マンゲキ芸人座談会~ジュースごくごく倶楽部〜Vol.3
■ジュースごくごく倶楽部
ギターの辻クラシック(ニッポンの社長・辻)
ベースの堂前タオル(ロングコートダディ・堂前)
ドラムのポイズン反町(シカゴ実業・山本プロ野球)
ボーカルのジンジャーエール阪本(マユリカ・阪本)
キーボードのあたし(滝音・さすけ)
そしてボーカル&ギターのエナジーなつみ(ねこ屋敷・河野)
からなる6人組パーティーロックバンド。
マンゲキ芸人座談会・第3回は、「お笑いを始めた時と似ている」という今の状況や、幸せすぎてさすけが「一筋の涙」を流したというエピソードをはじめとする、バンドの楽しさなどを語ってもらいました。
――曲作りは主に辻さんで、それぞれのパートの音はどのようにして作られるんですか?
辻クラシック(以下、辻):みんな考えてくるので……。
あたし:みんなネタ書きなので、基本。
堂前タオル(以下、堂前):うん。
あたし:宿題で、自分で持ってくる。
辻:そう。仕上げてくるというか、だいたい。だから、入るごとに変わっているのが、な?
ジンジャーエール阪本(以下、阪本):いや、正直、僕、自分の歌しか聞いてないんで。楽器のことはほんまに分からないです。何がどう音が変わったのかもわからん。なんかよくなってきてるなっていうぐらいで、ここが変わってるなっていうのは正直、わかんないですけど、まだ。でもそうですね、みんな努力して……。
――皆さんそれぞれ、考えてこられて。
辻:そうですね。その場でもう、みんなで意見を出し合ったりするんですけど、基本的に宿題を持ってくるみたいな感じで。それがちょっとちゃうかったら、またやり直しとか。
――その辺の総合的なジャッジは辻さんがされるんですか?
辻:いや、でも、僕が交わらんでも言い合ったりするよな? 阪本以外は。
あたし:そうですね、でも、まあまあベースというか、最初の音は辻さんが全部作ってくれているので。
ポイズン反町(以下、ポイズン):確かに曲のイメージ的なものは辻に聞いた方がええかなって。
辻:でもさすけはほんま、めちゃめちゃすごい、センスだけで作ってくる。
あたし:いや~、下手なんで、できることが少ないから、もう下手の中でやっている感じです。
――変な質問ですけど、お笑いとどっちが難しいですか。
辻:いやそら、僕らからしたら音楽が余裕で……。どうなんやろ?
堂前:お笑い始めたての感じと似てる感じはめちゃある。
一同:あ~。
堂前:なんかちゃうなってなった時も、何が違うんかがわからんで、違和感だけがわかるみたいな状態が。
辻:なるほど。このネタなんかウケへんなって。でも昔のネタ見たらわかりますもんね、これウケへんなって。
堂前:うん、そうそうそう。
辻:振り足りへんとか……。な?
阪本:……あの、最後僕に振るのやめてもらえません? わからんって。
辻:お笑いはわかるやろ。
阪本:お笑いはね、まだ。音楽はまだ楽しいくらいです。
ポイズン:基礎はがんばったら底上げができるっていうのが音楽にはある。
辻:確かに、伸び悩んでないから練習すればっていう段階です、今は。今はめちゃ楽かもしれないですね。
堂前:やればやるほどうまくなるし、楽しくなる。
阪本:まだ天井にあたってないってことですか。
堂前:うん。
ポイズン:まだまだ先。
辻:まだまだできそうな感じです。
――ステージで見せるという面での違いはありますか?
辻:あ~、この2人(阪本、エナジーなつみ)はめっちゃ頑張ってくれているんですけど、多分、まだ、いっぱいいっぱいですよね。
阪本:いっぱいいっぱい。
辻:見せるっていう面で。そこがやっぱ、プロはすごいよな。
あたし:(お笑いでいうと)まだ噛まんようにネタするくらいの感じやね。
辻:ちょっとずつやろうとして噛みまくってる。
あたし:噛みまくってるなぁ。
――阪本さんと河野さんがフロントでパフォーマンスして、辻さんはリードギターで引っ張って、山本さん、堂前さん、さすけさんは後ろで見守っているという感じですが、ライブ中、後ろからフロントマンのお2人を見ていて思うところはありますか?
山本:阪本が本番でめちゃくちゃはしゃいで、おもしろいんで夢中になって見てミスってしまうっていうのは多々あります(笑)。阪本が予想外のことを起こしてくるので。歌ってる途中にマイクか楽器のコードが引っかかって抜けたり。
辻:僕も違う方を向いて演奏していて、ほんでぱっと阪本をみたら曲のサビぐらいのところで水飲んでて。何してんの!?って(笑)。
阪本:(笑)、それ言わんでいいですよ。(超能力戦士ドリアンとの対バンライブで)ドリアンさんと同じ動きしてくれみたいな、むちゃな振りというか、ドリアンさんぐらい動いてくれっていう振りのなかでやったら、ほんまに失神しそうになって。このままじゃ死ぬ!って思って水飲んだんですよ。それはステージ上で「もっとドリアンさんぐらい動いてくれ」ってみたいなことを言われて。そういう振りを言われて、任せてくださいよって言ったらそんなことになりました。
辻:ワンマン1かな、あとでその映像を見返したときに、みんなめっちゃ楽しそうなんですけど、さすけがほんま、全員自分の子、うちの子がやってるみたいな感じで、むちゃすごい、穏やかな顔してるんですよ(笑)。「俺の生んだ子がバンドしてる」みたいな顔してて。
阪本:あたしっていう名前やし、お母さんみたいな。
あたし:まあ、そうですね……幸せっすね。
阪本:さすけは、初ワンマンの音を聞いて、涙が一筋、ほんまに流れたらしいです。ほんまに幸せすぎて。
あたし:その時は結構いっぱいいっぱいやったんですけど、ワンマンの日は。その次の日、子供と一緒にその時の動画を見てて。
辻:子供って俺ら?
あたし:え!? 違う違う!(笑)。実の子! 実の子と一緒に見て、そのあとバイクでお笑いの舞台に行くときに、なんか、つー……って一筋だけ涙が。何の涙かわからへんのですけど、これはエモいってことやな~って思ったんです。
ポイズン:気味悪い話。
辻:気味が悪すぎ。
阪本:気持ち悪い、お前。
――でも実際、幸せですか。
あたし:青春してる感じ、むっちゃしません? ツートライブの周平魂さんも言ってくれたけど、「俺らができへんかった青春をお前らがやってくれてるから、すごい見てて幸せになる」って。「俺も見たとき、泣きそうになった」っつって。「楽屋やったから泣けへんかったけど」って。
――そういう青春みたいな感覚は、皆さんもありますか?
辻:そうですね、なんか……、なんやろ……。言葉に……。
阪本:……ここで全員、泣いたことにしてください(笑)。
阪本以外のメンバー:(しばらく絶句)
阪本:キモ過ぎる(笑)。
辻:でも、青春で言ったら、それこそ昔は野球とかやっていたんですけど、結局惰性でやっていた部分もでかいし、気が付いたらもう10年やってたみたいなもんじゃないですか。昔の部活って。辞めるタイミングがない。
あたし:やらされてるというのもあるというか。
辻:これはやりたくて自分からやってるから。しかもメインの仕事じゃなくっていう。ほんまにお笑いを最初に始めた感じに似てますね。
堂前:僕も、高校入って軽音部やって、結構練習もして、文化祭のステージとかも2回くらい出たんですけど、あの頃を優に凌駕してますね、今。なんかスタンスが違うというか、やる側の。うん。……もう思い出がないですわ! 軽音部の!
最終回はバンドの野望を語ってもらいました!
to be continued
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取材・構成/岩本和子
撮影/ポートワシントン・笠谷