誰もができるセンスの磨き方を紹介した“読み物的”デザイン書
『センスがないと思っている人のための 読むデザイン』
著者:鎌田隆史
出版:旬報社
発行:2021年5月
※月刊『広報』2021年9月号【広報ライブラリー】
デザインに興味はあるものの、「自分にはデザインセンスがない」「センスは磨くことはできない」と思い込んでいる人向けに、デザインの奥深さや上達法を伝える。著者配信のメルマガ「美大いらずのデザイン講座」がもとになっている。
著者が経験の浅い後輩のデザイナーにアドバイスした際に、「きちんとデザインの基本を理解して場数さえ踏めば、未経験であってもどんどんデザインが上達する」(まえがき)ことを実感。そうしたデザインの現場で伝えてきたアドバイスやヒントをまとめたという本書のコンセプトは、「読むだけでデザインセンスが鍛えられる」。作品や図版が多く掲載されたデザイン本ではなく、文章を中心に、エッセイのように気軽に読みながら、いつの間にか「深いデザインの本質」にまで踏み込んでいくことを目指す。
4章構成のうち、「街はデザインの学校」(Part1)では、街中を歩き回って「おもしろい」と思ったものをメモしたりスマホに記録したりして、記憶し、いつでも思い出せる状態にするなど「自分の引き出し」を増やしていく勉強法を紹介。また、それら「デザインのもと」をまとめたノートの活用法、電車の中吊り広告や街角のポスターなどを見て、そのデザインで何を伝えようとしているのかコンセプトを考えたり、それを説明する力を養ったりするスキルアップ法などを取り上げる。
そのほか、「デザインそのもの」というフォントの活用法、写真撮影によるデザイン上達法、色感の磨き方、自分のデザインを客観的にチェックする方法などについて、現場での経験を交えながら分かりやすく紹介する。