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相席スタート山添の『星☆クズ』ヒコロヒー編 ディープな金借り話とバラエティーの葛藤

“令和のクズ紳士”こと相席スタート・山添寛が、同じく“クズ”と呼ばれる芸人たちと、女性やギャンブルについて本音を語り合う対談企画『星☆クズ』。第3回は、ピン芸人のヒコロヒーを迎えた。

芸人やタレントから金を借りることを目的としたYouTubeチャンネル『ヒコロヒーの金借りチャンネル』に出演するヒコロヒーと、借金エピソードを爽やかにトークする山添の“金借り二大巨頭”が集結した今回の対談。

「借金をする」という根本から、バラエティー出演に関するマジ話まで、2人の胸中に迫るものとなった。読み終わったあとは、山添とヒコロヒーの印象が変わる……かも。


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山添のスマートエピソードは裏がある?

ーー今回、なぜ対談相手にヒコロヒーさんを選んだんですか?

山添:女芸人の中で、こんなにやさぐれ感と芸人っぽさを兼ね備えて駆け上がっていく人を見たことがなかったので(笑)。“呼びたくてたまらんかった”ってところですね。


ーーヒコロヒーさんはこの対談の仕事が入った時、どう思いましたか?

山添:確かに。スケジュールに何て入ってたん?

ヒコロヒー:『クズ取材』って入っていました。

山添:(笑)。

ヒコロヒー:マネージャーさんはいつも『借金の取材』とか、言い回しに気を使ってくださるんですけど、今回に限っては、きっちり『クズ取材』と。

山添:確かに心構えはしていたほうがええか。

ヒコロヒー:肩を回してきました。

山添:やっぱり普通の人やったら“何この失礼な仕事のオファー”ってなるんですけど、ヒコロヒーの良さは、そこで肩を回してくれるところですよね。

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ーーもともと山添さんに対しては、どんな印象を持たれていたんですか?

ヒコロヒー:2年前くらい前、喫茶店にいたら、当時、現場で1、2回しか会ったことなかった山添さんがいらっしゃったんですよ。そこでパスタとかカフェモカのトッピングとか、わけわからもん食べていたので、ここで挨拶したら、その会計を持ってもらうことにもなり兼ねないし(先輩が後輩の食事代をごちそうする風習があるため)、気づかんふりをさせていただいたんですね。

でも、しばらくしたら、山添さんが来て「ヒコロヒー最近頑張ってるやん。またな」って、私の伝票をとってファーって去っていかれて……。その日から1、2ヶ月は山添さんをスケベな目で見させていただいていました。

ーー(笑)。

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山添:丁寧な「ごちそうさまでした」っていうLINEがきたんですけど、“間違えとんな”とは思いましたね。

ヒコロヒー:え?

山添:(相方の)ケイさんから金借りていることを知らずに、俺に「ごちそうさま」言うてきてるから、世間知らずやなって。

ヒコロヒー:いやいやいや。なんでそんなこと言われなアカンねん。

山添:ケイさんへのLINEを間違って俺に送ってんなって。

ヒコロヒー:そのからくり知らんから。言うといてくれんと!


ーー(笑)。ケイさんから借りたお金で奢っているので、もともとは自分のお金ではないと。

山添:実質はそうなってますやん?

ヒコロヒー:(笑)。いきなり私がケイさんにお礼言い出したら変でしょ。

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好評のYouTubeに忍び寄る影?

ーー改めて『ヒコロヒーの金借りチャンネル』はどんなことをしているのか教えてもらっていいですか?

ヒコロヒー:芸人をやっていく中、多方面から借りた借金が250万円ほどできたんですけど、スタッフさんから「まずは1本化したほうがいいんじゃないか」って提案があったので、芸人連中から借りることにしました。芸事に集中するための生活費もプラスして、合計500万円を目標に動いています。

山添:ようはむちゃくちゃなチャンネルですよね。職権濫用というか。


ーー(笑)。山添さんは、『ヒコロヒーの金借りチャンネル』について、どういった印象を持たれていますか?

山添:シンプルに“カッコええな”って思います。普通、マイナスなイメージになることってしたくないと思うんですよ。その中で、“これが私やし”っていう強い意志を持っている。全部知ってくれて、1人でも笑ってくれる人がいたらええねん……っていう。そこが俺の惚れ込むところですね。

ヒコロヒー:「笑ってくれたらええねん」なんて言うてないんですよ(笑)。

山添:『金借りチャンネル~1人でも笑ってくれたらええねん~』チャンネルやから。

ヒコロヒー:そこまで言うたら、もうイジってません?

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ーー(笑)。借金をする際は、基本的に電話交渉。霜降り明星・せいやさん、矢口真里さんなど、相手の人となりが見えるのもチャンネルの魅力の一つです。

ヒコロヒー:出てくださっている方々の男気に甘えさせていただいているところはありますね。

山添:「~させていただいている」って『星☆クズ』の話し方を心得てんな(笑)。さすがやわ。


ーー世間の方の反応もポジティブなものが多そうですよね。

ヒコロヒー:それぞれのファンの方が、“分けわからん女のために、ひと肌脱いでいる”って喜んでくださっているんですよ。

山添:そうか。お金を貸す人の印象も上がるんや。

ヒコロヒー:『好感度上がらせチャンネル』にもなっていますね。

山添:すごいロジック生み出したな。

ヒコロヒー:ただそれがバレつつあって。どうでもいいような先輩が「俺、金貸したるよ」って自ら言ってきたときに“審議!”って思いますね。

山添:なんでやねん(笑)。「ありがとうございます」やろ!

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借金プレゼン能力の高さに驚愕!

ーーお金を借りる際、戦略を立てることはございますか?

山添:“借りていい人かどうか”、こっちが選んでいる部分はあります。


ーー(笑)。

山添:借金って信頼関係じゃないですか。僕は今のところケイさんからしか借りてないですけど、それを知った周りの人が「情けないな」とか「だらしない」って言ってくるんですよ。「あなたから一銭も借りてないのに、何でそんなこと言われないといけないんですか?」って返したら「じゃあ俺が貸したるわ」って。でも僕は「借りたくないです」と。「信頼関係を築けていないあなたからは借りられません」っていう線引きはありますね。

ヒコロヒー:すばらしい。筋が通っていますね。

山添:お金の貸し借りで揉めるのが一番アホらしいじゃないですか。器が大きくないのに、その場のノリで貸そうとする人には借りないです。(返済が滞って)向こうにフラストレーションを溜まらせるくらいなら借りたくない。「すみません。今回の話はなかったことに」って断ります。

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ーー上の立場に逆転するんですね(笑)。ヒコロヒーさんは戦略などは立てられるんですか?

ヒコロヒー:私がいかに素晴らしい人間で、今後成功する可能性を秘めている女か、っていうプレゼンをさせていただいています。

山添:なるほど。

ヒコロヒー:あと「それぞれの願いを叶えて差し上げますよ」と言っていて。たとえば、さらばの森田(哲矢)さんだと、もともと同じ事務所の先輩で、会社とすったもんだあった時期もあったので「私にお金を貸していただければ、内部から松竹を潰すことができますよ」って。

山添:松竹のマネージャーさんがいる前で、ようそんなこと言えるな(笑)。

ヒコロヒー:その一言で貸してくれたようなもんなんで。

山添:ただ、お金を借りる上で、そこのプレゼンは核よな。

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ーー山添さんはケイさんから借りるとき、どんなプレゼンをされるんですか?

山添:「この馬がいまして、確実にくるんです」と。「いや、もう1着できたんです。きたんですけど、まだ走る前なんです。これを買わないと損なんです」って。


ーー不思議なことを言いますね(笑)。

山添:優しいなって思ったのが、ケイさんに「ウン十万を単勝(1着馬を当てる馬券)でぶちこませてください」ってプレゼンしたとき「アホなことするな!」って言われるんかと思ったら、まさかの「複勝(3着までに入る馬を当てる馬券)にしとき」って。


ーー(笑)。でも、それで負けることもあるじゃないですか。

山添:負けたことしかないですね。


ーーそのときにケイさんから何か言われないんですか?

山添:「パラレルワールドの違う馬が来ました。こういうことってあるんですね。勉強になりました」って。“勉強代として貸した”ということにスライドさせます。

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ーー 一方で、ヒコロヒーさんは、ギャンブルではなく、生活費で作った借金なんですよね。元カレさんからも借りているそうですが、返済を迫られることはないんですか?

ヒコロヒー:話の流れで「あれどうなってんねん」って言われたりしますけど「まぁまぁ」みたいな。私なんて愛嬌もなく31年生きてきたんですけど、ここぞとばかりに可愛げだしていますね。「うやむやにするとき=愛嬌」っていうのは身についたかもしれないです。

山添:その愛嬌見たいなー(笑)。


ーー“人からお金を借りる”って誰でもできるものなんですか?

ヒコロヒー:ほとんどの人はできないですよね。

山添:チャレンジしても難しいと思います。借金しようと思って、すぐにできるほど甘い世界じゃないんで。

ヒコロヒー:私たちは茨の道を歩んでますから。

山添:素人の方だと、努力しようとせずに借りようとするでしょ? 僕らは、ほんまにげっそりした顔を恥ずかしげもなく見せにいけますから。「どうしたんや?」って言われたらこっちのもんですよ。そこで、35年の人生を全部ぶつけて、拍手笑い2回もらったら、万札に変わってます。

ヒコロヒー:イリュージョンや(笑)。

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山添とヒコロヒーは中身が一緒?

ーー予想でいいのですが、お金を借りられそうだと思う有名人や芸人さんはいらっしゃいますか?

山添:タカアンドトシのトシさん。ほとんどお会いすることがないんですけど、1回番組に呼んでくださったときに、クズ漫談というか、実情を話したら、めっちゃ笑ってくださったんですよ。そのあと打ち上げ行って、『星☆クズ』に書いているようなことを話したんですけど、タカトシさんなんて、好感度も高いし、イメージもめっちゃいいから「なにしてんねん」って言われると思ったら「お前いいな!」って言ってくれはって……。打ち上げ終わるころには、トシさんが“こいつになら150万くらい貸してもええな”っていう顔されていましたね。


ーーヒコロヒーさんはいかがですか?

ヒコロヒー:私はずっと言うてるんですけど、元プロ野球の清原(和博)選手。

山添:なんでずっと言うてんの(笑)?

ヒコロヒー:面識はないんですけど、清原選手って、申し分ないお人柄で“アニキ”と呼ばれている器の大きさがあるじゃないですか。かつ、いろいろ人生の波乱を歩んではって、人の苦労とか弱さに寄り添うことができる方なんじゃないかと思うんですよ。


ーーいくらくらいならいけそうだと思いますか?

ヒコロヒー:うーん。清原選手ですからね……。2,000万とか?

山添:出すかー(笑)! 

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ーーお金を借りる場合、相方や彼氏・彼女などのパートナーから借りるのが一番スムーズなんですかね。

ヒコロヒー:私は本当にお金がなかったんですよ。携帯電話は余裕で止まったし、お台場でオーディションがあるけど、電車賃がないとか。そこで彼氏から1日1,000円とか2,000円を借りたり、支払いをしてもらったりの積み重ねでした。


ーー当時の彼氏さんが、そういった細かい借金を記帳していたんですよね。

ヒコロヒー:つけられていましたね……。あ、つけていただいていました。「つけられていた」って言うと、被害者然としちゃうんで「つけていただいていた」ですね。

山添:(笑)。たぶん……僕とヒコロヒーは、中身ほとんど一緒ですね。いまの「つけていただいていた」って、しょっちゅう言うてるもん。


ーー(笑)。山添さんは彼女からお金を借りたことがないそうですね。

山添:そうですね。ただ、ケイさんに「今日彼女とデートしたいんで、2万円貸してもらっていいですか?」って借りることはあります。僕、ケイさんからは借りますけど、他の女性にはお金出させたくないんで。

ヒコロヒー:紳士ですねー(笑)。


ーー彼女はケイさんのお金だとは知らないと。

山添:そうですね。言ってないです。でも、ちゃんと舞台上で「この間、ケイさんから借りたお金で彼女と焼肉食べてたんですけど」から始まるエピソードトークはしています。


ーー(笑)。枕詞に違和感があって、話が入ってこないです。

ヒコロヒー:そうですね。「え? なに?」ってなりますね。

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バラエティー番組で戦う2人の真剣トーク

ーーどんなことでもいいので、お互いに聞いてみたいことはありますか? 

ヒコロヒー:ちょっと真面目な話になるんですけど、(山添の)出方をみていると、控えめな部分もあるじゃないですか。

山添:それ、ネルソンズの和田まんじゅうにも言われたな……。一番近い同期の仲間に「お前気使いすぎ」って。

ヒコロヒー:山添さんが出ていらっしゃる番組を観ていると、ハネまくっているわけじゃないけど、絶対に全部面白い。そういう出方が、自分もできればいいなって思うんですよ。

いま、自分はいろいろな仕事をさせてもらいたてで、“どの現場でもハネきらなきゃいけないんじゃないか”と思いながら取り組んでいる中、山添さんみたいな出方をされる方がいると、ホッとするし、嬉しい。そういうことは分かってやっていらっしゃるんですか?

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山添:気質というか……。もともとうちは男女コンビで、“ケイさんが面白いって思ってもらわんとアカン”と思って、ネタを作ってきたし、俺がグイッと肩いれて前に出たら邪魔になる、っていうのがずっとあるのよ。

『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系)でも1年半、一言も喋らんみたいな参加の仕方をしてたんやけど、途中から“ギャラドロボーや”って気づいた。サポートしている側は、いつかタイミングがくるから、それまで我慢するのが仕事やと思っていたけど、こんだけ芸人おって、“いつか認めてもらうこと”はないと思って……。

去年くらいから喋りたいことをしゃべろうとしてんねんけど、それでも、番組の企画に沿うことよりも、自分の爪痕を残すことのほうが大事だと思っている人を見ると「ウッ」て思うというか。「企画が盛り上がる」ということがベースにあって、そのうえで“オモロいこと足せたらええな”っていう考えになってんのよね。でも、本当は爪痕残さなアカンときがいっぱいあんねん。そんときは喫煙所で“あのとき思いついたヤツ言っておけばよかったな”ってむっちゃ後悔しまくっているよ。

ヒコロヒー:山添さんでもあるんですね。……仕事楽しいですか?

山添:取り繕うことなく気を使わずに出られているから、楽しくなってきた、かな。ヒコロヒーも気使いやもんね。“周り見て、1回何かを言うのをやめたっぽいな”っていうのを、ちょこちょこ目にするわ。

ヒコロヒー:それに(山添が)すごく気づいてくださるので、たぶん経験してきた方なんやなって思ったんですよ。

山添:ピンの人はゴリッといくイメージがあるけど、ヒコロヒーは、めっちゃ塩梅見ているなって思う。何がええか分からんよな……じゃあ、もうちょっとだけゴリッといくか!

ヒコロヒー:怖いんですよね。(共演する)猛者おじさんたち。

山添:分かるよ。けど、そこは1個ネジ外していくしかない。猛者おじさんたちが絶対に救ってくれるのに、いかへんほうがよくない。

ヒコロヒー:わかります。猛者おじさんって優おじさん(やさおじさん)でもありますよね。

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ーーでは、山添さんが聞きたいことはありますか?

山添:そうですね……。(少し間を空けて)おもんないっていう男芸人いる? 


ーー(笑)。

山添:ヒコロヒーに“おもんない”って思われたくないんですよ。目が鋭いし敏感やし、めっちゃ周り見えているから、どんだけ売れなくても、最悪ヒコロヒーにおもろいって思ってもらえるんやったら、ええなっていう気持ちがありますね。

ヒコロヒー:どエラ現場に1人放り込まれる若手っているじゃないですか。そのときに「緊張しますわー!」って言っているヤツ全員嫌いです(笑)。

山添:ハードル下げんなってこと?

ヒコロヒー:それもありますし、テレビ観ていても「知らんがな」って思うんですよ。“お前が誰かも知らんのに、どうでもええわ”って。

山添:言わんように気つけよ(笑)。

ヒコロヒー:同じ板の上に立った時点で、同じ立場。それこそが先輩方に対しても後輩に対しても礼儀かなと。自分が上とか下のポジションどりをするくらいなら「ぜんぜん緊張していません。どれだけ面白いこと言うか見ておいてください」くらいのスタンスでいってスベった方がいいし、戦っている感じがするんですよね。下手(したて)にいくと、それこそ猛者おじさんたちから「お手柔らかにお願いします」って愛嬌で逃げている気がして。

山添:なるほどな~。ちょっと“救ってくださいね”感が出ちゃうんや。

ヒコロヒー:処世術としてあるんでしょうし、それも努力のうちの一つなんでしょうけど、自分はしたくない。それをやってうまいことポジションどりをしているだけのヤツは認めたくないなって思います。

山添:いや~。ええの聞きましたわ。

ヒコロヒー:でも、スベるんですけどね。

山添:スベっても面白い、スベってもかっこいい芸人でありたいですね。やっぱりクズは、クズのくせに芯もっていますから。

ヒコロヒー:かたじけないですね(笑)。

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■撮影協力

たこ焼き酒場 Woo Ma Qoo
東京都新宿区新宿5-8-21 サンジュリビル 1F


■相席スタートINFO

復活!相席スタートの密会Midnight
<有観客・生配信>7月1日(木)開演18:00 (終演時間 19:55頃 予定)
<見逃し配信> ~7月12(月)23:59



ヒコロヒーの金借りチャンネル

相席YouTube


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企画/山添寛
ライター/浜瀬将樹  撮影/越川麻希
編集/田嶋大輔

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