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『THE W』新王者・オダウエダがホーム・神保町で恩返しを決意した理由

昨年12月に開催された『女芸人No.1決定戦~THE W』で優勝を果たしたオダウエダ小田結希植田紫帆)。

優勝後、否定的な感想に悩まされたという植田だが、ホームグラウンドである神保町よしもと漫才劇場(以下、神保町)の芸人仲間や観客の温かさ、そしてロケで触れ合った人々からの祝福によって、少しずつ自信を取り戻してきたという。
お互いに面白さを認め合い、刺激を与え合う2人に、怒涛のスケジュールをこなす中での心境や今後について聞いた。


小田、番組収録でスベりすぎて……!?

――『THE W』の優勝から約2ヶ月くらい経ちましたね。

植田紫帆(以下、植田):この1~2ヶ月、ほんまにあっという間でしたね。1日前のスケジュールが把握できてないくらい、いろんなことをやらせてもらって。気づいたら、神保町にいたっていうこともよくありました。

小田結希(以下、小田):ロケに行ったり、スタジオ収録とかあったり……。クイズ番組にも出させてもらいましたし、『千原ジュニアの座王』では今まであまりやってこなかったギャグとかもやったりと、いろんな挑戦をさせてもらいました。

植田:私はラジオが好きなんで、『オールナイトニッポンZERO』に出られたのがめちゃくちゃ嬉しくて。

小田:植田はニッポン放送に着くまで、ドッキリじゃないかと疑ってたみたいで。ラジオブースを見て、ようやく“あぁ、優勝してよかったな”と思ったらしいです。本番中はずーっとリスナーに遊ばれてました(笑)。イジってもらえてよかったね?

植田:楽しかったね。始まる前からも終わってからも、ずーーっと楽しかったなぁって思ってました。

小田:『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』は寝ずにロケ行ったんですけど、人を見つけ次第、走って声をかけに行くっていうのを何往復もして、こんな体力勝負やったんやと実感しました。

植田:ああいうロケを毎回されているスタッフさん、ほんまにすごいなと思いました。あと、ある番組でね?

小田:私がスベリすぎちゃいまして。家に帰って寝ようと思ったら、部屋中にコバエが湧いてて耳元でも音が聞こえるんですよ。だから、知り合いに助けを求めたら「いないよ」って言われて。

植田:スベりすぎて、幻覚が見えたみたいです(笑)。あれから虫はもう見えてないね?

小田:見えてないです!

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――よかったです(笑)。いろんな経験をしたことで、新たな課題も見えてきたんじゃないですか?

植田:もうほんまに課題だらけですね。劇場では芸歴がいちばん上なので、引っ張っていかなあかんっていう気持ちでやってきましたけど、テレビではいうたら0年目。テレビにめちゃくちゃ出てる芸歴の近い先輩のオズワルドさんとかゆりやん(レトリィバァ)さんとかは深さが違うボケを言えたり、ツッコミも速さも違ったりしてて、自分らよりもレベルが何段も上なんだなって自覚したというか。二手、三手先を常に想定してやってるんだなと気付かされたんですけど、何もできずあわあわしてばっかりです。

小田:(笑)。でも、植田のトークはやっぱりうまいなと思いますよ。私も見習わないとなって。

植田:じゃあ、弟子入りする?

小田:しません! けど、私もできることを増やさないとな、とは思ってます。

植田:こうは言ってますけど、小田は自分から言わないだけで武器はいっぱいあるんですよ。大喜利とかめっちゃ強いですし、声もいいんでナレーションもできそうやなって。あと、見た目もかわいいし、どんな服も似合うのでモデルとかもいいかも。

小田:やめて! 恥ずかしいからやめてください!


――小田さん推しがすごいですね。

植田:小田のトップオタク、略して“TO”です!

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神保町ってあったかぁ~!って思った

――優勝直後、植田さんは否定的な意見を受けて、かなりネガティブになっていましたよね。

植田:優勝したあと、2時間くらいインタビューを受けて。終わってホテルで30分くらい、2人でウィ~!とか喜んでたんですけど、暇になった瞬間に携帯を見てしまって……。

小田:忙しいのに、寝ないでずっとSNSを見てるくらい切羽詰まってました。

植田:あぁ、もうだめだ。敵しかいないって思っちゃって。けど、ロケで出会った方と触れ合ったり、小田の地元・愛媛に行った時におめでとうって言ってもらえたりして。応援してくださる方がこんなにいるんだということがわかってからは、どんどん元気になりました。ネットのつぶやきって思ったことを気軽に言っちゃうから、おもんないとかっていう感想も多くなっちゃうんでしょうね。1週間くらいはその意見がすべてだと思ってたんですけど、現実の人はちゃんと応援してくれてるんだなって……(と言いながら、どんどん俯いていく)。

小田:ふふっ、本当に割り切れてる?

植田:割り切れてなさそう?

小田:なんとなく苦しそうだった。

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――いろんな芸のかたちがあるからこそ面白いわけですし、オダウエダさんが優勝したことで、こういうお笑いもあるんだって知ってもらえたのはいいことですよね。だから、胸を張ってほしいなと思います。

植田:ありがとうございます。ゆにばーすの川瀬さんがね?

小田:直にはもちろん、YouTubeでも周りの芸人さんにも、オダウエダが優勝したことで自分の考えを改めて、今後どうしていくかを考えていきたいというようなことを言ってくださって。今までライブでご一緒することはあったんですけど、そんなに深く話したことはなかった川瀬さんが熱く言ってくださっていたのが嬉しくて、優勝してよかったなと思いました。


――神保町という自分たちが主体になる劇場ができたことも、お2人にとっていい効果があったんじゃないですか?

植田:ほんまにそうですね。ただ、神保町ばかり出ていた時は全然ホームって感じせぇへんなと思ってたんです。自分たちのネタの仕上がりは棚に上げてね。けど、この1ヶ月でいろんな劇場に出たり、営業に行ったりしてみると、神保町ってあったかぁ~!って思いますね。知らず知らずのうちに、ちゃんと自分らのホームになってたんやなって気付きました。

小田:ホームかぁ……まぁ、たしかにありますね。

植田:えっ、感想薄ない?

小田:(笑)。植田がSNSでいろいろと書かれて落ち込んでた時、優勝後に初めて出た劇場が神保町やったんですよ。先輩も後輩もお客さんもみんなが喜んで(迎え入れて)くれてたことで、植田は立ち直れたので嬉しかったですね。

植田:ピの人たちを見返さなきゃいけないと思ってたんです。けど、ほんまに恩を返さなきゃいけないのは、応援してくれているみなさんなんやなと。

小田:そう、実際に観てくださる人たちですよね。

植田:みんな、おめでとう! お帰り!って声をかけてくれる。この人たちに恩返ししていかなあかんねんな。ダメダメ! エゴサーチしてる場合ちゃうなって思えました。

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――ちなみに、ピの人とは?

小田:賛否の“ピ”です(笑)。けど、そういう人たちの意見の中には、直さないといけないのかなっていうこともあったりしたので、目をつむるんじゃなくね?

植田:はい、毒をも食うていきたいなと。逆に、自分らのええところもめちゃくちゃわかったので、ええところは残しつつがんばっていきたいなと思っています。

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相方はいちばん面白くていちばん近くにいる人

――テレビのお仕事もがんばりつつ、劇場ではネタ作りにも勤しんでいくわけですよね。

植田:ネタは……もちろんがんばりたいんですけど、この1ヶ月、仕事をたくさんいただいたことで新ネタができてなくて。とか言いながら、夏休みの宿題は最終日やっちゃう2人なので、忙しくても暇でもギリギリなんですけどね。

小田:以前はバイトしつつ、たまに入ったライブの合間にネタを考えるっていう感じだったんです。けど、今は全部お笑いの仕事がなので気持ち的には最高です! 欲は深いので、妥協ぜずに全部がんばっていきたいですね。

植田:まだまだ調子には乗れませんから。油断できないので、いろいろと勉強していきたいですね。


――小田さん、欲が深いとのことですが、何が欲しいんですか?

小田:“植田よりも面白い”っていう言葉が欲しいです。相方はライバルというか、いちばん面白い人がいちばん近くにいるという感じ。だから、勝てるようにがんばろうっていつも気を張った状態でいられますし、この人に勝つにはどうしたらいいんだろうっていつも思えるんです。

植田:お互い、そういうところはあるかもしれないですね。くそっ、負けた! くそっ、もっと面白いことを言えるようにがんばるからな!って。

小田:次出し抜いたる!ってね。

植田:そう。見てないところで腕を上げて……さすがやなとか、いつも思ってます。

小田:植田は元々のポテンシャルが高いんですけど、それに加えてコントの設定とかでも面白いことを言ってきたりんです。くぅ~! 私がバイトしてる間にそんなこと考えてたんかぁ。まだまだ自分は足りないなって思いますね。

植田:うわ、嬉しい! 2人でネタを考えてるんですけど、「それ、うちが言いたかってん」とか言いながら作ってて。

小田:それ、めっちゃあるよね。どっちが面白いボケを見せられるか。うわぁ、やられたーとか思ったりして。

植田:小田……わかってるなぁと思いながら一緒に作ってます。2人でそうやって作ったものがウケたら嬉しいですね。

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――今後、単独などの予定はありますか?

植田:まだどうなるかはわからないんですけど、単独をやりたいなとは思ってます。

小田:あと、ヨネダ2000とライブをやる予定もありますし、新たにトークライブも始める予定です。

植田:トークでミスして、二度と虫を見ないようにね?

小田:そうやね。気を抜かず、いろいろと挑戦していきたいですね。


■オダウエダ
2014年結成。小田結希(左)と植田紫帆(右)のコンビ。
2021年、女芸人No.1決定戦「THE W 2021」優勝。


■オダウエダINFO

■オダウエダ×ヨネダ2000「オポヨネポウエポダダダッッッベリベリマッチョバター」

日程:2022年3月12日(土)19:45開場 20:00開演
会場:神保町よしもと漫才劇場(東京都)
出演者:オダウエダ、ヨネダ2000
料金:1,500円(全席指定 前売)


■オダウエダトークライブ『うわー!』

日程:2022年3月20日(日)19:45開場 20:00開演
出演者:オダウエダ
会場:神保町よしもと漫才劇場(東京都)
料金:1,500円(全席指定 前売)


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ライター/高本亜紀 撮影/瀧川寛(CUBISM)
企画・編集/山際なぎさ


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