくり時計が10時に動くので、それを見たら10時10分にはバスに乗りますよとK藤さん。だがしかし、ここまで来たらKäthe Wohlfahrtに行きたいし。からくり時計を20秒だけ見て、マッハでKäthe WohlfahrtへGo!
 行ってよかった。入口近辺を少しだけ見て撤収するつもりが、店内は一方通行。強制的に店の奥まで押し込まれ、大きなツリーを見ながら小走りで店内一周。途中、ひったくるようにその辺のオーナメントを2個つかんでお会計。あちらのお会計は仲間と談笑しながらのお仕事なのでそれはそれは時間がかかります。そわそわしながら会計を済ませるとバスへダッシュです。
 バスに乗って92km、ネルトリンゲンに到着。ネルトリンゲンも城壁に囲まれた街で、入口は限られた門だけです。るるぶで予習したところ、隕石が落下して出来た大きなクレーターの中に街を作ったとの記載。1ページのみの小さい記事です。特段興味も引かれず、どうやらここには昼食に訪れただけなのかなという理解でした。街中は木組みの家が目立つ中世ヨーロッパの街並みで、それなりに風情はあります。

城壁と門

 街の中心には聖ゲオルグ教会があり、その脇に尖塔が建っています。ダニエル塔と名前が付いているそうです。K藤さんが有料ですけど登れますよと案内していますが、知らない街の知らない尖塔なんか誰が登るのだろうと思っていましたが、非常に大事でした、このダニエル。

聖ゲオルグ教会横のダニエル塔 90m

 しばらく歩いて昼食会場に到着。いわゆる普通のカフェです。今度こそソーセージかなと待っていたら、出てきたのはシュニッツエル。おお、ようやくドイツ名物。だがしかし、シュニッツエルの正体は薄いとんかつでした。ソースではなくレモンをかけていただきます。
 

シュニッツェル 薄いとんかつでした

 ひとまずの名物に出会えてホクホクしていると、K藤さんがネルトリンゲンのマップを配り始めました。少し時間があるので自由時間を設けるとのこと。ただ、そのマップを眺めながらのK藤さんの一言に震えました。「私、良く知らないんですけど、なにかアニメの聖地らしいですよ、ここ。進撃のなんとか……」ツアー客全員がのけぞりました。そういえば、この丸い城壁はウオール・マリアそっくり。
 急ぎ検索すると、曰くネルトリンゲンは進撃の巨人のモチーフとなった街であると。えらいこっちゃ。ということはあのダニエル塔に登るとウオール・マリアの全貌が見られるということになるのです。ありがとうK藤さん。これを登らずに帰ったら、悔しくて夜も眠れないところでした。

ウオール・マリア!

 わずかな自由時間はダニエル塔に費やすこととなりました。昼食を済ませると急いで聖ゲオルグ教会を目指します。聖ゲオルグ教会は街の中心地にあります。塔の登り口はわかりにくいです。教会の脇にある半開きの鉄柵から侵入します。

入り口判りにくい

 塔の高さは90m。下の方は石組みのしっかりした階段ですが、途中から階段の柵が木組みになり急ごしらえ感が否めません。恐らくですが、進撃の巨人で聖地になってから急に来訪者が増えたため改築したのでしょうか。

最初は堅牢な階段と壁
上るにつれ、雑になってきます

 木枠なのであちこちに落書きがあります。ヲタクのすることは世界共通です。

ヲタクのすることは同じ
落書きがびっしり

 料金所は8割がた塔を登ったところにあります。料金所の上にはトイレもあるのですが、排水はどうしているのだろう、謎です。屋上はぐるりと一周回れるようになっていますが、人ひとりようやく通れる幅です。眼下にはネルトリンゲンの街とその城壁。

城壁あります
なぜか動画は貼り付けられませんでした

 写真や動画を存分に撮影して満足。しかし感慨に浸る間もなく、早く降りなければ集合時間が迫っております。
 土産物巡りチームの皆さんが集合したところでバスに向かいます。帰り道、城壁を改めて見ましたが、ん~、城壁低すぎないか。残念ながら立体起動装置を持ち合わせていなかったので壁に上ることはかなわなかったものの、これでは楽々巨人が越えて来るではないかと思いました。

意外と低い城壁 少し不安
 

 ネルトリンゲンからミュンヘンまでは131㎞。感覚がマヒしてきて、意外と近いなと思ってしまいます。アウトバーンをひた走り、転寝している間にミュンヘン到着。
 ミュンヘンは、オクトーバーフェスト初日ということもあり、人で溢れかえっています。夕食まで時間があるので、ミュンヘン街歩きです。しかし、まずはトイレ。安全なところで、ミュンヘン駅前のマクドナルドで用を足そうということになりました。客のふりして2階に上がってトイレをと思ったら、トイレ前に門番がいました。現役の関取のような屈強なご婦人がドラム缶の上にコインを並べて利用料を徴収しています。どう見ても突破は不可能なので、素直に50セントを渡します。トイレで軽量化を図ったら街歩きです。
 カールス門を潜ってフラウエン教会を見学、そのまましばらく進むと新市庁舎前のマリエン広場に出ます。オクトーバーフェストのため広場にはたくさんの催し物が出ております。

マリエン広場と新市庁舎

 新市庁舎は1900年頃に造られたとのことですが、その建物の重厚精緻なことこの上なしです。個人的には木と紙でできた日本の神社仏閣の方が好みですが、ゴシック様式の石造りの建造物の迫力には圧倒されます。この市庁舎のからくり時計が動くとのことで待っていましたが、一向に動く気配がありません。
 上を見上げて待っていると、突然、作業服を着た髭面の典型的なドイツ人がツカツカっとやって来て、大層な剣幕で文句を言ってきました。江頭2:50ばりの人差し指で、「ここは俺の国だ!街のあちこちで立ち小便するんじやない!」と。すわ、有事!一瞬で臨戦態勢に入ったものの、何を怒っているのか意味が解らないので首をかしげていたら、ピンときたK藤さんが、「我々は日本人だ、中国人ではない!」と逆に叱り飛ばしてくれました。すると、男は、なんだ日本人か、じゃあなと言いながら何事もなかったかのように去っていきました。ノイシュバンシュタイン城でも度重なる注意もかかわらず平気で写真を撮っていましたし、どうやらかの国の人たちはあちこちで迷惑をかけているようです。
 そして、なぜだか一向にからくり時計の動く気配がないので、諦めて夕餉の店に向かいます。

このからくりが動く予定でした

 本日の夕食会場はPAULANER BÄUHAUSというビール醸造所兼レストランです。

醸造所兼レストラン
赤白ギンガムで統一 ドイツっぽい

 旅の工程表には、ビアレストランで夕食をどうぞハーフビール付き、と書かれており、この時期だと間違いなくソーセージが出て来る予感しかないのですが、豈図らんや牛肉の煮込みが出てきました。昨日のローテンブルグでソーセージを食べておいてよかったと心の底から思いました。しかしながら、スイスといいドイツといい、敢えて名物を避けて供しているとしか思えません。しっかりしてくれぃ阪急トラピックス。

まさかの牛煮込み

 多少の不満もビールとともに飲みこんで、今宵の宿に向かいます。NHミュンヘンメッセというビジネスホテル。フロントでカードキーをもらって、クタクタの身体にムチ打ちながら部屋に向かいます。別館なのでしょうか、フロントから部屋まではかなりの距離でした。
 やっとの思いで部屋に到着してドアにカードキーをかざしたものの、カードキーが反応しません。他の人の部屋も開きません。どうやらこのツアーのカードキーは全滅だったようです。
 げんなりしながら遠く離れたフロントまで戻って事情を説明すると、そんな訳はないということでしょうか、わざわざフロントのお嬢さんが付いてきて「見ていなさい、こうするのよ」とばかりに、再度ドアにカードキーをかざします。しかし当然ながら鍵は開きません。あらまあとばかりにフロントに戻ろうとするお嬢さんに、K藤さんが「我々は疲れているので、なるべく早くにお願いしますね」というと、「ヤー」という返事。Yesはドイツ語でJa、ヤーと発音するのですが、疲れ切った我々には「嫌―」としか聞こえませんでした。なんだかんだで部屋に入れたのは10時前。疲れたので、今晩は道後温泉の湯にしました。

朝はこんな感じ

8日目
 翌朝、飛行機は11:55発なのですが、やはり6時30分には朝食で7時30分集合です。ミュンヘン空港まではバスで1時間足らず。そして、空港にはなぜか新たなガイドさんが待機。どうやら空港でのトラブルをドイツ語で対応するための要員だそうですが、ドイツ在住が長すぎて既に日本語が少々怪しくなっている高齢の御婦人でした。このご婦人の案内で、9時にはスーツケースを預けてしまって、もうやることがなくなります。

KIX行きは11:55

 じゃあ、空港のラウンジで時間を潰そうと手荷物チェックゲートに向かい、ご婦人の案内でゲートに入ったものの、ゲートの先は長蛇の列。あれ?なんかおかしい……。 なんと、ビジネスのチケットを持っていたのにエコノミーのゲートに案内されてしまったのです。これには妻も大激怒。だがしかし今から戻るわけにもいかず。30分程度をこの列で過ごすことになりました。
 疲れ切って、出国審査を済ませてルフトハンザのラウンジに行ってみたものの、何だここはというくらいの大混雑。明らかにキャパオーバーでした。

一見倉庫のような外観

 早々に撤収して最後のお土産タイムに入ります。しかし、もう疲れ切っていて、購入の基準がおかしくなっていました。日本では絶対着ないであろうデカデカとミュンヘンとだけ書かれた派手派手なTシャツや、やたら持ち手の長いエコバック等々。どうかしていたとしか思えない品々を買い込んで機内に入ります。
 離陸してしばらくするとすぐに食事が出てきました。そして、食事の友は、やはりオクトーバーフェストビールです。

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 文字密度の多い文章を最後まで見ていただいてありがとうございました。
 これにて、スイス・ドイツ漫遊記は終了です。
 また気が向いたら旅行記を掲載しますので、暇で暇で仕方がない時にでもご覧ください。
 ではまた。


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