うどん愛を語る~キャタピラーズしげみうどん・前編~
キャタピラーズのツッコミ担当しげみうどん。「ちゅるちゅるー!」のギャグをはじめ、ギャグ用のうどんグッズやオリジナルのうどんTシャツ作成など、その名の通り、うどんをこよなく愛している一人だ。国民食と言っても過言ではないうどん。その愛し方も人それぞれだが、しげみうどんの場合は「手打ち」にこだわっている。出身はうどん大国で知られる四国・香川県のお隣の愛媛県新居浜市。前半では、まず、しげみうどんのうどんルーツを追いました。
愛媛県も一応、セルフうどんのお店がたくさんあったので、よく行ってましたね。安くて、美味しいところも多くありました。でも文化って言うほど文化じゃなくて。
香川のうどんって、つゆはいりこ出汁を使うんですけど愛媛県ではそんなこともなくて。実家だったらカツオの粉の出汁とか、市販のうどん出汁を使っていて、讃岐うどん派の文化は流れてきていませんでしたね。
――同じ四国とはいえ、うどん文化とは縁遠かったしげみうどんが手打ちにはまったのは、図らずも訪れた生命の危機がきっかけだった。
僕、うどんはずっと食べてたんですよ。度合いも「ちょっと好きかな」っていうくらいだったのですが、自分でうどんを打ったことがあって。
それからうどんにハマりました。
今から9年ぐらい前ですかね。大阪で一人暮らしをしていて、その頃、ライブもないしアルバイトもなくてダラダラして、外に食べに行くのも面倒くさいなと思って3日ぐらい何も食べなかったんです。
それで何か食べなあかんなと思っていざ立ち上がろうとしたらフラフラして。これはヤバイってなったんですよ。
でも、すでに外に出る元気もなかったので、家の戸棚を開けたら小麦粉があって。「……塩と水、小麦粉があるってことは……うどん作れるかな?」と思いついて、ネットで調べてうどんを作りました。その時の、初めて作ったうどんがめちゃくちゃ美味しくて、それがきっかけでした。
――それから何度もうどんを打った。師匠は「YouTube動画」。誰かに弟子入りするでも、学校に通うでもなく、すべては独学で習得した。
独学って言うとカッコつけてるみたいですけど(笑)、YouTubeに上がっているいろんな人やお店の動画を見て打ち方を覚えたので、誰かに教わったことは1回もないです。僕、自分が打ったうどんが一番好きなんですよ。なので、最高のうどんも何回も更新しまくってます。
――しげみうどんがうどんを作る様子は、YouTubeのキャタピラーズ公式チャンネル『キャタピラーズチャンネル』で見ることができる。独学とは思えないほど慣れた手つきで生地をこねる。麺を切る包丁も本格的だ。
最初は万能包丁を使っていたんですけど、切り方が難しくて。麺って、お刺身みたいにすーっと切るのではなくて、包丁を上から真っ直ぐ下ろして歯切れよくトントントントンって切っていく感じなんです。万能包丁で切るとうまいこと均等にならずに麺がどんどん太くなっていって。腕の動かし方も違うんです。以前、バーで月1回のペースで僕の手打ちうどんを出していたんですけど、そのバーのマスターが麺切り包丁をプレゼントしてくれて。もうあれは革命でしたね。めちゃくちゃ切りやすい。あんなポンポン切れるんや!って感動しました。それは今でも使ってます。
――しげみうどんの手打ち麺は讃岐うどんに近いという。コシのあるつるつるとした歯ごたえのある麺を想像してほしいと話す。讃岐うどんがモデルになったのは、当地で初めて食べた時の衝撃がすごかったからだと言う。
21歳の頃、誘われて大阪から香川にうどんを食べに行きました。その時に初めてその存在にカルチャーショックを受けましたね。高校生まで隣の県に住んでたのに、全然、行ってませんでしたがなって。まあ、高校生の頃は県外にわざわざ遊びに行くこともなかったのですが……。香川のうどんがあんなに美味しいことを、その時まで知りませんでした。
――そんなしげみうどんが、さらに衝撃を受けたうどんがある。博多うどんだ。「博多うどんはコシがない」と聞いていたしげみうどんは、自分のクチには合わないのではと思っていた。だが、いざ実食したところ、稲妻が走った。
麺は確かに柔らかいんですけど、大阪うどんのような柔らかさとは違うんです。表面はムニュムニュしているけど、中にしっかり弾力があるんですよ。麺としてしっかり成立していて、その歯ごたえはちゃんと計算されたものでした。柔らかいうどんでいうと、伊勢うどんもありますが、あれはとにかく茹でるのでものすごく柔らかいんですね。その点が人によって好き嫌いがはっきり分かれると思うのですが、博多うどんは誰にでもお薦めできるくらい、本当に美味しいです!
to be continued
後編は、手打ちの際の心境や“うどん芸人”としての展望などを語ってもらいます。
■キャタピラーズ プロフィール
さかもととしげみうどんのコンビ。
さかもとの特技はあごの皮が伸び、さらに音がなる、腹が立つ顔が出来る。
しげみうどんの特技はうどん手打ち(粉から)、うどん早打ち、うどん巡り。
2017年 第18回新人お笑い尼崎大賞 受賞
キャタピラーズINFO
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取材・構成/岩本和子
写真/月刊芸人編集部
写真提供/キャタピラーズ・しげみうどん