うどん愛を語る~キャタピラーズしげみうどん・後編~
キャタピラーズのツッコミ担当しげみうどん。「ちゅるちゅるー!」のギャグに代表される、その名の通り、うどんをこよなく愛するうどん芸人だ。好きなうどんは香川県の讃岐うどんと、福岡県の博多うどん。そして最も愛してやまないのが自分でこねたうどんだと話す。うどんを作っている時、どんな心境になっているのか。まずはそこから話を聞きました。
うどん作りって生地を混ぜて、こねて、踏んで、たたんで、寝かすという工程があるのですが、まず、うどんをこねたり踏んだりしている時は何も考えていないです。
寝かすのは30分くらいなんですけど、その間、ほんまにゆったりできるんですよ。スマホを見たりとかして。
僕、マイペースなので、待ち時間は全然気にならないですね。
あと、自分で作っているので、「確実においしいものができる」っていうのが頭にあるんですよね。
――こねている時は無心になれると話す。そして、至福の時も訪れるという。
30分寝かしたあとの生地って、めちゃくちゃカワイイんですよ。僕は「キティちゃん」って呼んでます(笑)。
キティちゃんの耳を取ったらこうなるやろなと思うくらい輪郭が丸くて、白くて、きれいで、触るとすべすべで。
そこに打ち粉をかけて伸ばしていくんですけど、打ち粉の片栗粉をまぶすと表面がサラサラになって、すっごい手触りがよくて。どのクッションよりも触り心地がいいですね。
YouTubeチャンネルの「キャタピラーズチャンネル」で、相方が寝かした後のカワイイ状態の生地に顔を埋めていましたが、ああいうことはやめてほしいです。人がこねたうどんの生地に顔を埋めるとか、もう、ダメです。俺がやるんはいいけど、相方がやったら本当に気持ちが悪い。
どれだけその生地がカワイイか、実際に誰かに作ってもらって、わかってほしいですね。周りに共感がなさすぎる。1回、ピンのネタで「めちゃくちゃカワイイ」と言ったんですけど、全く共感が得られなくて、スベりました。
――孤高のうどん芸人、しげみうどん。だが、彼から生み出されるうどんのファンも確かに存在する。
僕のうどんのファンは、20世紀・重本ですかね。よう「うまい」って言ってくれますね。後輩なんですけど、一緒にバーのバイトに入っていて、まかないで作っていたんです。一番、うまいうまい言うて食べてくれました。コロナ禍の前は月1ぐらいのペースでうどんを食べていたと思うので、多分一番食べていたと思います。
――うどん芸人として今後はどんな展望を抱いているのだろうか。
福岡の博多うどんと香川の讃岐うどんをもっと食べたいので、キャタピラーズのお仕事で、九州に行ったり、香川に行ったりしたいです。旅費を完全に吉本負担にして、うどんを食べに行く(笑)。趣味と実益を兼ねてライブの合間にうどんを食べる……そんな生活をしたいです。吉本は博多にも劇場があるので(よしもと福岡 大和証券/CONNECT劇場)、ちょうどいいです。まだその劇場にも行ったことがないので、舞台にも出たいなって思います。
住みます芸人、ですか? ……僕、トラウマじゃないですけど、一回しげみうどんで香川県丸亀市の住みます芸人を受けに行って、落ちとるんですよ……! しげみうどんが香川県の住みます芸人に落ちとるがな! 今は笑い話ですけど、落ちちゃったんでね、僕……。今はそれはないですかね。
お店を開く? 僕のうどん作りは趣味の一環なので、うどんのお店を出すまでは思わないというか。僕が食べてほしいうどんを打ちたいだけで、商売になってくるとまた変わってくるのかなって思いますね。ただ、僕がプロデュースするっていうのはすごく魅力があります。
――では、しげみうどんにとって最高峰のステージとは?
実は、うどん芸人として立てる1番のステージはもう、立ったんですよ。以前、丸亀製麺で、「なんば店でアルバイトをしながら活動する芸人を応援するプロジェクト」っていうのがあって、僕もそのバイトに行っていて。その時、お店にステージを作ってもらって、お客さんが食べている前でネタをやらせてもらいました。あれがうどん芸人としては最高峰の舞台でしたね!
■キャタピラーズ プロフィール
さかもととしげみうどんのコンビ。
さかもとの特技はあごの皮が伸び、さらに音がなる、腹が立つ顔が出来る。
しげみうどんの特技はうどん手打ち(粉から)、うどん早打ち、うどん巡り。
2017年 第18回新人お笑い尼崎大賞 受賞
キャタピラーズINFO
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取材・構成/岩本和子
写真/月刊芸人編集部
写真提供/キャタピラーズ・しげみうどん