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自宅愛を語る~祇園櫻井・前編~

必要最低限の物だけで、コンパクトな生活をする「ミニマリスト」。よしもと漫才劇場きってのミニマリストとして知られる祇園・櫻井健一朗は、そんな自宅を愛してやまず、劇場出番の合間も時間さえあれば帰宅するという。どうしてそんなに自宅が好きなのか? まずは好きになるまでの過程を追いました。

僕、ルームシェアをしている時期が長くて、今の家は初めて自分で住めるようになった家なんです。2017年3月から住んでいるので、4年5か月が経ちますね。

部屋に物があんまりないので「不便じゃないの?」とかよく言われるんですけど、自分的にはすごく気に入っています。もともとすごく散らかっていたんですよ。

足の踏み場もないというような家だったんですけど、何とかしないといけないということで、本とかを読んで実践したところ過ごしやすくなって、仕事の合間も時間が空けば家に帰るようになりました。「変やで」とは言われるんですけど、自然と足が向かう、そんな場所です。

―だが、元々は物が散乱した‟汚部屋”だった。

一番ヤバかったのは、アキレス腱を断裂したときですね。2018年の春なんですけど。全く家の事が出来なくなって、足が治ったはいいけど、部屋がすごいなという状態になったんです。

それで何とかしたい、何とかしたいと思って、最初は収納の本を読んで、棚とか整理したり、片付けテクニックをやろうとしたんですけど、全然うまくいかず。今振り返ると、それが一番ダメなんですって、片付けるのに棚を作るっていうのは。逆に減らすことに気が付いて、まずは物を捨て始めました。

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―当時は三段、二段ボックスを横に寝かせて使っていた。それを片付け、床が見えた瞬間、櫻井の中で何かが変わった。

床が見えて気持ちよくなったというか、「もっと床が見たい」「もっと床が見たい」と思って捨てるようになって。ある程度床が見えてからお掃除ロボットも買いました。物が床にあるとお掃除ロボットが移動できないですし、コード類も飲み込んで止まったりすることもあるので。

今はコード類とかは一切、床に置かないです。テレビも捨てました。今はプロジェクターで天井に映して映像を見ています。それがテレビの代わりになってます。

これは物を捨てる人のあるあるらしいんですけど、捨てたい病というものにかかるらしくて(笑)。なんでもかんでもとにかく捨てるのが気持ちよくなるという。

ただ、運よくというか、「捨てんかったらよかった」っていうのが特になくて、順調に物を捨てました。僕、Mr.Childrenが好きなんですけど、ミスチルのCDは残していますし、泣きながら捨てたとか、そういうことはありませんでした。

物を捨てている間は、「何て自分は無駄なことをしていたんだろう」ということにも気づきましたね。片づけるまでは寝るだけの部屋やったんで、仕事も家では集中できなかったんですけど、今は全然。家でなんでもできますし、自宅で過ごすっていうのは、今のご時世というか、時代にもマッチしているかなと思いますね。

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―当然、生活にも変化が現れた。

片づけるまでは「先輩とご飯に行かなきゃ」とか、「後輩をご飯に誘わなきゃ」みたいな、「芸人ならこうしないと」っていうのがあったかなと思って。僕、社交的じゃないんですけど、イキってそういうところには行かない人とか思われたくないなっていうのがあって、そうしていたんです。でもそんな考えもなくなりましたね。

あと、お金の動きがむっちゃくちゃ変わりました! すっごい変わりました! たとえば、洗濯機を買うとなった時に、今までだったら安い中からどれにしようやったんですけど、今は欲しいものを選ぶようになって。普段、余計なものを買わないので、いざ欲しいという時にドカン!と思い切って買えるといいますか。だいぶん心が豊かになったと思います。捨てる時に、結局、これ要らんかったんやって思うことが多くて、そこに気づいたので、それ以降は余計なものは買わないようになりました。

―自分が一番欲しいものを選ぶようになった。今は、自宅には好きな物しかない。

全部ここにあるのは、必要なもの。全部必要で、大好きなものばっかりです。だから居心地がいいのかもしれないですね。コロナ禍で自宅にいることが増えましたが、僕はストレスなく過ごせるようになりました。外出がしたい、外に出て遊びたいという方にとってはストレスだと思うんですけど、僕は穏やかな気持ちで過ごすことができています。

― 一方、気になるのが運動量だ。自宅にいてばかりでは、運動不足に陥ることはないのだろうか。

自分の中にルールがあって。アキレス腱を切って以降、リハビリでちょっと歩いてたんですよ。今もそれを続けていて、どんな状況でも毎日必ず1時間、歩いています。なので全く動かないということはないんです。

―休日は自宅でYouTube「祇園・櫻井チャンネル」の収録を行うことが多いという。2019年秋から始めたYouTubeも、そもそもは自宅で撮れるということを前提に始めたものだった。

自宅が好きすぎて「変だね」って言われることはありますが、これってある種、褒め言葉じゃないですか。これは何かで珍しがってもらえるんじゃないかというのもあって、部屋の様子を映しています。基本、床には何もないですけど、ベッドの上とか、汚いところは映しませんし(笑)。

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―愛してやまない自宅。そこに他人が入ることへの抵抗はないのだろうか?

コロナ禍になる前やったら、家で鍋したり、ご飯食べたりとかはたまにやっていたんです。仲のいい人たちなので、別に抵抗はなかったですね。あんまり長い時間っていうのはアレですけど(笑)。夜の12時にはならんとこねって、それをルールにしてご飯を食べたりとかしていましたね。

―以前、イベントのコーナーで「結婚するなら別居婚がいい」と話していた櫻井。家に他人がいることに抵抗がないのであれば、同じ空間にパートナーが存在することも苦ではないはず……!? 

「生活する」という観点から、櫻井の結婚観についても聞きました。
後半へ続く……

■祇園 プロフィール
木﨑太郎櫻井健一朗のコンビ。
2008年4月25日結成。
2018年4月 第53回上方漫才大賞 新人賞受賞
2019年 自身初DVD発売「お待たせしました祇園のDVDです!」

祇園INFO


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取材・構成/岩本和子
写真/月刊芸人編集部

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